【弾性ストッキング】着圧ソックスの正しい使い方を医師が解説! むくみ 静脈瘤 血栓予防まで一気にわかるまとめ

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「夕方になると靴がきつくなる」

「ふくらはぎが重だるい」

「夜になると足がつって目が覚める」

こうした症状で悩んでいる方は、決して少なくありません。

弾性ストッキングは、こうした「むくみ」や「だるさ」に対して、有効なことが多く、正しく使えば効果を実感しやすい方法のひとつです。一方で、履くタイミングや選び方を間違えると、十分な効果が得られなかったり、かえって負担になってしまうこともあります。

この記事では、まず「むくみとは何か」という全体像を整理したうえで、

  • 弾性ストッキングがどのような人に向いているのか
  • いつ、どのように使うとよいのか
  • そして、どの段階で医療機関への相談を考えるべきか

など、医師の立場からまとめていきます。

むくみとは何か 全体像の説明

むくみとは、皮下に水分がたまることで、

「腫れて見える」「だるい」「重い」「痛い」「かゆい」

といった不快な症状として現れる状態を指します。

むくみというと漠然としていますが、実際の診療では、生理して分けて考えると捉えやすくなると思います。

  1. 足の血液が心臓に戻りにくくなる静脈性のもの  長時間の立ち仕事や座り仕事、下肢静脈瘤などが代表的
  2. 血栓などにより、急に血液の流れが悪くなるもの
  3. リンパの流れが滞ることによるもの
  4. 心臓・腎臓・肝臓など、全身の病気に関連するもの
  5. 薬の影響や生活環境によるもの

弾性ストッキングは多くのむくみに有効ですが、特に力を発揮するのは、この中でも1「足の血液が心臓に戻りにくくなる静脈性のもの」によるむくみです。

足にたまりやすい血液を、足元から段階的に圧をかけて上に押し戻し、うっ滞を減らすことが弾性ストッキングの基本的な効果です。

ただし、弾性ストッキングは常に万能というわけではありません。

むくみの原因全体を踏まえたうえで、「自分のむくみは、この対策が合うタイプかどうか」を見極めることが、肝要になってきます。

弾性ストッキング・着圧ソックスによる圧迫療法のメリット/デメリットと限界

弾性ストッキングは手軽に始められ日常生活に大きく支障を出さずに足のだるさ、むくみ、こむら返りなどの症状の改善が得られることが期待できます。

一方でデメリットとして、夏に履くのは暑くて、蒸れてしまうことがあります。また、人によっては痒みが出現したり、履くのが大変で継続が難しい、という場合もあります。

自己判断で続けていると、十分な効果が得られないことも多いため、一度はプロにみてもらいサイズを選んでもらった方が安全と考えられます。

さらに重要な点として、下肢静脈瘤がある程度、進行している場合は残念ながら根治治療とはならないため少しずつ進行してしまうことが多々あります。このため、状況によってはカテーテル治療などを検討する必要がでてきます。

弾性ストッキングの利用を検討している方は、ぜひ利用する前にこちらの記事をチェックしてみてください。

弾性ストッキングはいつ履くべきか 夜履けばいいの?

弾性ストッキングの履き方については、実際の診療でもよく質問を受けます。

結論から言うと、基本はとてもシンプルで、「朝起きたら履いて、夜寝る前に外す」が原則です。

立ち仕事が多い日や、長時間座って過ごす日ほど、日中の血液のうっ滞が起こりやすくなります。そうした時間帯にこそ弾性ストッキングの効果が発揮されやすく、朝から履いておくことで、むくみが強くなる前に予防する、という考え方になります。

一方で、よくある誤解も少なくありません。

「夜だけ履けばいい」「履いたらすぐにむくみが取れる」と思われている方もいますが、実際にはそう単純ではありません。

夜は横になって足が心臓より高い位置になるため、そもそも血液は戻りやすくなります。

「夜用」を強調した商品などもありますが、通常は履かなくても問題ないかと私は考えています。

弾性ストッキングは、履いた瞬間に劇的にむくみが消える魔法の道具ではありません。

日中の血液のたまりやすさを抑え、結果として夕方以降のつらさを軽くする、という位置づけのものとして考えると、イメージが湧きやすいと思います。

また、すべての方に勧められるわけではない点も注意が必要です。

強い足の動脈硬化がある方や、心不全を指摘されている方では、弾性ストッキングの着用が適さない場合があります。特に重症の場合には、着用が禁忌となることもあるため、不安がある場合は自己判断せず、主治医に相談することをおすすめします。

弾性ストッキングの利用を検討している方はぜひ、こちらの記事を参考にしてみてください。

失敗しない選び方 サイズ・圧・補助具・市販品の位置づけ

弾性ストッキングの選び方では「サイズが合っているか」と「圧」が最優先です。これらが合っていないと効果が出ないだけでなく、逆に悪化してしまうことがあります。着圧ソックスを履いたのに足がつる回数が増えてしまっている場合はサイズがあっていない可能性もありえます。

迷ったら最初だけでも一度、弾性ストッキング圧迫療法コンダクターの有資格者に見てもらい適切な医療用の弾性ストッキングを選んでもらう、という考えが無難かもしれません。

弾性ストッキングについて、実際に多い声が

「とにかく履くのが大変」「毎日は続けられない」

というものです。

弾性ストッキングは、治療効果を出すためにしっかりとした圧がかかっているため、慣れるまではどうしてもきつく感じやすくなります。特に手の力が弱い方や、腰や膝に不安がある方では、「一人で履くのがつらい」と感じることは珍しくありません。

こうした場合、補助具を使うことで、驚くほど楽に履けるようになることがあります。

「自分には向いていない」と感じてやめてしまう前に、補助具という選択肢があることを知っておいていただきたいところです。

また「市販の着圧ソックスは意味がないのか」という御相談もよく受けます。

医療用の弾性ストッキングと比べると、市販のものは圧が十分でないケースがあるのは事実かもしれません。しかしながら「続けられること」に価値があるのもまた事実だと思います。

もし、医療用の製品が履くのがつらいため、全く使わなくなってしまう、ということであれば症状が軽い段階で、市販の着圧ソックスを無理なく使い続ける方が合っている場合もあるかもしれません。

大切なのは、「完璧にやること」ではありません。

長年の臨床経験から学んだことですが、現在の症状の程度や、無理なく続けられるかどうかもトータルに考えていくことが大切な基準の一つだと私は考えています。

弾性ストッキングについて興味がある方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。


在宅勤務で増えるエコノミークラス症候群 血栓予防としての使いどころ

長時間動かない状態が続くと 深部静脈血栓症などのリスクが上がり得ます。いわゆるエコノミークラス症候群です。コロナ感染症が流行したあたりから、在宅勤務に伴うエコノミークラス症候群の方をしばしば経験するようになりました。

予防の基本になるのは、

  • こまめに体を動かすこと
  • 意識して水分をとること

といった、日常生活の工夫です。

そのうえで、状況によっては弾性ストッキングが予防の一助になる場面もあります。

ただし、

「片足だけが急に腫れてきた」「強い痛みや赤みが出てきた」「息切れ」「胸の痛み」「ふらつき」

といった症状がある場合は、一般的なむくみとして様子を見る状況ではありません。

このような場合には、自己判断で対処せず、医療機関への受診を検討した方がよいかと思われます。

在宅勤務中に上記のような症状が現れて気になる方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

下肢静脈瘤の種類と治療法 足の健康を守るために知っておきたいこと

下肢静脈瘤の治療というと、「手術をするしかない」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。静脈の状態や症状の強さ、年齢、生活スタイルなどによっては、まず圧迫療法が適している場合も多々あります。

一方で、一昔前と異なり、現在ではカテーテルの発達に伴い、効果と安全性の両面から見て問題なく安全に治療が受けられるケースが増えていることも事実です。

症状や検査結果によっては、そうした治療を選択した方が、結果的に負担が少なく済むケースもあり得ます。

つまり「どの治療が正しいか」ということではなく、実際の状態に応じて、最適な選択肢を選ぶことが肝要だと思われます。

静脈瘤の種類や治療の全体像を知ることは、受診した際に話を理解しやすくしたり、納得して判断する助けになるのではないかと思います。

下肢静脈瘤の治療方法について知りたい方はぜひ、こちらの記事を参考にしてみてください。

長時間立っていられない? 迷走神経反射の対策としての弾性ストッキング

弾性ストッキングは、下肢静脈瘤やむくみへの対策として知られていますが、

実は「長時間立っていると気分が悪くなる」「立ちくらみを起こしやすい」といった症状への対策として使われることもあります。

こうした症状の背景には、迷走神経反射が関与している場合ことがあります。

血液が下半身にたまりやすい状況で誘発されやすくなることがあるため、弾性ストッキングは症状の軽減につながると考えられています。

もちろん、

  • 適度な運動
  • こまめな水分補給
  • 無理のない生活リズムやストレス管理

といった日常生活の工夫も大切です。

弾性ストッキングというと、「むくみ」や「下肢静脈瘤」などに有効なことが知られていますが、症状によっては、こうした場面で使われることもあります。

困っている症状がある場合には、無理のない範囲で取り入れてみるのもよいかと思います。

長時間立っていられず、立ちくらみを引き起こしやすい方はぜひ、こちらの記事を参考にしてみてください。


どのような場合に医療機関の受診を考えるべきか

以下のような症状があれば医療機関の受診を検討してよいかもしれません。

  1. 片足だけ急に腫れた 痛み 熱感 赤みが強い
  2. むくみに加えて息切れ、胸の痛みなどがある
  3. むくみが短期間で増悪している。長引く 繰り返す 生活に支障が出てきている
  4. 弾性ストッキングを試したが合わない、痒み・かぶれがある。痛みが出ている。サイズ選びに迷っている。
  5. 動脈硬化や心不全を指摘されたことがあり、弾性ストッキングを履いてよいか不安

まとめ

むくみは、原因の全体像を整理して考えることで、必要以上の不安が和らぎ、次に何をすればよいかが見えてきます。

弾性ストッキングは、その中でも特に「静脈の流れが関係するむくみ」や「足のだるさ」に対して、比較的取り入れやすく、最初の一歩として試す価値のある方法です。

基本は、

  • 朝起きたら履いて、夜寝る前に外すこと
  • サイズと圧が合っていることを大切にし、合わないと感じたら無理をしないこと

こうした点を押さえて使うことで、弾性ストッキングは日常生活を支える心強い道具になります。「なんとなくつらい」を我慢し続けるより、日常を楽にする工夫として考えてみてもよいと思います。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。

困っておられる御本人様はもちろんですが、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。

もし当院への受診や御相談の御希望がございましたら、お気軽にお問合せください。

患者様一人ひとりの状態に合わせて、検査から治療まで誠実に対応させていただきます。

この記事を書いた人
春山興右

このブログでは、日々の診療の中で感じたことや、患者さんから実際によくいただく質問などをもとに書き始めました。
教科書的な内容はもちろんですが、本には書かれていない、現場で診療を続けていて初めてわかる知恵や皆さんが知りたいと感じることを、素朴に、わかりやすくお伝えしていけたらと思っています。

静脈瘤の診療は、国内外で取り組んできた医療ボランティア活動と並んで、私にとっては大切なライフワークであり、生きがいのような存在です。
ところどころ熱が入りすぎてしまったり、至らない点も多いかと思いますが、どうか温かい目でご覧いただけたら嬉しいです。

資格は、脈管専門医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医、皮膚科専門医、男性ストッキング・圧迫療法コンダクターなどです(治療者兼当事者であり、毎日弾性ストッキングを履いています)。
よろしくお願いしますm(_ _)m

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