「下肢静脈瘤の治療をしているけど飲んじゃいけない薬ってあるの?」
「今飲んでいる薬は下肢静脈瘤の治療中飲んでもいいのかな?」
と、下肢静脈瘤の治療中もしくはこれから治療を受けようと思っている中で薬を服用している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、下肢静脈瘤の治療中に注意が必要な薬の種類について説明します。
下肢静脈瘤の治療における薬の影響について
下肢静脈瘤の治療を受ける患者さんは、比較的ご高齢なことが多いため、薬を服用している方が多くいらっしゃいます。
治療を安全かつ効果的に進めるためには、これらの薬の影響を理解し、適切な対応を行うことが重要です。
下肢静脈瘤の治療中、注意が必要な薬の種類
下肢静脈瘤の治療中に下記に挙げられている薬を服用している方は、注意が必要です。
- ホルモン剤
- 骨粗しょう症の治療薬(一部)
- ステロイド
- 免疫抑制薬や副腎皮質ステロイド
では、服用を控える理由や注意点について解説します。
内服していると血栓ができやすくなる薬
- ホルモン剤
- 使用例: 婦人科疾患(更年期障害など)、前立腺がん、乳がんの術後など
- 注意点: 副作用で血栓ができやすくなることがあるため、治療の前後で一時的な中止が望ましいです。
- 骨粗しょう症の治療薬(一部)
- 使用例: 閉経後の女性、高齢の方
- 注意点: 術後に血栓ができやすくなるため、治療の前後で一時的な中止が望ましいです。骨粗しょう症の薬の一部のみであるため、医師に確認することが大切です。
- ステロイド
- 使用例: リウマチなどの自己免疫疾患、喘息などのアレルギー性疾患
- 注意点: 点眼薬や吸入薬、外用薬(塗り薬)は治療可能ですが、内服薬については血栓や感染症が起こりやすくなるため、治療の前後で一時的な中止が望ましいです。
傷が化膿しやすくなる薬
- 免疫抑制薬(体の免疫を下げるお薬)や副腎皮質ステロイド
- 使用例: リウマチなどの自己免疫疾患など
- 注意点: 免疫抑制剤や副腎皮質ステロイドは免疫力を低下させるため、傷が化膿しやすくなります。カテーテル治療での感染はまれですが、治療の前後で一時的な中止が望ましいです。
下肢静脈瘤の治療中に飲んでもいい薬について
逆に下肢静脈瘤の治療中の継続して飲んでおくべき薬もあります。
- 出血しやすくなる薬(血液をサラサラにする薬)
- 抗てんかん薬(遺伝・代謝・脳の構造的異常・海綿状血管腫などの方)
これらの薬はむやみに使用を中止してしまうと脳梗塞や心筋梗塞、抗てんかん薬を服用中の方であればてんかん発作を引き起こしてしまう恐れがあります。
内服していると出血しやすくなる薬(血液をサラサラにする薬)
血液サラサラの薬は止めなくていいのでしょうか、という質問もよくされます。現在主流となっているカテーテルの治療をする場合は中止不要です。
むしろ、むやみに中止をしてしまうのは脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまう可能性が高まってしまいますので、自己判断での中止はしないようにしましょう。
一方、切開を伴う手術を行う場合では内服を一時中止することがあります。
てんかん薬(遺伝、代謝、脳の構造的異常、海綿状血管腫などの方)
てんかんがあるのですが、抗てんかん薬は止めなくていいのでしょうか、という質問もされることがあります。こちらも中止不要です。
てんかんの原因には、遺伝的要因、脳の構造的異常、脳損傷や感染症、代謝異常、海綿状血管腫(難病指定)などがあり、これらが発作を誘発します。
抗てんかんを継続することで、より安全に手術を受けることができます。
やってはいけないことは勝手にやめてしまうこと お薬手帳を活用しよう!
一番やってはいけないことは、自己判断で勝手にお薬をやめてしまうことです。
下肢静脈瘤の治療を受ける際には、必ずお薬手帳を持参し、現在服用している薬を医師に正確に伝えましょう。
通常、主治医が服薬の一時中止が可能かどうか医師同士で連携をとり調整をしてくれるはずです。
下肢静脈瘤の治療中でも勝手に薬を中止しないように‐専門医に相談しよう
非常に安全であるカテーテルの治療といえども、薬によっては一時的な中止が必要なことがあります。下肢静脈瘤の治療を安全に進めるためには、現在服用している薬の影響を理解し、適切に管理することが大切です。
できればお薬手帳を活用していただき、受診の際には必ず持参することが望ましいと思います。お薬を飲んでいても治療可能なケースも多いため、一度は専門医を受診して御相談することをおすすめいたします。
本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
薬を続けていてよいのか悩んでおられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。
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