下肢静脈瘤は何科を受診する? 専門医はどこにいる?

概要

この記事では、下肢静脈瘤の治療を受ける際に、どの科を受診すればよいのかを解説します。下肢静脈瘤で近くの病院を受診したけれども、みてもらえなかった、という方は必見です。また、専門医を選ぶポイントについても紹介します。

下肢静脈瘤(バリックス)とは?

下肢静脈瘤とは、「かしじょうみゃくりゅう」と読み、静脈の瘤(コブ)と書くように足の太ももやすね、ふくらはぎ上の静脈が浮き出てボコボコとしたコブ状(ボコボコ血管)となり、曲がりくねる状態を指します。進行した方ではふくらはぎの一部にへこみがあるように見えることもあります。これは、足の静脈の中にある逆流防止弁が壊れることで、本来であれば血液を足から心臓に運べていたものができなくなってしまい、血液が逆流している状態になっていることが原因で起こっています。

長時間の立ち仕事や座り仕事、遺伝、肥満、妊娠が原因となることが知られています。症状は足のだるさ、こむら返りが代表的ですが、実際には非常に多くの症状を起こします(詳細はこちら)。

下肢静脈瘤を治療するには何科を受診すればいいのか?

下肢静脈瘤を治療するためには、以下の科を受診することが適しています。

心臓血管外科

心臓や血管系の病気の外科的治療を専門としています。心臓血管外科というと心臓の手術をしているのでは?というイメージがあるかもしれませんが、下肢静脈瘤などの末梢の血管も行っている先生もいます。抜去などの切開が必要な場合も総合的に治療ができます。

皮膚科・形成外科

比較的浅い部位の腫瘍や病変を専門としている診療科であり、下肢静脈瘤の原因となる血管も守備範囲になります。特に静脈瘤が皮膚に何らかの症状(足の湿疹、紫や青色の色素沈着、色が悪い等)を起こしている場合は最も適切な診療科といえます。美容的な観点から治療を求める場合にも最適です。

循環器内科

心臓や血管系の病気の内科的治療を専門としています。心臓のカテーテル治療なども行っており、近年は下肢静脈瘤の治療がカテーテル治療になったこともあり、循環器内科の先生が治療を行っていることがあります。高血圧などの内科的疾患も総合的にみることができます。

放射線科

放射線科医はレントゲンやCTなどの画像診断をするのが専門ですが、血管内治療も行っている先生もおり、下肢静脈瘤の治療を行っていることがあります。

診療科以上に大切なこと

診療科以上に大切なのは、実際に担当医が専門医資格を持っているか、が重要です。日本では自由標榜制といって、専門医資格を有していなくても診療科を標榜することが可能だからです。脈管専門医、心臓血管外科専門医、皮膚科学会専門医、形成外科学会専門医、インターベンショナルラジオロジー学会専門医のいずれかの資格を持っているか、病院のホームページや学会のホームページ等で確認するとよいでしょう。中には専門医資格すら持っていないケースもあるため注意が必要です。専門医資格は大学卒業後、一定の経験を積んで取得するものですが、これを持っていないということは、このような研修をしていないということになります。

さらに重要なことは実際にその医師が静脈瘤治療の経験があるか、です。静脈瘤治療は専門性が高く、たとえ専門医資格を有してしても、静脈瘤治療は全く行ったことがない医師の方が多数派だからです。私自身も多くの診療科の医師に指導をしてまいりましたが、私に指導を受けるまでは過去に下肢静脈瘤の治療をしたことがない医師が大多数でした。

特に現在、静脈瘤の標準的治療であるカテーテル治療を一定以上行った証明である「血管内焼灼術実施医」であることは確認した方がよいでしょう。「血管内焼灼術指導医」であれば最も確実です。おすすめの専門病院ランキングなどに載るような下肢静脈瘤の名医といわれる医師で取得していない人は基本的にいないかと思われます。これらの資格を持っている人は静脈瘤の治療を専門に行える「足の血管外科」といえます。

ホームページなどで実際の実績を確認するといいでしょう。昔から治療に携わっている医師はあらゆるタイプの治療が行え、全てのタイプの静脈瘤に対応できるはずです。また、治療のあとのフォローアップ体制がしっかりしているかどうかも大切です。

結論

下肢静脈瘤の治療を検討する際には、適切な科を受診するのみならず、専門医資格の有無、実際の静脈瘤治療の経験があるか、手術実績なども考慮して信頼できる専門医を選ぶことが大切だと思います。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
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