下肢静脈瘤の再発について

下肢静脈瘤かもと思ったら

「下肢静脈瘤の治療をしたけれど、また再発するのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。

下肢静脈瘤は、適切に治療した後でも、別の静脈に新たな逆流が生じたり、治療した静脈が再疎通したりして、症状が再び現れることがあります。[1]私の経験では、治療後の再発は多くありません。治療後に血管の浮き出し、足のだるさ、むくみなどが再び気になる場合は、下肢静脈エコー検査で原因を確認することが大切です。

この記事では、下肢静脈瘤の再発を疑う症状、主な原因、診断と治療について解説します。

動画解説もしておりますので、よければご覧ください。

なお、下肢静脈瘤の原因や予防、放置した場合の変化、受診の目安など、静脈瘤についての全体像についてはこちらの記事でまとめております。全体像を把握したい方は是非ご覧ください。

静脈瘤の再発の原因・種類

下肢静脈瘤の治療後に再び血管が目立ったり、症状が現れたりする背景には、治療した静脈の再疎通、別の静脈への病気の進行、初回治療後に残っている逆流などがあります。[1]原因によって対応が異なるため、現在の状態を正確に確認することが重要です。

この記事では、患者さんに分かりやすいよう、主な背景を次の3つに分けて説明します。

  1. 適切な治療後に別の静脈に静脈瘤が生じる場合: 治療した静脈には問題がなくても、初回治療時には正常だった別の静脈に、後から逆流が生じる場合。
  2. 初回治療後に逆流が残っている場合: 診断や治療範囲などの理由により、治療が必要な静脈に逆流が残っている場合。
  3. 高位結紮術後の再発: 高位結紮術だけで治療した後に、残った静脈などから再び逆流が生じる場合。

各々について以下で解説します。

適切な治療後に別の静脈に静脈瘤が生じる場合

治療した静脈が問題なく閉塞していても、時間の経過とともに別の静脈に逆流が生じることがあります。また、右足の治療後に左足の静脈瘤が発症することもあります。後者は、治療した右足の静脈瘤そのものの再発ではなく、反対側に新しく発症した状態です。

立ち仕事や家族歴など、静脈瘤になりやすい要因が続く場合には、別の静脈に病変が生じる可能性があります。

初回治療後に逆流が残っている場合

私の診療でも、初回治療後に症状が残り、セカンドオピニオンを希望して来院される方がいます。診断時に逆流の原因や範囲が十分に把握されていない場合には、治療が必要な静脈に逆流が残り、症状が続くことがあります。

ただし、再発や症状の残存には、病気の進行や治療した静脈の再疎通など複数の原因があります。初回治療が不適切だったと一律に判断せず、下肢静脈エコー検査で現在の状態を確認することが重要です。

高位結紮術後の再発

カテーテル治療が普及する以前は、高位結紮術という治療がよく行われていました。
高位結紮術だけを行う方法については、静脈を抜き取るストリッピング手術を組み合わせた方法と比べて、再発による再手術が多かった研究があります。[2、3]私自身は、カテーテル治療が普及する前から、根治性を重視してストリッピング手術を行ってきましたが、当時は高位結紮術を選択する医師も多くいました。

下肢静脈瘤の再発を疑う症状と検査

治療後に血管の浮き出しが再び目立つ、足のだるさ・重さ・むくみ・痛み・かゆみが再び現れる場合は、下肢静脈瘤の再発や別の静脈の病変が考えられます。ただし、これらの症状だけで再発と判断することはできません。

再発が疑われる場合は、下肢静脈エコー検査で、治療した静脈の再疎通、残っている逆流、別の静脈の病変などを確認します。手術後は静脈の状態が変化していることがあるため、過去の治療内容も踏まえて系統的に評価し、原因に応じて治療計画を立てることが重要です。[1]

再発した静脈瘤の治療法

再発した静脈瘤の治療法は、原因となる静脈の位置や形、症状、過去の治療内容によって異なります。下肢静脈エコー検査の結果に応じて、カテーテル治療、硬化療法、瘤切除などから適切な方法を選び、必要に応じて組み合わせます。[1]症状や状態によっては、経過観察となる場合もあります。

再発している場合や、他院で治療が難しいと言われた場合でも、対応できることがあります。あきらめずに、一度専門医へ相談してください。

下肢静脈瘤の治療方法についてはこちらをご覧ください。

参考文献・出典

[1]Gloviczki P, et al. The 2023 Society for Vascular Surgery, American Venous Forum, and American Vein and Lymphatic Society clinical practice guidelines for the management of varicose veins of the lower extremities. Part II: Endorsed by the Society of Interventional Radiology and the Society for Vascular Medicine. J Vasc Surg Venous Lymphat Disord. 2024;12(1):101670. doi:10.1016/j.jvsv.2023.08.011.

[2]Dwerryhouse S, Davies B, Harradine K, Earnshaw JJ. Stripping the long saphenous vein reduces the rate of reoperation for recurrent varicose veins: five-year results of a randomized trial. J Vasc Surg. 1999;29(4):589–592. doi:10.1016/S0741-5214(99)70302-2.

[3]Winterborn RJ, Foy C, Earnshaw JJ. Causes of varicose vein recurrence: late results of a randomized controlled trial of stripping the long saphenous vein. J Vasc Surg. 2004;40(4):634–639. doi:10.1016/j.jvs.2004.07.003.

再発が心配な方へ

私の経験では、治療後に再発する方は多くありません。再発が全くないとお約束できるわけではありません。再発を心配されている方も、現在の静脈の状態や治療の見通しを確認しながら、治療を受けるかどうか考えていただければと思います。

ただし、時間の経過とともに、治療した静脈とは別の静脈に新たな静脈瘤が生じることはあります。その場合も、原因を確認したうえで治療を検討できますので、あきらめずに専門医へ相談することが大切です。

治療後の症状や再発が気になる方へ、受診の目安をまとめています。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
静脈瘤が再発してしまい困っておられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。


健康の土台は足にあります。もし当院への受診や御相談の御希望がございましたら、お気軽にお問合せください。
患者様一人ひとりの状態に合わせて、検査から治療まで誠実に対応させていただきます。

この記事を書いた人
春山興右

このブログでは、日々の診療の中で感じたことや、患者さんから実際によくいただく質問などをもとに書き始めました。
教科書的な内容はもちろんですが、本には書かれていない、現場で診療を続けていて初めてわかる知恵や皆さんが知りたいと感じることを、素朴に、わかりやすくお伝えしていけたらと思っています。

静脈瘤の診療は、国内外で取り組んできた医療ボランティア活動と並んで、私にとっては大切なライフワークであり、生きがいのような存在です。
ところどころ熱が入りすぎてしまったり、至らない点も多いかと思いますが、どうか温かい目でご覧いただけたら嬉しいです。

資格は、脈管専門医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医、皮膚科専門医、弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターなどです(治療者兼当事者であり、毎日弾性ストッキングを履いています)。
よろしくお願いしますm(_ _)m

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