お腹の血管が浮き出ている? モンドール病とは?

概要

血管の外来をしていると、時々ですが、体の血管が浮き出る!と来院される方がいます。この記事では、お腹などの血管が浮き出てくるモンドール病について解説します。モンドール病とは何か、その症状、原因、治療方法について説明します。

モンドール病とは?

モンドール病は、皮膚の下の静脈に血栓ができる血栓性静脈炎の一種です。静脈瘤の診療をしていると下肢の血栓をよく見ますが、このような血栓は胸や腹部に起こることもあり、索状のしこりとして現れます。「腹部に起こる静脈瘤の仲間」といえるかもしれません。

モンドール病の主な症状

モンドール病の症状には、索状のしこり、腫れ、痛みがあります。痛みは軽度のことが多いですが、胸や腹部にしこりが出現するため、気にされて受診される方が多いです。

モンドール病の発生率

モンドール病の発生率は1%程度とされており、比較的稀な疾患ですが、皮膚科や血管を診療する外来では時々経験します。

モンドール病の6つの原因

  1. 外傷
    • 外傷により血流が停滞してしまい、モンドール病の原因となることがあります。
  2. 激しい運動
    • 激しい運動も血流やリンパ流を一時的に滞らせ、モンドール病を引き起こす可能性があります。
  3. きつい衣服や下着
    • きつい衣服や下着は、局所の血流の停滞を引き起こすことがあります。
  4. お胸の手術
    • 胸の手術後に血流が変化し、モンドール病が発生することがあります。
  5. 血管炎
    • 血管に炎症が起こることで、モンドール病が発生することがあります。
  6. 乳がん
    • 乳がんがモンドール病の背景にある場合もあり、注意が必要です。

モンドール病の治療

モンドール病は、通常6週間程で自然に治癒します。ただし、他の疾患が原因となっている場合はその治療が必要となります。しばらくしこりが続くことがありますが、次第に縮小するため気にならなくなってくることがほとんどです。モンドール病に似た病気として下肢静脈瘤に関連する血栓性動脈炎という病態があるのですが、経過はほぼ同じです。

結論

モンドール病は皮下の静脈に発生する血栓性静脈炎の一種です。やや稀な疾患で初めて経験する場合は驚かれることも多いですが、通常は自然に治癒します。症状が長期間持続する場合は精査が必要なことがあるため、一度は医師に診察を受けることが望ましいといえます。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
お腹の血管が出ていて悩んでおられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。


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