「お腹の血管が浮き出ている⁉」
「胸になんだかしこりがある…」
など、体の血管が浮き出ている症状について気になる方もいるのではないでしょうか。
血管の外来をしていると、時々ですが、体の血管が浮き出る!と来院される方がいます。外来では「これが重い病気ではないか」と不安になって相談される方も少なくありません。
この記事では、お腹などの血管が浮き出てくるモンドール病について解説します。モンドール病とは何か、その症状、原因、治療方法について説明します。
結論としては、モンドール病は皮膚のすぐ下の静脈に起こる血栓性静脈炎の一種で、多くは時間とともに軽快しますが、症状が長引く場合は医師の診察を検討する、ということになるかと思います。
なお、血栓の全体像(血栓性静脈炎とDVTの違い、症状、原因、予防、受診の目安)については、こちらの記事でまとめています。まず血栓の全体像を押さえたい、という方は こちらの記事もご覧ください。
モンドール病とは?

症状の出方には個人差がありますが、皮膚のすぐ下に索状のしこりとして気づかれることが多いです。
モンドール病は、胸や腹部の皮膚のすぐ下にある静脈に炎症や血栓が起こり、硬いひものようなしこりとして現れる病気です。下肢静脈瘤に伴う表在性血栓性静脈炎と、血管に沿って硬いしこりや痛みが現れる点で類似しています。私の感覚では、「胸やお腹に起こる静脈瘤の仲間」といえるかもしれません。
モンドール病の主な症状

モンドール病の症状には、
- 索状のしこり
- 腫れ
- 痛み
があります。痛みは軽度のことが多いですが、胸や腹部にしこりが出現するため、気にされて受診される方が多いです。
モンドール病の発生率
モンドール病は比較的まれな病気ですが、一般の方にどのくらい起こるかは、はっきり分かっていません。乳腺外来の報告では1%未満とされていますが、これは一般人口における発生率ではありません。
皮膚科や血管を診る外来では、時々経験する病気です。
モンドール病の背景にあること

実際には、はっきりしたきっかけが見つからないことが多い病気です。一方で、次のようなことが関係したという報告があります。
- 胸や腹部への外傷、強い運動
- きつい下着などによる局所への圧迫
- 乳房の検査や手術、放射線治療
- ホルモン治療など
まれに乳がんなど別の病気と一緒に見つかることもあります。モンドール病があるから乳がんという意味ではありません。ただし、乳房のしこり、皮膚の引きつれ、血性の乳頭分泌などがある場合は、乳腺外科で確認してもらうとよいと思います。
モンドール病の治療

モンドール病の多くは、4〜8週間ほどで自然に軽くなります。しこりがしばらく残ることもありますが、次第に縮小して気にならなくなることがほとんどです。痛みがある場合は、状態に応じて鎮痛薬などを使いながら経過を見ることがあります。
ただし、しこりが長く残る、広がる、診断がはっきりしない場合は、超音波検査などで確認することがあります。
なお、下肢静脈瘤に伴う表在性血栓性静脈炎では、起こる場所や血栓の広がりによって、確認する内容や治療が異なります。
似たような「しこり」「痛み」で別の原因が混ざることもあるため、下肢静脈瘤で起こる症状もあわせて確認すると判断の助けになります。
下肢静脈瘤にまつわる様々な症状についてはこちらをご覧ください。
よくある質問
Q モンドール病は放置しても大丈夫ですか
A 多くは時間とともに軽快します。ただし、しこりや痛みが長引く場合や、症状が強い場合は医師の診察を検討してください。
Q 何科を受診すればいいですか
A 皮膚のすぐ下の索状のしこりとして気づかれることが多いため、まずは皮膚科の受診が選択肢になります。胸部の場合は乳腺外科での相談を検討することもあります。
モンドール病のような症状が現れたら医師の診察を受けましょう
モンドール病は、初めて経験すると「重い病気ではないか」と驚く症状ですが、多くは時間とともに軽くなります。ただし、見た目だけでモンドール病と判断するのが難しいこともあります。
胸や乳房に硬いひものようなしこりがある場合は乳腺外科、胸や腹部の皮膚に沿うしこりが中心であれば皮膚科が主な相談先になります。特に、乳房のしこり、皮膚の引きつれ、血性の乳頭分泌などがある場合は、乳腺外科への相談を検討してください。
本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
お腹の血管が出ていて悩んでおられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。
足の血管に沿うしこり・静脈瘤が気になる方へ
一方、足の血管に沿った赤み・痛み・硬いしこりや、下肢静脈瘤が気になる場合は、当院でも足の状態を診察し、超音波検査で確認できます。




