足が赤く腫れている! 原因について解説

うっ滞性皮膚炎とかゆみ・黒ずみ

「足がむくんで赤く腫れている…」

「痛みもあるし、何が原因なんだろう?」

など、足が赤く腫れているにも関わらず、その原因や疾患が分からず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、足が赤く腫れる時(赤いむくみがある時)、その原因となる疾患について解説します。

なお「これって静脈瘤なのか、それ以外なのか」で迷ったときの全体像は、こちらの記事でまとめていますので、先に全体像をつかみたい方は参考にしてみてください。

ではここから、足が赤く腫れる原因を整理していきます。

まず大きな原因の分け方を示した上で、症状の経過や、医療機関への相談を考える目安も確認できるように解説します。

足が赤く腫れる時(赤いむくみがある時)は、主に次のような原因が考えられます。

  • 感染症によるもの…蜂窩織炎、丹毒、壊死性筋膜炎
  • 脈管の異常によるもの…血栓性静脈炎、深部静脈血栓症、リンパ浮腫、下肢静脈瘤、うっ滞性皮膚炎

これらは、腫れ、赤み、痛みなど共通する症状があり、見た目だけでは区別が難しいことがあります。症状の出方や経過を確認し、必要に応じて検査を行うことで、原因に合った対応を考えやすくなります。症状が急に強くなっている場合などは、医療機関への相談をご検討ください。

動画でも解説しています

動画では、足が赤く腫れる主な原因と、原因を考えるときのポイントを解説しています。文章より動画の方が分かりやすい方は、こちらもご覧ください。

1.感染症によるもの(細菌が入り赤く足が腫れる病気)

発熱や熱感が強い場合は 感染症が原因のことがあります。感染症によるものとして

  • 蜂窩織炎
  • 丹毒
  • 壊死性筋膜炎

が挙げられます。

蜂窩織炎 (ほうかしきえん)

蜂窩織炎は皮下組織の感染症で、細菌が皮膚に侵入して炎症を引き起こします。主な原因菌は皮膚表在に存在する連鎖球菌や黄色ブドウ球菌です。

症状としては、赤み、腫れ、熱感、痛みで、発熱や悪寒が認められます。

感染部位は通常、皮膚が傷ついた場所や水虫による皮むけから始まりますが、はっきりとしないことも多々あります。

治療には抗生物質が用いられ、重症例では入院治療が必要になることもあります。診断は主に臨床診断ですが、血液検査や細菌培養が行われることもあります。

丹毒 (たんどく)

丹毒は皮膚の浅い層の急性感染症で、原因菌は主に連鎖球菌です。蜂窩織炎とは異なり、丹毒は皮膚の表層に限局し、境界がはっきりした赤みが特徴です。

また、発熱や悪寒、倦怠感などの全身症状が伴います。治療は抗生物質の投与が基本です。診断は臨床診断が主ですが、血液検査や細菌培養が行われることもあります。

壊死性筋膜炎 (えしせいきんまくえん)

壊死性筋膜炎は筋膜の急速進行性壊死を伴う重篤な感染症で、

  • 非常に激しい痛み
  • 腫れ
  • 皮膚の変色(水疱や黒ずみ)
  • 発熱やショック

などの全身症状が見られます。

原因は主に混合感染で連鎖球菌・ブドウ球菌・嫌気性菌などが関与します。いわゆる人食いバクテリアが原因となることもあり、非常に危険な感染症です。

診断には緊急の臨床診断が必要で、画像診断(CT、MRI)、血液検査などが有効ですが、何よりも病変部に小さな切開を入れて筋膜部の所見を確認することが確実です。

非常に重篤な感染症であるため、通常、緊急入院となり、治療は速やかな外科的デブリードマンと広域スペクトルの抗生物質投与を行うことになります。

蜂窩織炎、丹毒、壊死性筋膜炎いずれも治療は可能ですが、治療後もむくみがしばらく残ることがあります。

2.脈管の異常によるもの(脈管に異常が起きたことで赤く腫れている)

片足だけ急に腫れる、痛みが強い、重だるいなどが目立つ場合は 静脈瘤や血栓などを含めた脈管の評価が必要になることがあります。脈管の異常によるものとして、

  • 血栓性静脈炎
  • 深部静脈血栓症
  • うっ滞性皮膚炎
  • リンパ浮腫

が挙げられます。

血栓性静脈炎 (けっせんせいじょうみゃくえん)

血栓性静脈炎は、静脈の炎症と血栓形成が特徴で、主に四肢の浅い静脈に起こる血栓のことをさします。原因としては

  • 下肢静脈瘤などによる血液の停滞
  • 外傷
  • 手術後の合併症

などが挙げられます。

「足の血管が詰まる病気では?」と心配される方もいますが、下肢静脈瘤そのものは、血管が詰まる病気ではありません。静脈の弁がうまく働かず、血液が逆流して血管が拡張する病気です。ただし、下肢静脈瘤がある方では、血流が滞った表在静脈に血栓性静脈炎を起こすことがあります。症状には

  • 患部の赤み
  • 腫れ
  • 痛み
  • 硬結

などが認められます。

今まで痛くなかった静脈瘤の血管が急に腫れて痛くなった場合は、血栓性静脈炎の可能性を考えます。症状が血管に沿って線状に現れることが特徴です。

診断には、診察に加えて超音波検査(下肢静脈エコー)が行われます。治療は抗炎症薬が中心ですが、血栓の範囲や部位などによっては、血栓が大きくなるのを抑える抗凝固薬を使用することがあります。

深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう) いわゆるエコノミー症候群/ロングドライブ症候群(DVT:deep vein thrombosisともいいます)

血栓性静脈炎が浅い静脈に起こる血栓であるのに対して、深部静脈血栓症は深い静脈に起こる血栓のことをさします。

この血栓は静脈を部分的または完全に塞ぎ、血液の流れを妨ぐため通常、罹患した足全体が急激に腫れます。患部は痛く、だる重くなります。

日本人の場合、ふくらはぎのヒラメ筋の静脈血栓の頻度が高い傾向があります。症状としては、ふくらはぎの痛みが急に片足にだけ起こった場合、その原因として血栓ができてしまった可能性があります。

深部静脈血栓症は、放置すると血栓が残ったり悪化したりすることがあり、血栓が血流に乗って肺に到達して肺塞栓症を引き起こすリスクもあります。原因としては

  • 外傷や手術後の合併症
  • 長時間の座位や寝たきり
  • ホルモン療法やピルの服用

などが挙げられます。診断には臨床診断の他、

  • 超音波検査(下肢静脈エコー)
  • 血液検査(Dダイマーの測定)
  • CT検査

などが行われます。治療は抗凝固薬が基本となり、血栓の状態次第で投薬・治療期間を調整します。

うっ滞性皮膚炎 (うったいせいひふえん) 

うっ滞性皮膚炎は、足の静脈うっ血が背景となって起こる皮膚の赤みや炎症です。症状には、

  • 足首周辺の赤み
  • むくみ
  • かゆみ
  • 乾燥
  • 色素沈着
  • 皮膚の硬化
  • 潰瘍形成

などがあります。

また、炎症が強い場合には、鼠径部のリンパ節腫脹がみられ、患者さんが「太もものリンパが痛い」と感じることもあります。

原因としては、下肢静脈瘤などによる慢性静脈不全が挙げられます。静脈の関与が疑われる場合は、超音波検査(下肢静脈エコー)で静脈の状態を確認します。

皮膚の炎症に対する塗り薬は大切ですが、背景に静脈うっ滞がある場合は、塗り薬だけでは症状を繰り返すことがあります。静脈うっ滞が長く続くと皮膚潰瘍につながることもあるため、皮膚の状態を整えながら、必要に応じて原因の評価と治療(カテーテル治療や圧迫療法など)を検討します。

うっ滞性皮膚炎は、原因にさまざまな背景があることも多いため、対策と詳しい原因については別記事でまとめています。うっ滞性皮膚炎について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

リンパ浮腫 (りんぱふしゅ)

リンパ浮腫はリンパ系の障害により慢性的に浮腫が生じる状態で、特に四肢に多く見られます。症状としては、

  • 足や腕の腫れ
  • 重だるさ
  • 皮膚の硬化

などがあります。

特徴として足や腕の腫れは足・腕全体に及び、太ももから足首・足先・上腕から手首・指先まで腫れていることが一般的です。

むくみについても、はじめは圧痕性浮腫(指で押すとへこむむくみ)を生じますが、進行すると非圧痕性浮腫(押してもへこまない浮腫)となります。この違いがリンパ浮腫と通常の浮腫を鑑別する上で重要となります。

手術や外傷などが原因となることが多く、骨盤の放射線治療などが原因となることもあります。診断には臨床診断が基本ですが、エコーやリンパシンチグラフィーなどの画像検査が有効です。治療はリンパ管吻合手術、圧迫療法、リンパドレナージ(リンパマッサージ)などが推奨されます。


赤みの背景には、むくみの評価が必要なことも多いため原因と対策は別記事でまとめています。足のむくみで悩んでいる方はぜひ、こちらも併せてご覧ください。

足首に赤い斑点がある? 静脈のうっ滞が関係することも

「足首に細かな赤い斑点が出た」「くるぶしの周りが赤い」というとき、下肢静脈瘤などによる静脈のうっ滞が関係していることがあります。ただし、足首の赤い斑点がすべて静脈瘤やうっ滞性皮膚炎によるものではありません。

静脈のうっ滞が関係する場合は、赤みだけでなく、夕方のむくみ、足の重だるさ、かゆみ、乾燥、足首の内側の茶色い色素沈着などを伴うことがあります。

見た目だけで原因を決めることはできません。

湿疹やかぶれ、虫刺され、皮膚の下の小さな出血(紫斑)などでも似た見た目になることがあります。また、赤みが広がる、熱をもつ、痛みや腫れが強い場合は、感染症なども考えます。

赤みが続く、赤い斑点が同じ場所に繰り返し出る、むくみや血管の浮きもある場合は、一度状態を確認してもよいかもしれません。診察では皮膚の状態や症状の経過を確認し、静脈の関与が疑われる場合は超音波検査で静脈の逆流や血栓の有無を調べます。検査をしても治療が必要とは限らず、皮膚の治療や経過観察が適していることもあります。

静脈瘤に伴う皮膚症状をまとめて確認したい方へ

赤みだけでなく、かゆみ、黒ずみ、皮膚の硬さなど、静脈瘤に伴う皮膚症状の全体像はこちらで解説しています。

足の赤みや腫れが気になるときは、症状の経過も含めて確認しましょう

足が赤く腫れているときに考えられる主な原因を解説しました。

感染症(蜂窩織炎、丹毒、壊死性筋膜炎)と、脈管の異常(血栓性静脈炎、深部静脈血栓症、うっ滞性皮膚炎、リンパ浮腫)は、赤み、腫れ、痛みなど共通する症状があり、見た目だけでは区別しにくいことがあります。また、足首の赤い斑点や赤みには、湿疹など皮膚の炎症や、皮下出血など別の原因が関係することもあります。

赤みや腫れが続く、同じ場所に繰り返し赤みが出る、あるいは症状が強くなっているなど、判断が難しい場合は、診察で状態を確認できます。必要に応じて検査を行い、治療が必要か、皮膚のケアや経過観察でよいかを整理します。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。

困っておられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば、記事をシェアしていただけますと幸いです。

健康の土台は足にあります。

足の赤みや腫れの原因はさまざまです。当院では、血管の浮きや夕方のむくみ・重だるさ、足首周囲の赤みや色素沈着など、下肢静脈瘤との関係が気になる方の診察・検査を行っています。該当する方は、以下からお問い合わせいただけます。

この記事を書いた人
春山興右

このブログでは、日々の診療の中で感じたことや、患者さんから実際によくいただく質問などをもとに書き始めました。
教科書的な内容はもちろんですが、本には書かれていない、現場で診療を続けていて初めてわかる知恵や皆さんが知りたいと感じることを、素朴に、わかりやすくお伝えしていけたらと思っています。

静脈瘤の診療は、国内外で取り組んできた医療ボランティア活動と並んで、私にとっては大切なライフワークであり、生きがいのような存在です。
ところどころ熱が入りすぎてしまったり、至らない点も多いかと思いますが、どうか温かい目でご覧いただけたら嬉しいです。

資格は、脈管専門医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医、皮膚科専門医、男性ストッキング・圧迫療法コンダクターなどです(治療者兼当事者であり、毎日弾性ストッキングを履いています)。
よろしくお願いしますm(_ _)m

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