太ももの内側・足の付け根が痛い原因は?筋肉・股関節・しこりとの関係

太ももの内側に手を添えた女性と、痛みの原因・受診の目安を示すイラスト 静脈瘤と間違えやすい病気

「太ももの内側が痛いけれど、筋肉痛なのだろうか」
「足の付け根にしこりがあり、押すと痛い」

このあたりの痛みは、筋肉なのか、関節なのか、リンパ節なのか、ご自身では分かりにくいこともあると思います。

この記事では、太ももの内側や足の付け根の痛みについて、動かしたときに痛む場合、しこりを伴う場合、血管が目立つ場合に分けて解説します。

結論としては、筋肉や腱、股関節などの問題のほか、しこりがある場合には皮膚の炎症やリンパ節の腫れなども考えます。痛む場所に加え、動作との関係や、しこり・むくみの有無を確認することが、原因を考える手がかりになります。[1–4]

足の付け根はどこ?太ももの内側との違い

足の付け根は、下腹部と太ももの境目付近にあたり、医学的には鼠径部(そけいぶ)と呼びます。太ももの内側は、そこから膝の内側へ向かう範囲です。[1,3]

この付近には、筋肉や腱、股関節、リンパ節、血管などがあります。同じ「付け根が痛い」という訴えでも、皮膚に近いしこりが痛む場合と、股関節を動かしたときに奥が痛む場合では、考える原因が異なります。[1,3,4]

動かすと太ももの内側・足の付け根が痛い場合

運動をきっかけに、太ももの内側が痛くなったとき

太ももの内側には、脚を内側に寄せる内転筋(ないてんきん)という筋肉があります。運動中にこの筋肉や腱を傷めると、内ももから足の付け根付近に痛みが出ることがあります。[1]

運動中に急に痛くなったのか、翌日になって痛み始めたのか、押したときや脚を動かしたときにどこが痛むのかを確認します。痛みが長く続く場合には、筋肉だけでなく腱の問題も含めて考えます。[1]

痛みを我慢して同じ運動を続けるよりも、いったん負担を減らすことが大切です。運動の再開は、痛みの経過や診察の結果に応じて進めます。[1]

歩く・股関節を曲げると、付け根の奥が痛むとき

股関節の問題でも、足の付け根付近に痛みが出ることがあります。歩いたり、股関節を曲げたり回したりすると痛む、関節が動かしにくい、といった症状は診察の手がかりになります。[2]

例えば変形性股関節症では、歩行時などの痛みや、関節の動かしにくさがみられます。痛みが続く場合や歩き方に影響している場合は、整形外科で相談するとよいかと思います。必要に応じて、診察や画像検査で股関節などの状態を確認します。[2]

足の付け根に、痛いしこり・できものがある場合

症状や経過を医師に相談する様子のイメージ
症状や経過を医師に相談する様子のイメージ

太ももの内側の「リンパが痛い」と感じるとき

足の付け根にはリンパ節があり、足の皮膚の感染症などに反応して腫れることがあります。腫れたリンパ節に痛みを伴う場合もあります。[4]

ただし、付け根の痛みやしこりが、すべてリンパ節によるものとは限りません。診察では、しこりの位置や大きさ、硬さ、皮膚の赤み、足の傷や皮膚症状などを確認します。しこりが残る場合や大きくなる場合、発熱などを伴う場合は、かかりつけの内科の先生などに相談するのがよいかと思います。[4,5]

皮膚に近いできものが、赤く腫れて痛むとき

皮膚の下にできる粉瘤(ふんりゅう)なども、炎症を起こすと赤みや痛みを伴います。皮膚に近いできものなのか、その奥のリンパ節などが腫れているのかは、診察で区別します。[6]

皮膚の赤みや、できもの自体の痛みが気になる場合は、皮膚科が相談先の一つになります。

立つとふくらみ、横になると目立たなくなるとき

立ったときや、咳・いきみなどで付け根のふくらみが目立つ場合は、鼠径ヘルニアなども考えます。鼠径ヘルニアは、おなかの中の組織が足の付け根の弱い部分から出てくる状態です。痛みや違和感を伴うこともあり、外科で診察します。[3]

ふくらみに強い痛みが出た場合は、救急外来などで速やかに診てもらうことが大切です。[3]

太ももの内側の痛みは、静脈瘤と関係しますか?

下肢静脈瘤などの静脈の病気では、脚の重さやだるさ、むくみを伴うことがあります。立っているとつらくなり、脚を上げると軽くなるか、血管のこぶや皮膚の変化もあるかなどが、静脈の状態を調べる手がかりになります。[7]

一方、太ももの内側の一部が痛む場合は、筋肉や関節などの原因も考えます。血管が見えることと、その痛みが血管によるものかどうかは、分けて確認する必要があります。[1,2,7]

血管のふくらみや慢性的なむくみもあり、静脈瘤との関係が気になる場合は、血管外科や静脈瘤を診療する医療機関も相談先になります。静脈エコー検査では、静脈の逆流や血栓の有無などを確認します。[7]

陰部や足の付け根に見える血管については、静脈のつながりや妊娠・産後の考え方を別の記事で説明しています。

陰部や足の付け根の血管がふくらむのは静脈瘤?相談先と妊娠・産後の考え方
陰部や足の付け根、太ももの裏に血管がふくらむときの相談先、妊娠・産後の経過、検査と硬化療法の考え方を、静脈瘤を診療する医師が説明します。

なお、片足が急に腫れて痛む場合は、深部静脈血栓症なども確認する必要があります。いつものむくみとは分けて考え、速やかに診察を受けることが大切です。[8]

まとめ:痛む場所と、動作・しこり・むくみの関係を確認します

太ももの内側や足の付け根の痛みには、筋肉や腱、股関節の問題のほか、リンパ節や皮膚のできもの、ヘルニアなど、さまざまな原因があります。

運動をきっかけにしたか、歩いたり股関節を動かしたりすると痛むか、しこりやむくみもあるかを、受診の際に伝えていただくとよいかと思います。

血管のこぶや慢性的なむくみも気になる方へ

血管のこぶや慢性的なむくみも気になる場合には、静脈瘤を診療する医療機関で、静脈との関係を相談するとよいかと思います。痛みの原因を調べたうえで、それぞれに合った対応を考えることが大切です。

本記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献・出典

[1] McHugh MP, Nicholas SJ, Tyler TF. Adductor Strains in Athletes. Int J Sports Phys Ther. 2023;18(2):288–292. doi:10.26603/001c.72626. https://doi.org/10.26603/001c.72626

[2] Chamberlain R. Hip Pain in Adults: Evaluation and Differential Diagnosis. Am Fam Physician. 2021;103(2):81–89. https://www.aafp.org/afp/2021/0115/p81

[3] Shakil A, Aparicio K, Barta E, Munez K. Inguinal Hernias: Diagnosis and Management. Am Fam Physician. 2020;102(8):487–492. https://www.aafp.org/afp/2020/1015/p487

[4] Gaddey HL, Riegel AM. Unexplained Lymphadenopathy: Evaluation and Differential Diagnosis. Am Fam Physician. 2016;94(11):896–903. https://www.aafp.org/afp/2016/1201/p896

[5] Falk N, Joseph R, Dieujuste M. Lymphadenopathy: Evaluation and Differential Diagnosis. Am Fam Physician. 2025;112(3):286–293. https://www.aafp.org/afp/2025/0900/lymphadenopathy

[6] Achar S, Yamanaka J, Oberstar J. Soft Tissue Masses: Evaluation and Treatment. Am Fam Physician. 2022;105(6):602–612. https://www.aafp.org/afp/2022/0600/p602

[7] Gasparis AP, Kim PS, Dean SM, Khilnani NM, Labropoulos N. Diagnostic approach to lower limb edema. Phlebology. 2020;35(9):650–655. doi:10.1177/0268355520938283. https://doi.org/10.1177/0268355520938283

[8] National Institute for Health and Care Excellence. Venous thromboembolic diseases: diagnosis, management and thrombophilia testing. NICE guideline NG158. 2020. Updated August 2, 2023. Accessed October 20, 2026. https://www.nice.org.uk/guidance/ng158/chapter/Recommendations

この記事を書いた人
春山興右

このブログでは、日々の診療の中で感じたことや、患者さんから実際によくいただく質問などをもとに書き始めました。
教科書的な内容はもちろんですが、本には書かれていない、現場で診療を続けていて初めてわかる知恵や皆さんが知りたいと感じることを、素朴に、わかりやすくお伝えしていけたらと思っています。

静脈瘤の診療は、国内外で取り組んできた医療ボランティア活動と並んで、私にとっては大切なライフワークであり、生きがいのような存在です。
ところどころ熱が入りすぎてしまったり、至らない点も多いかと思いますが、どうか温かい目でご覧いただけたら嬉しいです。

資格は、脈管専門医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医、皮膚科専門医、弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターなどです(治療者兼当事者であり、毎日弾性ストッキングを履いています)。
よろしくお願いしますm(_ _)m

春山興右をフォローする
静脈瘤と間違えやすい病気
シェアする
春山興右をフォローする
タイトルとURLをコピーしました