在宅勤務で増加するエコノミークラス症候群のリスクと予防法

弾性ストッキングの選び方と使い方

「最近、在宅勤務が増えて椅子に座りっぱなし…」

「長時間座り続けると何か身体に影響があるの?」

など、在宅勤務やオンラインゲームに没頭するあまり長時間座っている方も多いのではないでしょうか。
在宅勤務で問題になりやすいのは 血栓だけでなく 血糖や血圧 体重の増えやすさ 腰や首の不調など 座りっぱなしが続くこと自体の健康リスクです。

この記事では、在宅勤務の方やオンラインゲームに夢中になる方が増えている中で懸念されている深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)について解説します。長時間座り続けることによる血栓症のリスク、初期症状、日常生活でできる対策について解説します。

こちらのブログの内容は、以下の動画でも解説しています。

なお、血栓の全体像(血栓性静脈炎とDVTの違い、症状、原因、予防、受診の目安)については、こちらの記事でまとめています。まず血栓の全体像を押さえたい、という方は こちらの記事もご覧ください。

足の血栓とは?症状・原因・予防・受診目安を医師が解説(深部静脈血栓症 エコノミークラス症候群からモンドール病まで)
足の血栓は「どこにできたか」で危険度が変わります。命に関わり得るDVTと肺塞栓のサイン、よくある血栓性静脈炎、ピルや長時間座位のリスクと予防、モンドール病など類似疾患、受診の目安と検査の考え方を医師がわかりやすく整理します。

深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)とは?

エコノミークラス症候群は、長時間の座位による静脈血栓症を指し、特に深部静脈に血栓が形成されたもののことをさします。座りっぱなしは生活習慣病や体の不調にも関係しますが その中で 緊急性の観点から知っておきたいのが血栓です。

この血栓が肺に移動すると肺塞栓症を引き起こし、最悪の場合、死亡することがあります。エコノミークラス症候群という名前のとおり、以前は長時間のフライトの後に起こることで有名となりました。6時間をこえる長時間のフライトを経験したときに、このような状態になる傾向があることが知られています。

飛行機の中だけでなく、在宅勤務やオンラインゲームなどで長時間座り続ける場合にも、足を動かさない時間が長くなることに注意します。

エコノミークラス症候群の初期症状

エコノミークラス症候群の初期症状には、以下のものが含まれます:片足だけの腫れや痛みなど いつもと違う変化があるか、をまず確認します。

  • 片足の腫れ: 特にふくらはぎや足首が腫れる、むくむ(心不全などの場合は両足が腫れますが、エコノミー症では通常片足が腫れます)
  • 下肢の痛みや不快感: ふくらはぎや太ももに感じる鈍い痛み、圧迫感、または違和感
  • 皮膚の変色: 影響を受けた部分の皮膚が青白く変わったり、赤みを帯びることがある

進行した場合、肺梗塞といって血栓が肺に達することで、胸痛、息切れ、失神などが生じることがあります。最悪の場合、死亡することもあるため、これらの症状については緊急の医療処置が必要です。

予防策

休憩、脚の運動、水分補給、着圧ソックスを描いた図

エコノミークラス症候群の予防には、以下の方法が推奨されます:

  • 頻繁な休憩: 毎時間少なくとも5分間は立ち上がって動くようにしましょう。これにより血液の循環が促進されます。
  • 足の運動: 座っている時でも、足首を動かしたり、ふくらはぎの筋肉を使う運動を取り入れると良いでしょう。
  • 水分を極端に控えない: 脱水を避け、体調に合わせて水分をとります。ただし、水分補給だけで血栓を予防できると確認されているわけではありません。[1]
  • 弾性ストッキング(着圧ソックス)の使用: 弾性ストッキング(着圧ソックス)は、静脈の血流を促進し、血栓の予防に役立ちます。

どれも特別なことではありませんが、こういった小さな積み重ねが足の健康にはとても大切になってきます。血栓予防だけでなく、座りっぱなしによる不調を減らす意味でも、まずは連続して座り続けない工夫が基本になります。

弾性ストッキングの使用方法などを詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
サイズや圧の選び方で 続けやすさや実感が変わるため 先に基本を確認しておくと安心です。

弾性ストッキング(着圧ソックス)はいつ履くべきか?
弾性ストッキングや着圧ソックスはいつ履くのがよいのか、朝・昼・夜・寝るときの使い方を医師が解説。むくみ、だるさ、立ち仕事やデスクワークでの使い方、履かない方がよい場合の注意点も紹介します。

エコノミークラス症候群になりやすい人

  • 以前に深部静脈血栓症を経験したことがある方
  • 最近手術を受けた方
  • 肥満の方
  • 妊娠中の方
  • 高齢者
  • ホルモン療法を受けている方

こうした方は、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)のリスクが高くなります。思い当たる場合は注意が必要です。これらの方々は、定期的な健康チェックや医療機関での相談をお勧めします。

参考文献・出典

[1]Reyes NL, Abe K. Deep Vein Thrombosis and Pulmonary Embolism. CDC Yellow Book: Health Information for International Travel. 2026 edition. Updated April 23, 2025. 原文・出典

エコノミークラス症候群の初期症状が現れたら速やかに医療機関を受診しましょう

在宅勤務やオンラインゲームなどで長時間座り続ける場合も、途中で足を動かすことを意識するとよいと思います。
座りっぱなしが続くと 血栓に限らず 体重や血圧などの面でも影響が出やすいため 早めに対策を始めることが大切です。

適切な予防策を講じ、初期症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。長時間座り続けず、無理のない範囲で足を動かすようにしましょう。水分も、普段の体調や持病に合わせてとるようにします。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
在宅勤務となり運動不足になってしまった方や過去にエコノミークラス症候群になったことのある方はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。


健康の土台は足にあります。もし当院への受診や御相談の御希望がございましたら、お気軽にお問合せください。
患者様一人ひとりの状態に合わせて、検査から治療まで誠実に対応させていただきます。

この記事を書いた人
春山興右

このブログでは、日々の診療の中で感じたことや、患者さんから実際によくいただく質問などをもとに書き始めました。
教科書的な内容はもちろんですが、本には書かれていない、現場で診療を続けていて初めてわかる知恵や皆さんが知りたいと感じることを、素朴に、わかりやすくお伝えしていけたらと思っています。

静脈瘤の診療は、国内外で取り組んできた医療ボランティア活動と並んで、私にとっては大切なライフワークであり、生きがいのような存在です。
ところどころ熱が入りすぎてしまったり、至らない点も多いかと思いますが、どうか温かい目でご覧いただけたら嬉しいです。

資格は、脈管専門医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医、皮膚科専門医、弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターなどです(治療者兼当事者であり、毎日弾性ストッキングを履いています)。
よろしくお願いしますm(_ _)m

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