「足のむくみや冷え、皮膚の色の変化があるけれど、下肢静脈瘤なのだろうか」
「静脈瘤だと思って受診したら、別の病院を紹介された」
このような疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
足の症状は、静脈だけでなく、動脈の血流低下、血管の一時的な収縮、皮膚の細い血管の血流障害などでも起こります。そのため、下肢静脈瘤と似て見えても、原因や必要な治療が異なる場合があります。
この記事では、静脈瘤と間違いやすい足の血管・血流の病気として、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、レイノー病、リベド血管症(リベド血管炎)の特徴と違いを解説します。
動脈と静脈の違いについては、こちらの記事をご覧ください。

また、「静脈瘤かも?」と悩むときに、似ている病気をまとめて確認したい方は、こちらで全体像を整理していますので、よかったらご覧になってみてください。

静脈瘤と間違いやすい足の血管・血流の病気

下肢静脈瘤は静脈の病気ですが、よく似た足の症状は、動脈や皮膚の細い血管の異常でも起こります。
閉塞性動脈硬化症は動脈硬化によって足への血流が低下する病気、バージャー病は主に手足の動脈や静脈に炎症と血栓を生じる病気です。レイノー病は寒さなどによって血管が一時的に収縮する病気で、リベド血管症は皮膚の細い血管に血栓が生じる病気です。
似た症状でも原因と治療は異なります。それぞれの特徴を確認していきましょう。
足の血管が詰まる原因|閉塞性動脈硬化症(足の動脈硬化)とセルフチェック

閉塞性動脈硬化症とは、動脈の壁にコレステロールや脂肪が蓄積することで動脈が硬化し、血流が制限される病気です。名前が難しいですが、要するに足の動脈硬化のことです。
主に大動脈や大腿動脈などの大きな動脈に影響を与え、50歳以上の男性に多く見られます。
主なリスク因子には、次のようなものがあります。
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 肥満
- 喫煙
こうした生活習慣病や喫煙との関係が深く、動脈硬化によって血管が少しずつ細くなっていきます。
いわゆる、足の血管が詰まる病気です。男性に多く認められますが、女性にも起こります。いつまでも血管を健康に維持するためには、生活習慣を見直すことが大切です。
初期には症状がないこともありますが、進行すると、一定の距離を歩いたときにふくらはぎなどが痛くなり、少し休むとまた歩けるようになることがあります。
血管の詰まりを調べる検査|動脈と静脈で違う?
血管の詰まりを調べる検査は、動脈か静脈か、どの部位を調べるかによって異なります。
閉塞性動脈硬化症の診断には通常、ABI(足関節上腕血圧比)という検査が用いられます。[1]
ABIは、両腕と両足首の血圧を測り、足首の血圧と腕の血圧の比を調べる検査です。足首の血圧が腕の血圧よりも低い場合は、足の動脈が狭くなったり、詰まったりしている可能性があります。
ABIが0.9以下の場合は、足の動脈が狭くなったり詰まったりして、血流が低下している可能性を考えます。[1]
検査は短時間で行うことができ、痛みもほとんどありません。足の動脈の健康状態を確認するために役立つ検査です。
ABIは血流低下を調べる手がかりで、詰まった場所をすべて示す検査ではありません。血管の状態を詳しく調べる必要がある場合は、超音波検査などを追加します。[1]
一方、足の静脈の血栓が疑われる場合は、症状や診察所見に応じて静脈エコー検査などで調べます。[2]下肢静脈瘤でみる血液の逆流は、血管の詰まりとは異なる異常です。静脈エコー検査では、逆流の有無や範囲も確認します。[3]
足の動脈硬化のセルフチェック
足の動脈硬化が心配な方は、足の甲(足背)を触れてみましょう。この部分には、足背動脈(そくはいどうみゃく)という血管があります。
左右を触り比べて、両方とも拍動がはっきり分かる場合は、足の血流が保たれている一つの目安になります。ただし、このセルフチェックはあくまで目安です。脈の触れ方には個人差があり、脈が触れるかどうかだけで足の動脈硬化の有無が完全に分かるわけではありません。
このセルフチェックだけでは分からない足の血流は、先ほどご紹介したABI(足関節上腕血圧比)で詳しく確認できます。ABIでは両腕と両足首の血圧を比べ、足の動脈が狭くなっていないかを調べます。
むくみ(浮腫)のチェック(押すだけ!圧痕性浮腫の確認方法)
閉塞性動脈硬化症では、むくみは必ずしも代表的な症状ではありませんが、「本当にむくんでいるのか」を確認したい方も多いのではないでしょうか。
むくみ(浮腫)の程度を、ご自身で簡単にセルフチェックする方法があります。すねの前や足首、足背(足の甲)の皮膚を指で押し、10秒ほどたってから指を離してみてください。
押した跡がすぐに戻らず、しばらくへこんだままになる場合は、むくみがある一つの目安になります。むくみが強い方では、へこみが長く残ることもあります。
左右の足を比べてみることも大切です。片足だけがむくんでいるのか、両足ともむくんでいるのか、朝と夕方で変化するのかも一緒に確認してみてください。
この方法は、靴下の跡が残るけれど本当にむくんでいるのか分からない方にも、状態を確認する目安として役立ちます。ただし、へこみの有無だけで原因まで分かるわけではありません。
むくみがあるからといって、すぐに重い病気というわけではありません。まずは慌てずに、左右差や時間による変化を見てみるとよいでしょう。
バージャー病の特徴

バージャー病(閉塞性血栓血管炎)は、主に小~中型の動脈や静脈に炎症と血栓形成を引き起こし、血管を閉塞する病気です。
特に若い男性(20~40歳代)に多く見られ、喫煙が主なリスク因子とされています。バージャー病は動脈硬化とは異なり、下肢や上肢の細い血管に起こります。
基礎疾患のない若い方で喫煙歴がある場合には、バージャー病も考える必要があります。喫煙との関係が非常に深い病気ですが、診断には動脈硬化や自己免疫疾患など、ほかの病気を除外することも必要です。
レイノー病・レイノー現象の特徴

レイノー現象は、寒さや精神的な緊張などをきっかけに、手足の指の血管が一時的に収縮し、皮膚の色が変わる状態です。白や青紫色になり、温まって血流が戻ると赤くなることがあります。[6]
ほかの病気に伴わない原発性(レイノー病)と、全身性強皮症などに伴う続発性があります。[6]
寒い場所で指先の色が変わっても、温めると元に戻ることがあります。繰り返す場合は、いつ、どのような状況で色が変わるのかを確認してみるとよいでしょう。
リベド血管症(リベド血管炎)の特徴

リベド血管症は、以前は「リベド血管炎」と呼ばれていた病気です。現在は、炎症を主体とする血管炎ではなく、皮膚の細い血管に血栓が生じて血流が悪くなる病気と考えられているため、「リベド血管症」という名称が使われます。
早い段階では、足首から足の甲などに、網目状または枝分かれしたような紫色の斑が現れます。痛みを伴うことが多く、進行すると小さな潰瘍を繰り返し、治ったあとに白い傷あとや色素沈着が残ることがあります。
原因は一つではなく、血液が固まりやすくなる病気や自己免疫疾患などが関係する場合もありますが、検査をしても明確な原因が分からないこともあります。
下肢静脈瘤による色素沈着は、主に足首周辺が茶色く変化します。一方、リベド血管症では、網目状の紫色の変化や痛み、潰瘍などが手がかりになります。
ただし、見た目だけで判断することは難しいため、このような症状が続いて気になる場合は、皮膚科などで一度相談してみてもよいかもしれません。
血管炎では、どのような皮膚症状が出る?
血管炎は血管の壁に炎症が起こる病気で、リベド血管症とは成り立ちが異なります。皮膚の細い血管に起こる場合には、足などに、押しても色が消えない赤紫の斑点(紫斑)が出ることがあります。触れるとわずかな盛り上がりが分かる紫斑も、特徴の一つです。[4,5]
血管炎でみられる紫斑の一例[4,5]

ただし、紫斑の原因は血管炎だけではありません。診察では経過や皮膚の状態を確認し、必要に応じて血液・尿の検査や、皮膚の一部を採って調べる検査を組み合わせます。[4,5]
下肢静脈瘤と似た症状でも、原因はさまざまです
足の冷えや痛み、皮膚の色の変化は、下肢静脈瘤だけでなく、動脈や皮膚の細い血管などが関係して起こることもあります。見た目が似ていても、原因によって考え方や治療は異なります。
ただし、ご自身で正確な病名まで判断する必要はありません。まずは慌てずに、いつから症状があるのか、左右で違いがあるのか、歩いたときや寒いときに変化するのかを確認してみてください。
症状が続いて気になる場合は、かかりつけの医療機関や、症状に合った診療科で一度相談を検討してもよいかもしれません。
下肢静脈瘤だと思って受診しても、検査の結果、別の病気が考えられることがあります。その場合は、症状に合った診療科をご案内することもあります。
参考文献・出典
[1] Gornik HL, et al. 2024 ACC/AHA/AACVPR/APMA/ABC/SCAI/SVM/SVN/SVS/SIR/VESS Guideline for the Management of Lower Extremity Peripheral Artery Disease: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Joint Committee on Clinical Practice Guidelines. Circulation. 2024;149(24):e1313–e1410. doi:10.1161/CIR.0000000000001251. https://doi.org/10.1161/CIR.0000000000001251
[2] Kakkos SK, et al. Editor’s Choice – European Society for Vascular Surgery (ESVS) 2021 Clinical Practice Guidelines on the Management of Venous Thrombosis. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2021;61(1):9–82. doi:10.1016/j.ejvs.2020.09.023. https://doi.org/10.1016/j.ejvs.2020.09.023
[3] De Maeseneer MG, et al. Editor’s Choice – European Society for Vascular Surgery (ESVS) 2022 Clinical Practice Guidelines on the Management of Chronic Venous Disease of the Lower Limbs. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2022;63(2):184–267. doi:10.1016/j.ejvs.2021.12.024. https://doi.org/10.1016/j.ejvs.2021.12.024
[4] 日本皮膚科学会.皮膚科Q&A「血管炎・紫斑病」Q1 血管炎とはどのような病気ですか?/Q3 血管炎の皮膚症状の特徴は何ですか?/Q4 紫斑とは何ですか?(2026年10月22日閲覧) Q1、Q3、Q4
[5] British Association of Dermatologists. Cutaneous vasculitis. Patient Information Leaflet. Updated July 2023. https://www.bad.org.uk/pils/cutaneous-vasculitis(2026年10月22日閲覧)
[6] National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases. Raynaud’s Phenomenon. Last reviewed July 2024. https://www.niams.nih.gov/health-topics/raynauds-phenomenon(2026年10月23日閲覧)
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