「寝ているときに足がつって、なかなか寝付けない……」
「寝たはずなのに足がだる重い……」
「またつるのではないかと思うと、眠るのが少し怖い……」
夜中や明け方のこむら返りは、珍しいことではありません。痛みは強くても、多くは一時的な筋肉のけいれんです。
私の外来でも、毎晩足がつって眠る前から不安になる方や、つった後の痛みが翌日まで残る方、湿布を貼ってしのいでいる方に出会います。痛みだけでなく、「また今夜もつるのでは」という不安がつらいこともあります。
ただ、毎晩のように繰り返す、眠れないほど困っている、むくみやしびれなど別の症状もある場合は、単に「水分不足かな」で終わらせず、一度原因を分けて考えた方がよいこともあります。
足がつったその場では「ゆっくり伸ばす」。繰り返す場合は「その背景を分けて考える」。この2つを分けると、落ち着いて対処しやすくなります。
この記事では、夜間や朝方に足がつる仕組み、その場でできる対処、よくある原因、病院へ相談する目安を解説します。

解説動画|足がつる原因と、つった時の対処法
こちらの内容は動画でも解説しています。まず全体像をつかみたい方は、動画からご覧いただいてもよいと思います。
こむら返りとは、突然起こる痛い筋肉のけいれんです

こむら返りは、筋肉が自分の意思とは関係なく急に強く縮み、そのまま緩みにくくなった状態です。医療用語では、有痛性筋けいれんと呼ばれます。
「こむら」はふくらはぎを指す言葉ですが、実際にはふくらはぎだけではありません。太ももの裏側や内側、すね、足の裏、足の指など、いろいろな場所に起こります。
筋肉がピクピク動くため、「血管が動いている」と感じる方もいます。しかし、多くの場合、動いているのは血管ではなく筋肉です。
夜中に突然起こると驚きますが、こむら返りの多くは、命に関わる病気を意味するものではありません。まずは慌てず、つっている筋肉をゆっくり伸ばしてみましょう。
足がつった時の対処法|急に引っ張らず、ゆっくり伸ばす

外来で患者さんのお話を伺っていると、「つった時にまず何をするか」と「繰り返さないために何をするか」が混ざっていることが少なくありません。
つったその場で行うことは、次の3つです。
- 急に動かず、呼吸を整える
- 縮んでいる筋肉を、ゆっくり伸ばす
- 痛みが和らいだら、無理のない範囲で少しずつ動かす
ふくらはぎがつった場合は、膝をゆっくり伸ばし、つま先を体の方へ近づけるようにします。手が届きにくければ、タオルを足の裏にかけて引いても構いません。
痛みが強いほど、勢いよく伸ばさないでください
「早く治したい」と強く引っ張ると、筋肉を痛めてしまうことがあります。気持ちよく伸びるところで止め、深呼吸をしながらゆっくり行います。
つった後は、筋肉痛のような痛みがしばらく残ることがあります。翌日になっても痛い、歩くと痛い、肉離れや血栓との違いが気になる方は、以下の記事をご覧ください。
夜中や明け方に足がつるのはなぜ?

「足がつるのは、何が不足しているのですか?」とよく聞かれます。
水分や電解質が影響することはありますが、足がつる理由はそれだけではありません。年齢、筋肉の疲れ、妊娠、薬の影響など、いくつかの要素が重なって起こることがあります。はっきりした原因が見つからないことも珍しくありません。
年齢と筋肉・腱の変化
年齢とともに筋肉量や柔軟性が変化すると、こむら返りは起こりやすくなります。特に、日中にあまり足を動かさなかった日や、逆に歩きすぎた日に出る方もいます。
筋肉の疲労
長時間の立ち仕事、歩きすぎ、慣れない運動などの後は、筋肉が疲れてつりやすくなることがあります。運動した日の夜だけ起こるのであれば、まずは運動量や休み方を見直してみてもよいでしょう。
水分不足や電解質の変化
たくさん汗をかいた、下痢や発熱があった、水分を十分に取れていなかったという時には、水分や電解質の変化が影響することがあります。
ただし、足がつるからといって、全員がマグネシウム不足というわけではありません。一般の夜間こむら返りに対し、マグネシウムを飲めばはっきり予防できるとは限らないことが、複数の研究をまとめた検討でも示されています。
妊娠
妊娠中、とくに妊娠後半は足がつりやすくなります。妊娠中は自己判断で薬やサプリメントを増やさず、産科で相談してください。
薬の影響
利尿薬や一部の脂質異常症の薬など、薬が関係する場合もあります。ただし、こむら返りが起きたからといって、処方薬を自分で中止するのは危険です。薬との関係が気になる時は、処方した医師や薬剤師へ相談してください。
繰り返すこむら返りで確認したいこと
こむら返りの多くは一時的ですが、頻度が高い場合は次の点を確認します。
- 毎晩のように起こり、睡眠を妨げているか
- 片足だけか、両足か
- むくみ、しびれ、筋力の低下を伴うか
- 歩くとふくらはぎが痛み、休むと軽くなるか
- 新しく始めた薬がないか
- 腎臓、肝臓、甲状腺、糖尿病などの持病がないか
腰や神経の病気、動脈の血流障害、代謝の病気などが関係することもあります。検査が必要かどうかは、こむら返りの回数だけではなく、ほかの症状や持病、内服薬を含めて判断します。
下肢静脈瘤でも、こむら返りを訴える方はいます。ただし、こむら返りだけで下肢静脈瘤と決めることはできません。むくみ、だるさ、血管のふくらみなどが一緒にあるかが、静脈との関係を考える手がかりになります。
芍薬甘草湯は選択肢の一つですが、毎日気軽に飲む薬ではありません
こむら返りに対し、芍薬甘草湯が有効なことがあります。つった時の症状を和らげる目的で処方されることもある漢方薬です。
一方で、「漢方だから副作用がない」というわけではありません。甘草を含むため、むくみ、血圧の上昇、低カリウム血症、筋力低下などが問題になることがあります。ほかの甘草を含む薬や、一部の利尿薬との併用にも注意が必要です。
芍薬甘草湯を毎晩の予防薬のように自己判断で飲み続けるのではなく、使い方や期間を医師・薬剤師に確認してください。
持病や内服薬がある方、むくみや筋力低下が出た方は、使用について医師・薬剤師へ相談してください。
こむら返りで病院へ相談した方がよい目安

次のような場合は、一度医療機関へ相談してもよいと思います。
- 夜中に何度も起こり、睡眠が妨げられている
- 10分以上続くことがある
- しびれ、筋力低下、強いむくみを伴う
- 片足だけが急に腫れ、いつものこむら返りとは違う痛みがある
- 日中にも症状が続く
- 新しい薬を始めてから増えた
- 腎臓病、肝臓病、甲状腺の病気などを指摘されている
一般的なこむら返りの相談は、まず内科でよいでしょう。しびれや腰から足へ広がる痛みが中心なら整形外科や神経内科、歩くと痛み休むと楽になる場合は血管外科など、症状によって相談先が変わります。
よくある質問
夜中に足がつるのは病気ですか?
多くは一時的な筋肉のけいれんで、病気が原因とは限りません。ただし、毎晩のように繰り返す、しびれやむくみを伴う、日中にも症状が続く場合は、一度原因を確認してもよいと思います。
足がつるのはマグネシウム不足ですか?
水分や電解質の変化が影響することはありますが、すべてがマグネシウム不足で起こるわけではありません。一般の夜間こむら返りでは、マグネシウムの予防効果は限定的と考えられています。サプリメントを増やす前に、頻度、ほかの症状、持病や内服薬を確認してください。
こむら返りは何科に行けばいいですか?
まずは内科で相談できます。むくみや血管のふくらみが目立つ場合は血管を診る医療機関、しびれや腰痛がある場合は整形外科や神経内科が候補になります。
夜間のこむら返りは、その場の対処と原因の確認を分けましょう
夜中や明け方に足がつった時は、急に引っ張らず、つっている筋肉をゆっくり伸ばします。多くは一時的なものですが、頻繁に繰り返して眠れない、むくみやしびれなど別の症状がある場合は、その背景を一度整理してみてもよいと思います。
「水分不足」「マグネシウム不足」「静脈瘤」など、一つの原因だけに当てはめないことが大切です。
足のつりに、むくみや血管のふくらみも重なる方へ
こむら返りだけで、下肢静脈瘤と決まるわけではありません。
一方で、夕方のむくみや重だるさ、すね・ふくらはぎの血管のふくらみも一緒に気になる場合は、超音波検査で静脈の流れを確認できます。静脈以外の原因を考えた方がよい場合には、そのことも含めてご説明します。



