これって静脈瘤?と思ったら 静脈瘤と似た疾患をまとめて解説

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「足の血管が目立ってきた…」

「赤く腫れている…」

「触るとしこりのように感じる…」

こうした変化があると、「静脈瘤ではないか」と心配になる方は少なくありません。

ただ実際の外来では、見た目や症状が静脈瘤に似ていても、原因がまったく異なる病気が隠れていることもよくあります。逆に、静脈瘤だと思って放置していたら、別の評価が必要だったというケースもあります。

この記事では、静脈瘤と間違えやすい疾患を整理しながら、どこが判断の分かれ目になるのか、どんなときに医療機関で相談する目安になるのかを、外来での実感をもとにまとめています。

「自分の症状はどこに当てはまりそうか」を落ち着いて整理するための参考にしていただければ幸いです。

静脈瘤と似ている疾患について

静脈瘤は、静脈の弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流して静脈が広がって見える状態です。

ただ、外来でお話を伺っていると、「見た目や症状が静脈瘤にそっくり」というだけで、原因がまったく別の病気だった、ということも珍しくありません。

混乱が起きやすいポイントは、大きく分けて次の3つです。

  1. 血管が浮き出る、しこりのように触れるなど、見た目が似ている
  2. だるさ、むくみ、痛みなど、感じる症状が似ている
  3. 似ている部分があるが、経過を見てよいものもあれば、早めに対応した方がよいものが含まれている

たとえば、足が赤く腫れて痛む場合、「静脈瘤が悪化したのでは」と考えがちですが、感染症や血栓が関係しているケースもあり、見た目だけでは判断できません。

また、「血管の病気=静脈のトラブル」と思われがちですが、動脈の病気でも、痛みや色の変化など、紛らわしい症状が出ることがあります。

大切なのは、静脈瘤かどうかを一つに決めつけることではなく、

症状の出方や経過の特徴を整理して、「今の段階で評価が必要かどうか」を考えることです。

このような視点を持っておくだけでも、受診のタイミングの判断や相談がかなりしやすくなるのではないかと思います。

足が赤く腫れている 痛い 熱いときに考える病気

足が赤く腫れて痛い場合、静脈瘤そのものよりも「感染」や「血栓」が関係しているケースがあります。

原因として

感染症、血栓性静脈炎、深部静脈血栓症、うっ滞性皮膚炎、リンパ浮腫

などいくつかの可能性があります。

見た目だけでは区別が難しいため、症状の出方や経過を含めて考える必要があります。

特に深部静脈血栓症は、足の腫れや痛みに加えて血栓が肺に飛んでしまうリスクも出てきてしまうため、単なるむくみとして放置しないことが大切です。

一方で、うっ滞性皮膚炎のように、静脈のうっ滞が背景となって皮膚の色が変わったり、かゆみや湿疹を伴ったりするケースもあります。こうした変化がある場合は、緊急性はないものの静脈の問題が背景にないかを一度確認しておくと大切になってきます。

足が赤く腫れていたり、痛みを伴うなどの症状が気になる方はこちらの記事を参考にしてみてください。


静脈瘤と間違えやすい動脈の病気 バージャー病 閉塞性動脈硬化症 レイノー病 リベド血管炎

外来では、静脈瘤だと思っていた症状の原因が、実は動脈硬化や血管炎などの動脈の病気だった、ということもあります。

これらは静脈瘤と見た目が似ているため、自己判断では区別がつきにくいのが実情です。

静脈瘤が「流れが滞る」トラブルなのに対し、動脈の病気は「流れが届きにくくなる」方向の異常です。冷えや痛みの現れ方に違和感がある場合は、この違いを意識して整理してみるとよいでしょう。

下肢静脈瘤なのか動脈の病気なのか分からない方は、一度こちらの記事をチェックしてみてください。


膝の裏の腫れとむくみ ベーカー嚢腫

膝の裏に違和感があったり、ふくらはぎまでむくんでくると、「血管の問題では」と相談されることがあります。

ただ実際にはベーカー嚢腫のように膝関節まわりが原因で腫れが出ているケースもあり、見た目だけでは判断がつきにくいことがあります。

静脈の問題だけで説明がつかないと感じたときは、膝の状態も含めて一度考えてみるとよいでしょう。

足だけでなく、膝裏の痛みなども気になる方はこちらの記事を参考にしてみてください。


足の甲の血管が浮き出る しこり 痛み 痒みがあるとき

足の甲の血管について相談を受けると、「静脈瘤でしょうか」と聞かれることもよくあります。

しかしながら、足の甲は静脈瘤ができやすい場所ではなく、別の原因で血管が目立っているケースも多く見られます。

このため、見た目だけでなく、索状のしこりが触れるかどうか、局所的な痛みやかゆみがあるかどうかを鑑別していくことが大切になってきます。

足の甲に気になる症状がある方は、こちらの記事を参考にしてみてください。


お腹や胸の血管が浮き出る モンドール病

お腹や胸に血管が浮き出て見え、索状のしこりとして触れると、思いがけない変化に戸惑う方が多くいらっしゃいます。

このような場合はモンドール病という静脈の血栓症の可能性を考える必要がでてきます。

皮膚の下を走る静脈に血栓ができることで起こり、胸部や腹部にしこりとして気づかれることがあります。

外傷や運動、衣服の締めつけなどが関係することが多く、通常は6週間ほどで自然に治癒することが多い一方、背景に乳がんがある場合もあるため注意が必要なことがあります。

ここは不安を感じやすいポイントですが、落ち着いて「長引く場合は評価する」という姿勢をもっておくことが現実的かと思われます。

お腹の血管が浮き出ていて気になる方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。


長時間立つとつらい 迷走神経反射による症状

長時間立っているとめまい、失神が起きてしまう場合は足の静脈が原因というよりは自律神経の問題が隠れていることがあります。

迷走神経反射は特定の刺激で迷走神経が過剰反応し、心拍数や血圧が急低下してめまいや失神を起こすものです。

原因として長時間の立位、暑い環境、ストレス、疲労、脱水などが挙げられますが、症状が強い場合は医療機関で検査を受けた方がよいことがあります。

対策として、生活リズムの調整やストレス管理、弾性ストッキングの活用など、ご自身でできることも多くありますが体調や基礎疾患の有無でも対応が変わるため、実際には一度、医療者と相談しながらが行うのが安全かと思われます。

長時間立っていられなかったり、立ちくらみが気になる方はぜひ、こちらの記事を参考にしてみてください。


どのような場合に医療機関の受診を考えるべきか

以下のような症状があれば医療機関の受診を検討してよいかもしれません。

  1. 赤く腫れて痛い 熱感がある 急に悪化する
  2. 片足だけ強く腫れる 痛みが強い 呼吸苦や胸痛がある
  3. 冷えや痛みが強い 歩くと痛くて休むと楽になる
  4. 胸や腹部に索状のしこりがあり長引く
  5. 長時間立つと倒れそうになる

まとめ

一見、静脈瘤のようにみえる症状でも必ずしも「静脈瘤」とは限らず、感染、血栓、動脈疾患、整形外科疾患、自律神経の問題など様々な原因が考えられます。

このような場合は、1つ1つ整理して考えると捉えやすくなりますし、必要以上に不安になることもなくなるのではないかと思われます。

もし、気になる症状が続くときは、自分で無理に抱え込まず、医療機関の受診も検討しましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ご自身の症状だけでなく、身近な方で気になる点が思い当たる場合にも、この記事がお役に立てば幸いです。必要に応じて共有していただいても構いません。

なお、受診やご相談をご希望の際は、どうぞ遠慮なくお問い合わせください。

お一人おひとりの状況を踏まえ、丁寧にお話を伺いながら対応いたします。

この記事を書いた人
春山興右

このブログでは、日々の診療の中で感じたことや、患者さんから実際によくいただく質問などをもとに書き始めました。
教科書的な内容はもちろんですが、本には書かれていない、現場で診療を続けていて初めてわかる知恵や皆さんが知りたいと感じることを、素朴に、わかりやすくお伝えしていけたらと思っています。

静脈瘤の診療は、国内外で取り組んできた医療ボランティア活動と並んで、私にとっては大切なライフワークであり、生きがいのような存在です。
ところどころ熱が入りすぎてしまったり、至らない点も多いかと思いますが、どうか温かい目でご覧いただけたら嬉しいです。

資格は、脈管専門医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医、皮膚科専門医、男性ストッキング・圧迫療法コンダクターなどです(治療者兼当事者であり、毎日弾性ストッキングを履いています)。
よろしくお願いしますm(_ _)m

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