「生理の諸症状が辛くてピルを服用している」
「ピルを飲んでいて血栓症のリスクがあるってホント?」
など、低用量ピルを服用することでどういったリスクが生じるのか気になる方も多いでしょう。
この記事では、低用量ピルと静脈血栓症の関係について、リスクと予防策を詳しく解説します。
ピル(低用量ピル)とは?
多くの方がピルを使用されています。
低用量のピルを内服することで、生理のタイミングを調整することができ、避妊効果も得られます。
さらに、生理痛を軽減し、月経時の出血量を減少させる効果もあるため、多くの女性が使用しています。
低用量ピルは基本的に安全ですが、静脈血栓症という副作用が知られています。
ピルで稀に引き起こす「静脈血栓症」とは?
静脈血栓症とは、静脈という血管の中で血栓(血液の塊)ができる状態です。
様々な統計がありますが、概ね3倍程度静脈血栓が起こりやすくなるとされています。
「3倍」と聞くと非常に危ないのでは?と心配される方がいらっしゃいますが、健康な方に静脈血栓症が起こる確率は0.01%〜0.05%程度であり、低用量ピルを服用している場合ですと0.03%〜0.09%程度と考えられているため、絶対的なリスクは依然として低いといえます。
実際、静脈の診療をしていると、低用量ピルを内服している方の血栓症は時々みますが、ものすごく多いわけではない、という印象があります。
ピルでなくても起こる静脈血栓症の3つのリスク要因
静脈血栓症になるリスク因子として以下のものがあります。これらに該当する方が低用量ピルを内服する場合は注意が必要になってきます。
①肥満リスク
肥満は静脈血栓症の発症リスクを高めます。特にBMIが25以上の方では静脈血栓症のリスクが上がることが知られています。
②年齢リスク
年齢が上がるにつれて、血管の動脈硬化が進んでくる他、生活習慣病などの基礎疾患の罹患率が増えてくるため、低用量ピル服用に伴う静脈血栓症の発症リスクは高くなります。
③喫煙リスク
喫煙者の方では、静脈血栓症のリスクが高くなります。
静脈血栓症以外にもピル服用で注意すべき症状
低用量ピルには特に開始した直後はむくみや気持ち悪さを感じることがあることが知られています。
この場合のむくみは下肢だけに起こる局所的なものではなく顔や目の周りなど含めた全身性であることが一般的です。
通常、数カ月で治ることが一般的です(むくみが一瞬でとれるということはありません)。
ただし、以下のような症状が出現した場合は、ピルによる血栓症の症状である可能性も考えられるため、すぐに医療機関を受診した方がよいでしょう。
- 激しいお腹や胸の痛み、頭痛
- 息苦しさ
- 視野の変化
- めまい
- 失神や痙攣(けいれん)
- 意識障害
- ふくらはぎの内側、外側の痛み
- 足・足首の腫れ、むくみ
- 片足全体が痛い、だるい、重い、むくみ歩きにくい、腫れている
ピル服用以外に静脈血栓症の疑いがあれば専門医の受診をおすすめします
低用量ピルは基本的に安全なものであり、過度に恐れる必要はないものです。
副作用やリスク因子について正しく理解しておくことで、必要以上に恐れることなく安全に薬を使用することができます。
何らかの症状が出ており、御心配な方は一度、医療機関を受診することをおすすめします。
本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
困っておられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。
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