靴下の跡・ミミズ腫れが気になる方へ:原因と対策を解説

むくみ

「最近、靴下の跡がついて気になる…むくんでいる?」

「ミミズ腫れのような跡は何?何かの病気?」

と、足首やふくらはぎに残る跡が気になる方も多いのではないかと思います。

この記事では、足首やふくらはぎに現れる靴下の跡・ミミズ腫れのような跡が発生する原因とその対策について説明します。なぜこれらの跡が発生するのか、そしてそれを防ぐための方法について学びましょう。

靴下の跡の原因

靴下の跡は、以下のような原因が考えられます。

  • 物理的な圧迫・生理的なもの
  • むくみ(浮腫) 靴下の跡がミミズ腫れになる
  • 皮膚の蕁麻疹(機械性じんま疹) 一時的にミミズ腫れが出る

当てはまるものがないか詳しく見ていきましょう。

物理的な圧迫・生理的なもの

締め付けの強い靴下を長時間履いていると、靴下のゴムが血液循環を圧迫し、跡が残ることがあります。

特に、立ち仕事や長時間の座り仕事の後にこのような跡が現れやすくなります。特に明らかな疾病がない場合でも出現することがあります。

むくみ(浮腫) 靴下の跡がミミズ腫れになる

足のむくみは、体内の水分が足元にたまりやすくなることで発生します。むくみがあると、靴下の跡が残りやすくなり、時にはミミズ腫れのように見えることがあります。

浮腫には大きく分けて局所的なもの全身性のものに分類されます。

局所的な浮腫は、静脈瘤や変形性膝関節症など体の特定の部分の疾患により起こり、特定の部位に発生します(下半身のむくみ等)

一方、全身性浮腫は腎臓や肝臓、心臓あるいは甲状腺など全身に影響する臓器の問題(腎不全や心不全)がある、もしくは低栄養によるものです。このため手足のむくみだけではなく、体幹部も含めた全身に浮腫みが発生します。

両下肢のむくみ・下肢浮腫が目立ちますが、心不全や腎不全では他の部分もむくみます。体重の増加が認められることがあります。

皮膚の蕁麻疹(機械性じんま疹) 一時的にミミズ腫れが出る

蕁麻疹が発生しており、靴下の跡がミミズ腫れのようにみえることがあります。蕁麻疹は多くの場合は一過性のものですが、6週間以上続く場合は原因精査を行う場合があります。

むくみ(浮腫)のチェック(押すだけ!圧痕性浮腫の確認方法)

むくみ(浮腫)の程度を自分でセルフチェックする方法があります。

足(すねの前)や足首、足背(足の甲)の皮膚を指で押し、10秒間保持した後、指を離してみてください。

  • 跡がすぐに戻らない
  • しばらくの間へこみ、へこんだまま

このような場合は浮腫・むくみ(浮腫)の兆候があると評価できます。足のむくみがひどい方では、へこんでいる皮膚が長時間戻らないことがあります。

太ももやすね、足背(足の甲)にむくみ・腫れがある時に、病的なむくみかどうか見分けたい時に有効です。

非常に簡単な方法で、自宅で手軽に行えます。足に浮腫のある方は勿論、靴下の跡が残るけれど本当にむくみ(浮腫)があるか、わからないという方にもおすすめです。

なお、静脈瘤や血栓がある場合は片足だけ症状が出ることがよくあります。

靴下の跡・ミミズ腫れが気になる方へ-対策と予防方法

靴下の跡・ミミズ腫れを軽減・解消するには以下の対策と予防方法を行ってみましょう。

  • 物理的な圧迫・生理的なもの
    • 適切なサイズの靴下を選ぶ
    • 足のケア
  • 生理的でない浮腫がある場合
    • 全身性の浮腫…専門の内科で精査・治療を行う
    • 局所の浮腫…変形性膝関節症と静脈瘤を疑う
      • 変形性膝関節症は整形外科を受診
      • 静脈瘤は静脈瘤専門医を受診
  • 皮膚の蕁麻疹(機械性じんま疹)によるものの場合
    • 皮膚科を受診

物理的な圧迫・生理的なもの

適切なサイズの靴下を選ぶ

締め付けが強すぎない、適切なフィット感のある靴下を選ぶことが重要です。弾性ストッキングを履くのも有効です。

できれば弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターの有資格者に一度見てもらい、適切な弾性ストッキングを選択してもらうことが望ましいでしょう。

足のケア

むくみを予防するために、以下の対策を取ることが推奨されます:

  • 足を上げて休む: 一日の終わりに足を高くして休むことで、血液の循環を促進します
  • 適度な運動: 足の筋肉、とくにふくらはぎの筋肉を動かす、あるいは鍛えることで血流が改善され、むくみの予防に役立ちます
  • 塩分を控える: 塩分の摂取を減らすことで、体内の水分バランスを保ちます

生理的でない浮腫がある場合

全身性の浮腫

全身性のむくみの場合は該当する専門の内科(腎臓:腎臓内科、肝臓:消化器内科、心臓:循環器内科、甲状腺:内分泌内科)にて精査・治療を行うことでむくみの解消を図ります。

また、全身性のむくみは薬の副作用で起こることもあります。炎症止め(非ステロイド性消炎鎮)や一部の血圧の薬(カルシウム拮抗薬など)、漢方薬などの副作用で足がむくむことがあります。薬を内服してから浮腫むようになった方は一度主治医に相談してみることが大切です。

局所の浮腫

局所的に足がむくむ病気には様々なものがありますが、最もよくみられる変形性膝関節症と静脈瘤です。変形性膝関節症では、関節の軟骨の劣化が原因で動きが制限され、筋肉の活動が減少します。筋肉の活動が減少すると足の筋ポンプ作用も減ることになるため、液体がたまりやすくなります。

静脈瘤の場合は、静脈の弁が正常に機能せず、血液が逆流することでむくみが生じます。 利尿剤などの薬を使用しても、むくみがとれない場合は可能性が高くなります。

前者は整形外科、後者は静脈瘤治療の専門医への受診が適切です。

皮膚の蕁麻疹(機械性じんま疹)によるものの場合

多くの場合は一過性ですが、掻痒が強いことも多く、抗ヒスタミン薬の処方が必要になることがあります。6週間以上続く場合は、希望に応じて原因精査を行うことがあります。皮膚科への受診が適切です。

足首やふくらはぎの跡が気になる場合は適宜専門医の受診を検討しましょう

足首やふくらはぎに靴下の跡・ミミズ腫れのような跡が発生する場合、必ずしも疾病であることはありません。しかしながら状況によっては精査が必要になることもあります。まずは、むくみが病的なものか、一度セルフチェックしてみましょう。状況に応じて、適宜専門医の受診も検討しましょう。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
困っておられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。

私は現在、静脈瘤の外来を主に行っておりますが、過去にはむくみの外来を行っていた経験もございますので、もし当院への受診や御相談の御希望がございましたら、お気軽にお問合せください
患者様一人ひとりの状態に合わせて、検査から治療まで誠実に対応させていただきます。

この記事を書いた人
春山興右

​静脈瘤専門の医師 

日本脈管学会認定 脈管専門医・指導医
下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター

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