足のむくみ(浮腫)とは:原因と対策

概要

この記事では、足のむくみ(浮腫)の原因と治療法について解説します。浮腫(むくみ)のメカニズムを理解することで、効果的なむくみケアが可能になります。

足のむくみ(浮腫)の概要

足のむくみ、または浮腫は、体の組織に液体がたまる状態を指します。この状態は、足などの特定の部位に局所的に発生する場合と、全身に影響を及ぼす場合があります。原因を理解することが効果的な治療に繋がります。

むくみ(浮腫)の種類

浮腫は大きく分けて局所的なものと全身性のものに分類されます。

局所的な浮腫は、静脈瘤や変形性膝関節症など体の特定の部分の疾患により特定の部位に発生します(下半身のむくみ等)。

一方、全身性浮腫は腎臓や肝臓、心臓あるいは甲状腺など全身に影響する臓器の問題(腎不全や心不全)がある、もしくは低栄養によるものです。このため手足のむくみだけではなく、体幹部も含めた全身に浮腫みが発生します。両下肢のむくみ・下肢浮腫が目立ちますが、心不全や腎不全では他の部分もむくみます。体重の増加が認められることがあります。

全身性のむくみの場合は該当する専門の内科(腎臓:腎臓内科、肝臓:消化器内科、心臓:循環器内科、甲状腺:内分泌内科)にて精査・治療を行うことでむくみの解消を図ります。従って、何か特別なむくみとりの薬があるというわけではなく、原因となる病変を精査することが大切です。一般的には体のむくみをとるために利尿薬や降圧剤などの薬が処方されたり、塩分の取りすぎによるむくみを是正することになります。

以下に自分でできること方法を紹介します。

塩分の取りすぎによるむくみ

臓器に問題がなくても塩分の取りすぎによるむくみが起こることもあります。人間の体には体内の塩分濃度を一定に保とうとする働きがあるので、塩分をたくさん摂取すると体の塩分濃度を薄めようと体内に水分を溜め込みます。それが原因でむくみやすくなってしまうため、塩分の摂り過ぎには注意が必要です。思い当たる場合は是正をしていきましょう。

薬の副作用によるむくみ

全身性のむくみは薬の副作用で起こることもあります。炎症止め(非ステロイド性消炎鎮)や一部の血圧の薬(カルシウム拮抗薬など)、漢方薬などの副作用で足がむくむことがあります。薬を内服してから浮腫むようになった方は一度主治医に相談してみることが大切です。

足の局所的な浮腫(下半身のむくみ)の原因

局所的に足がむくむ病気には様々なものがありますが、今回は最もよくみられる静脈瘤と変形性膝関節症について取り上げます。

静脈瘤の場合は、足の静脈の中にある逆流防止弁が壊れることで、本来であれば血液を足から心臓に運べていたものができなくなってしまい、血液が逆流することでむくみが生じます。利尿剤などの薬を使用しても、むくみがとれない場合は可能性が高くなります。

変形性膝関節症では、関節の軟骨の劣化が原因で動きが制限され、筋肉の活動が減少します。筋肉の活動が減少すると足の筋ポンプ作用も減ることになるため、液体がたまりやすくなります。

筋肉ポンプ作用の是正と体重管理の重要性

ふくらはぎの筋肉は、血液を心臓に戻すための重要な役割を果たします。この筋肉が収縮することで、血液を押し上げ、浮腫の予防に寄与します。静脈瘤、変形性膝関節症いずれの場合でも、筋肉ポンプ作用を改善することが大切であるため、保存療法としてふくらはぎの運動を取り入れることが推奨されます。

また、体重が増えると膝関節にかかる負担が増えるだけでなく、足の静脈にかかる圧力も増します。従って静脈瘤、変形性膝関節症いずれの場合でも適切な体重を維持することが推奨されます。

治療方法

静脈瘤、変形性膝関節症いずれの場合でも軽症の場合は保存療法で様子をみることになりますが、症状が進行してくると、医学的な治療が必要となってきます。

変形性膝関節症の治療では、痛み止めやヒアルロン酸注射などの薬物療法、リハビリや装具の使用、重症例では人工関節置換術が行われます。

静脈瘤の治療では、圧迫療法(弾性ストッキングの使用)、硬化療法(注射)、レーザーやラジオ波によるカテーテル治療、医療用の接着剤によるカテーテル治療(通称グルー治療)など行われます(詳細はこちら)。

結論

足のむくみの原因とメカニズムを理解することは、症状の解決への第一歩になります。塩分摂取量の是正や体重管理、筋力トレーニングなどの生活習慣を見直すことは静脈瘤や変形性膝関節症の患者さんだけでなく、全てのむくみに悩む人にとって、非常に大切なことです。まずは生活習慣の改善と弾性ストッキングの着用などを試みてみましょう。それでも改善が得られない場合や全身性のむくみがある場合は医療機関の受診を検討しましょう。1人でも多くのむくみに悩む方が改善することを切に願っています。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
困っておられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。


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この記事を書いた人
春山興右

​静脈瘤専門の医師 

日本脈管学会認定 脈管専門医・指導医
下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター

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