睡眠中の夜間・明け方の痛いこむら返り・足がつった時の対処法

こむら返り

「寝ているときに足がつってなかなか寝付けない…」

「寝たはずなのに足がだる重い…」

など、睡眠中に足がつったり、寝起きに足がだるいと感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、夜間や朝、寝起きにかけて足がだるい、よく足がつる、ふくらはぎや太ももなど、足のあちこちがつって痛くなる方について、なぜ足がつるのか、その原因と効果的な対処法・解消法について説明します。

はじめに

多くの患者さんが夜中や明け方に足の指、ふくらはぎや太腿(太もも)・内腿、アキレス腱など、体のあちこちがつるという悩みを抱えています。

就寝中に足がつって起きてしまうことも多く、重症の方では毎日足がつるため歩けない(歩きたくない)方や、就寝前から予期不安を感じてしまい大きなストレスを抱えている方も少なくありません。足のふくらはぎや足の裏などあちこちに多数の湿布を貼ってしのいでいる方もおられます。

患者さんによってはしょっちゅう足がつるため、翌日になっても痛いままの方(あるいは何日も痛みが残る)、つる前の前兆、つりそうな時がわかる方、つりそうでつらないという不快感で悩んでおられる方もいらっしゃいます。このようなこむら返りの原因と解消法を知ることで、改善につなげることができます。

こむら返りについて 足がつるメカニズム・原因

こむらがえりとは筋肉の痙攣(けいれん)のことで医療用語では有痛性筋痙攣といいます。ふくらはぎや太もものこむら返りが起きていたり、膝のあたりがピクピクと動く方は、足の痙攣が起きていることが原因であるといえます。

この痙攣は実際には様々な場所に起こります。太ももの裏側や内側、ふくらはぎ、脛(すね)の外側、足の指でも発生します。様々な場所で起こるため、血管がピクピクと動いているように見えることもあります。

これらの筋肉がつる仕組み・原因は、筋肉や腱に備わっているセンサーが誤作動であり、筋肉が勝手に収縮してしまう状態になっているからです。心臓がピクピクと動いてしまう心臓細動という病気の場合は血栓が起こる可能性がありますが、足のピクピクやこむら返りは非常に不快なものではありますが、基本的には安全です。

なんで足が攣る(つる)のか?こむら返りがおこる原因・意味

こむら返りにはいくつかの原因があります:

  1. 筋肉量の減少:年齢とともに筋肉量が減少し、こむら返りが起こりやすくなります。このため足の筋肉が痩せると、足のつる症状が増えることがあります。また、脳梗塞などの既往があると足を動かす機会が減るため筋肉量が減少し足がつることが増えることもあります。
  2. 血流の悪化:ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、血液を心臓に戻すフットポンプの機能を担っていますが、筋力が弱くなると血流が悪くなります。
  3. 体の水分不足と電解質異常:大量に汗をかいたり、熱中症等で体の水分が減少した場合、逆に塩分のとりすぎた場合、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質のバランスが崩れると、筋肉の痙攣(けいれん)が起こりやすくなります。
  4. 疲労:長時間の立ち仕事やデスクワークなどで筋肉が疲労しやすくなります。
  5. 貧血:貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンの量が不足している状態で、筋肉に十分な酸素が供給されなくなるため、筋肉が疲れやすく、痙攣や足に力が入らない(入りづらい)状態になることがあります。

足がつるのは何が不足しているのか?と質問されることがよくあるのですが、以上のことを総合すると水分や電解質の不足、そして血流や筋肉が様々な理由で不足してきている、ということになります。

こむら返り・つった時の対処法

伸びをすると足や足の指がつる方が多くいらっしゃいますが、原因は筋肉が長時間収縮した状態から突然伸ばされることで、急激な変化が筋肉に起こるからです。従って、こむら返りが起こった場合、ゆっくりと筋肉を伸ばすことが大切です。

ふくらはぎがつって痛い場合は、足をゆっくりと伸ばしてみましょう。伸ばし方については筋肉が気持ちよく伸びる位置まで伸ばし、20〜30秒間維持します。深呼吸をしながら、無理のない範囲で行いましょう。

また、漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)が有効なことがあります。昔から足の痙攣を止める方法として多くの先生がこの漢方薬を処方しています。

芍薬甘草湯(ツムラ68番)が足がつる症状の解消法となるのは、その成分である芍薬と甘草が持つ

  • 筋肉の緊張を和らげる作用
  • 鎮痛作用
  • 抗炎症作用
  • 血行促進・血流改善作用

が効果的に働くためと考えられています。

このため、毎晩、太もも・内腿や足の指がつる方のみならず、

  • 腕や手の指がつる方など、手足や体のあちこちがつる方
  • 身体がつる原因がはっきりとしない方

などの場合、この血流を良くする漢方薬を試してみることも一つの方法です。ただし、これはあくまで最終手段であって、まずはきちんと原因を精査してみることが大切です。また、漢方薬といえども副作用が出ることもありますので医師に処方してもらう方が安全でしょう。

潜在的な健康問題・病気の可能性(病院行った方がいいこむら返り)

頻繁にふくらはぎや太ももがつる場合、その原因として病気が隠れている可能性があります:

  1. 脊髄の病気:脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどが原因となることがあります。
  2. 代謝の病気:糖尿病や腎臓病、肝臓病などでは、血流や電解質のバランスに影響を与えるため、こむら返りの原因になることがあります。この場合はふくらはぎだけでなく全身がだるいことがよくあります。
  3. 甲状腺の病気:甲状腺機能低下症などが原因となることがあります。
  4. 血管の病気:閉塞性動脈硬化症や下肢静脈瘤などが原因となることがあります。

こむら返り・足がつる問題は適切な治療を受けることで改善する可能性がある

夜中や朝、明け方に足がだるい、つることは、非常によくある問題です。原因を理解し、適切な対処法を知ることで、より快適な睡眠と生活を送ることができます。

頻繁にこむら返りが起こる場合や特に肝臓病や腎臓病を過去に指摘されており、ふくらはぎがつる場合などは病院に行ったほうがいいかもしれません。適切な治療を受けることで、劇的に改善されることがあります。適切な対処、治療を行い眠れる夜を取り戻しましょう。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
困っておられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。


健康の土台は足にありますもし当院への受診の御希望がございましたら、お気軽にご相談ください
患者様一人ひとりの状態に合わせて、検査から治療まで誠実に対応させていただきます。

この記事を書いた人
春山興右

​静脈瘤専門の医師 

日本脈管学会認定 脈管専門医・指導医
下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター

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