下肢静脈瘤(バリックス)の原因と予防:なぜ足の血管が浮き出るの?

静脈瘤について

「そもそも下肢静脈瘤になるのは何原因なの?」

「下肢静脈瘤ならないようにするにはどうすればいい

と、自分の足が下肢静脈瘤になってしまったのか原因が分からない方や、予防方法が知りたい方もいるのではないでしょうか。

この記事では、足の血管が浮き出る病気である下肢静脈瘤の主な原因について詳しく説明し、それらの予防方法についても紹介します。

そもそも下肢静脈瘤(バリックス)とは?

下肢静脈瘤とは、「かしじょうみゃくりゅう」と読み、静脈の瘤(コブ)と書くように足の太ももやすね、ふくらはぎ上の静脈が浮き出てボコボコとしたコブ状(ボコボコ血管)となり、曲がりくねる状態を指します。進行した方ではふくらはぎの一部にへこみがあるように見えることもあります。これは、足の静脈の中にある逆流防止弁が壊れることで、本来であれば血液を足から心臓に運べていたものができなくなってしまい、血液が逆流している状態になっていることが原因で起こっています。

長時間の立ち仕事や座り仕事、遺伝、肥満、妊娠が原因となることが知られています。症状は足のだるさ、こむら返りが代表的ですが、実際には非常に多くの症状を起こします。

下肢静脈瘤になることで起こる症状についてはこちらをご覧ください。

下肢静脈瘤の主な原因

下肢静脈瘤になる主な原因は以下のようなものが挙げられます。

  • 長時間の立ち仕事/歩行・外回り
  • 座りっぱなしのデスクワーク
  • 妊娠・出産によるむくみ
  • 遺伝性
  • 加齢
  • 肥満
  • 便秘(番外編)

では、なぜ上記のような状態が下肢静脈瘤になる原因なのか詳しく見ていきましょう。

長時間の立ち仕事:たくさん歩いた日にむくみ、痛くなるようになった?

立ち仕事を長時間続けると体への影響が出てくることがあります。

重力の影響で血液が足の方に集まりやすくなる上、立っているだけでは筋肉があまり動かないため、筋肉のポンプ作用が十分に働かず、血液が足に溜まりやすくなります。

この血液の圧力が静脈および静脈の中の逆流防止弁にかかることで、静脈瘤が発症しやすくなります。

営業職などで長時間歩く方の場合は足の筋肉を動かすので、立ちっぱなしの仕事と比較すると静脈瘤が起こりづらいのですが、「なぜかたくさん歩いた日に足のむくみ(浮腫)が出る或いは痛くなるようになった」場合は要注意です。

座りっぱなしのデスクワーク

デスクワークもまた、ふくらはぎの筋肉を動かさないため、筋肉のポンプ作用が十分に働かず、静脈に血液が溜まりやすくなります。

このため、静脈瘤が発症しやすくなります。

妊娠・出産:妊娠中にむくみ・静脈瘤が出てきた? 

妊娠中は、胎児に栄養を送るため血液量が増加する上、妊娠中に増えるホルモン(特にプロゲステロン)の影響で静脈が広がりやすくなります。

このため、血液が溜まりやすくなります。

さらに、胎児が大きくなるにつれて、子宮が骨盤内の静脈を圧迫することで、血液の流れが滞るため、さらに静脈瘤が起こりやすくなります。

出産経験のある女性の2人に1人、約半数の方が発症するというデータもあり、出産経験のある方は静脈瘤の可能性がかなり高いといえます。

遺伝:遺伝するの?

家族に下肢静脈瘤のある場合、そのリスクは遺伝によって高まります。

特に両親ともに下肢静脈瘤がある場合、その子供は発症する確率は非常に高くなるため、静脈瘤になりやすい人になります。

体質であるため、両足とも静脈瘤があることも多い印象です。親子で顔が似るのと同様に血管も似るわけです。

加齢:何歳くらいでなるの?20代・30代でも起こる?

年齢を重ねると、血管の壁が弾力性を失い、静脈が変形しやすくなります。

また、加齢に伴い足の筋肉量も減少してくることが多い上、静脈内の逆流防止弁も次第に機能が低下してきます。

このため、静脈瘤が起こりやすくなります。下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していきます。

日本人では15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人に静脈瘤が認められたとの報告もあり、年齢と静脈瘤には明らかな相関関係があるといえます。

なお、クリニックを受診される静脈瘤の患者さんは高齢のことが多いのですが、妊娠・出産・遺伝が原因の場合は比較的若年で発症することが多く、30代や40代、場合によっては20代で膝のあたりや足がだるい、寝てる時に足がつる、と感じている方もよくおられます。

肥満

体重が増えると、特に下肢の静脈にかかる圧力が増加するため、静脈および静脈の中の逆流防止弁にかかることで、静脈瘤が発症しやすくなります。

また、肥満の方は運動不足になりがちで、これが筋肉のポンプ作用を低下させます。足の筋ポンプ作用が低下すると、静脈の血液を心臓に押し戻す力が弱まり、静脈に血液が溜まりやすくなります。

このため、静脈瘤が発症しやすくなります。

便秘(番外編)

意外と思われるかもしれませんが、便秘が静脈瘤の関係が指摘されることがあります。

便秘中は排出されない便が大腸に溜まった状態にあります。

大腸が膨らむと腹圧が上がることや、便秘の方はトイレで硬い便を押し出そうと強くいきむため、静脈の内圧が高くなります。

このため、静脈瘤の発症に影響がある可能性が指摘されています。

下肢静脈瘤の予防法

下肢静脈瘤を予防するためには、以下の方法が推奨されます:

他にも下記の記事に掲載している予防方法もありますが、自分で治せないケースもありますので、まずは医師にご相談ください。

下肢静脈瘤の原因や予防しても改善しないなら専門医に相談しよう!

下肢静脈瘤は、生活習慣や遺伝、妊娠・出産、加齢など様々な要因で発生します。生活習慣の是正や定期的な運動など、予防策を講じることが大切です。これらの対策を行っても症状が残る方やご心配な方は一度、医療機関で超音波検査(下肢静脈エコー検査)をしてもらうことが大切です。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
困っておられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。


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