動脈と静脈の違いを理解しよう 動脈と静脈の見分け方

静脈瘤について

「血管にコブのようなものができている…命に関わる?」

「静脈瘤の血栓が破裂すると死に至るの?」

など、血管にコブのようなものができていて命に関わるのではないか、と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、人間の体における動脈と静脈の基本的な違いについて解説します。それぞれの構造、機能、循環系における役割を詳しく説明し、これらの血管がどのように機能しているのか、動脈瘤と静脈瘤の違いについても説明します。

血管の概要

人間の体内には、動脈と静脈という2つの主要な血管が存在します。これらの血管は血液循環に不可欠で、それぞれ異なる機能と特性を持っています。

動脈の役割

動脈は、心臓から血液を体内の各部に運ぶ血管です。動脈の壁は強く、心臓から直接送り出される高圧の血液に耐えられるようになっています。

主要な動脈には、

  • 肺に血液を運ぶ肺動脈
  • 全身に酸素を供給するために最大の動脈である大動脈

があります。

静脈の役割

一方、静脈は心臓に血液を戻す役割を担っています。動脈に比べて壁が薄く、血圧も低いため、静脈には逆流防止のための弁が備わっています。

主な静脈には、

  • 全身の血液を心臓に戻す大静脈
  • 酸素を含んだ血液を肺から心臓に運ぶ肺静脈

があります。

毛細血管: 動脈と静脈の橋渡し

毛細血管は動脈と静脈をつなぐ細い血管です。ここでは、血液と体組織の間で酸素や栄養素、老廃物の交換が行われます。

毛細血管を通る血液の流れは遅く、この交換が効率的に行われるように設計されています。

静脈瘤と動脈瘤 破裂して即死する?

動脈と静脈は異なるタイプの血管ですが、ともに瘤(こぶ)が起こる時があります。よく静脈瘤が破裂するのではないか、と心配されて来院をされる方がいらっしゃいます。

確かに動脈に瘤ができる動脈瘤の場合は、足の動脈瘤だけでなく、脳や腹部、心臓付近の胸部などに発生し、破裂して即死することがありますが、静脈に瘤ができる静脈瘤の場合は破裂するようなことは基本的になく、過度に心配する必要はありません。

ただし、くるぶしにできる一部の静脈瘤の場合は血管が切れて出血することがあります。なお、食道にできる食道静脈瘤の場合は破裂したら重篤になることがあります。

くるぶしや足首の血管が浮き出ている症状に悩まれている方はこちらをご覧ください。

動脈と静脈の違いを理解して身体の症状を冷静に判断しましょう

動脈と静脈の違いを理解することは、私たちの循環系がどのように機能しているかを理解する上で重要です。動脈は血液を心臓から送り出し、静脈はそれを心臓に戻し、毛細血管はその間で物質の交換を行います。動脈と静脈は異なる構造と機能・性質を持っており、どっちの方が太いあるいは強いということはなく協調して働いています。この協調システムは、体の恒常性と全体的な健康を維持するために不可欠です。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
診察をしていると動脈瘤と静脈瘤を混合しておられる患者さんが多く、過度に心配されているケースや、その逆(早めに受診するべきケース)もよく遭遇するため、本記事を書かせていただきました。

困っておられる御本人様はもちろんですが、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。


また、もし当院への受診や相談の御希望がございましたら、お気軽にお問合せください
患者様一人ひとりの状態に合わせて、検査から治療まで誠実に対応させていただきます。

この記事を書いた人
春山興右

​静脈瘤専門の医師 

日本脈管学会認定 脈管専門医・指導医
下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター

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