足が赤く腫れている! 原因について解説

静脈瘤の皮膚症状・うっ帯性皮膚炎

「足がむくんで赤く腫れている…」

「痛みもあるし、何が原因なんだろう?」

など、足が赤く腫れているにも関わらず、その原因や疾患が分からず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、足が赤く腫れる時(赤いむくみがある時)、その原因となる疾患について解説します。主に以下の原因が考えられます:

  • 感染症によるもの…蜂窩織炎、丹毒、壊死性筋膜炎
  • 脈管の異常によるもの…血栓性静脈炎、リンパ浮腫、下肢静脈瘤、うっ帯性皮膚炎

これらの鑑別について解説します。これらの疾患は腫れ、赤み、痛みなどの類似した症状を呈するため、正確な診断を行い適切な治療を行うことが大切です。それぞれの疾患の特徴を理解し、適切な治療法を選択しましょう。

1.感染症によるもの(細菌が入り赤く足が腫れる病気)

感染症によるものとして

  • 蜂窩織炎
  • 丹毒
  • 壊死性筋膜炎

が挙げられます。

蜂窩織炎 (ほうかしきえん)

蜂窩織炎は皮下組織の感染症で、細菌が皮膚に侵入して炎症を引き起こします。主な原因菌は皮膚表在に存在する連鎖球菌や黄色ブドウ球菌です。

症状としては、赤み、腫れ、熱感、痛みで、発熱や悪寒が認められます。

感染部位は通常、皮膚が傷ついた場所や水虫による皮むけから始まりますが、はっきりとしないことも多々あります。

治療には抗生物質が用いられ、重症例では入院治療が必要になることもあります。診断は主に臨床診断ですが、血液検査や細菌培養が行われることもあります。

丹毒 (たんどく)

丹毒は皮膚の浅い層の急性感染症で、原因菌は主に連鎖球菌です。蜂窩織炎とは異なり、丹毒は皮膚の表層に限局し、境界がはっきりした赤みが特徴です。

また、発熱や悪寒、倦怠感などの全身症状が伴います。治療は抗生物質の投与が基本です。診断は臨床診断が主ですが、血液検査や細菌培養が行われることもあります。

壊死性筋膜炎 (えしせいきんまくえん)

壊死性筋膜炎は筋膜の急速進行性壊死を伴う重篤な感染症で、

  • 非常に激しい痛み
  • 腫れ
  • 皮膚の変色(水疱や黒ずみ)
  • 発熱やショック

などの全身症状が見られます。

原因は主に混合感染で連鎖球菌・ブドウ球菌・嫌気性菌などが関与します。いわゆる人食いバクテリアが原因となることもあり、非常に危険な感染症です。

診断には緊急の臨床診断が必要で、画像診断(CT、MRI)、血液検査などが有効ですが、何よりも病変部に小さな切開を入れて筋膜部の所見を確認することが確実です。

非常に重篤な感染症であるため、通常、緊急入院となり、治療は速やかな外科的デブリードマンと広域スペクトルの抗生物質投与を行うことになります。

蜂窩織炎、丹毒、壊死性筋膜炎いずれも治療は可能ですが、治療後もむくみがしばらく残ることがあります。

2.脈管の異常によるもの(脈管に異常が起きたことで赤く腫れている)

脈管の異常によるものとして、

  • 血栓性静脈炎
  • 深部静脈血栓症
  • うっ帯性皮膚炎
  • リンパ浮腫

が挙げられます。

血栓性静脈炎 (けっせんせいじょうみゃくえん)

血栓性静脈炎は、静脈の炎症と血栓形成が特徴で、主に四肢の浅い静脈に起こる血栓のことをさします。原因としては

  • 下肢静脈瘤などによる血液の停滞
  • 外傷
  • 手術後の合併症

などが挙げられます。

静脈瘤が足の血管が詰まる病気と言われる所以でもあります。症状には

  • 患部の赤み
  • 腫れ
  • 痛み
  • 硬結

などが認められます。

今まで痛くなかった静脈瘤の血管が急に腫れて痛くなり血管痛が発生した場合は血栓性静脈炎の可能性を疑います。通常、症状が血管に沿って起こり、線状に認められることが特徴です。

診断には臨床診断の他、超音波検査(下肢静脈エコー)が行われます。治療は抗炎症薬が中心ですが、稀に抗凝固薬(血栓を溶かす薬)を使用することがあります。

深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう) いわゆるエコノミー症候群/ロングドライブ症候群(DVT:deep vein thrombosisともいいます)

血栓性静脈炎が浅い静脈に起こる血栓であるのに対して、深部静脈血栓症は深い静脈に起こる血栓のことをさします。

この血栓は静脈を部分的または完全に塞ぎ、血液の流れを妨ぐため通常、罹患した足全体が急激に腫れます。患部は痛く、だる重くなります。

日本人の場合、ふくらはぎのヒラメ筋の静脈血栓の頻度が高い傾向があります。症状としては、ふくらはぎの痛みが急に片足にだけ起こった場合、その原因として血栓ができてしまった可能性があります。

深部静脈血栓症は放置すると治らないどころか、血栓が血流に乗って肺に到達し、肺塞栓症を引き起こすリスクもあります。原因としては

  • 外傷や手術後の合併症
  • 長時間の座位や寝たきり
  • ホルモン療法やピルの服用

などが挙げられます。診断には臨床診断の他、

  • 超音波検査(下肢静脈エコー)
  • 血液検査(Dダイマーの測定)
  • CT検査

などが行われます。治療は抗凝固薬が基本となり、血栓の状態次第で投薬・治療期間を調整します。

うっ帯性皮膚炎 (うったいせいひふえん) 

うっ帯性皮膚炎は、足の静脈うっ血が原因で発生する皮膚の赤い斑点・炎症です。症状には、

  • 足首周辺の赤み
  • むくみ
  • かゆみ
  • 乾燥
  • 色素沈着
  • 皮膚の硬化
  • 潰瘍形成
  • 鼠径部のリンパ節腫脹(太もものリンパが痛くなる)

などがあります。

原因としては、下肢静脈瘤などの慢性の下肢静脈不全が挙げられます。診断は、超音波検査(下肢静脈エコー)で静脈の状態を確認することが重要です。

原因疾患の治療が基本となるため、市販薬などを塗っても根治はせず治療をしない限り難治性の皮膚潰瘍となります。カテーテル治療や圧迫療法が有効です。

うっ滞性皮膚炎について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

リンパ浮腫 (りんぱふしゅ)

リンパ浮腫はリンパ系の障害により慢性的に浮腫が生じる状態で、特に四肢に多く見られます。症状としては、

  • 足や腕の腫れ
  • 重だるさ
  • 皮膚の硬化

などがあります。

特徴として足や腕の腫れは足・腕全体に及び、太ももから足首・足先・上腕から手首・指先まで腫れていることが一般的です。

むくみについても、はじめは圧痕性浮腫(指で押すとへこむむくみ)を生じますが、進行すると非圧痕性浮腫(押してもへこまない浮腫)となります。この違いがリンパ浮腫と通常の浮腫を鑑別する上で重要となります。

手術や外傷などが原因となることが多く、骨盤の放射線治療などが原因となることもあります。診断には臨床診断が基本ですが、エコーやリンパシンチグラフィーなどの画像検査が有効です。治療はリンパ管吻合手術、圧迫療法、リンパドレナージ(リンパマッサージ)などが推奨されます。

他にも足のむくみで悩んでいる方はぜひ、こちらも併せてご覧ください。

足が赤く腫れている症状は放置せず早めに専門医に相談しましょう

足が赤く腫れている時、その原因となる疾患について解説しました。

主に感染症に伴うもの(蜂窩織炎、丹毒、壊死性筋膜炎)と脈管の異常に伴うもの(血栓性静脈炎、リンパ浮腫、うっ帯性皮膚炎)があり、一見すると共通する症状が多いものです。

場合によっては緊急性のあることもあるため、専門家による正確な診断が重要です。各疾患の特徴を理解し、適切な検査と治療を行うことで、足の健康を守ることができます。迅速かつ適切な対応を心がけましょう。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
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