「膝の裏に青い血管が浮いていて、ときどき痛む。静脈瘤でしょうか?」
「ふくらはぎの後ろにも血管が見えるけれど、気になる膝裏だけ治せばよいのでしょうか?」
普段は見えにくい場所だけに、血管の浮きに気づくと、どこからどこまで関係しているのか分かりにくいと思います。
この記事では、膝裏にできる静脈瘤と、つながる静脈の検査、治療する血管や範囲の考え方について、できるだけわかりやすく解説します。
結論としては、膝裏にも静脈瘤はできます。ただし、青い血管が見えるだけで病気とは決まりません。治療を考える場合も、目立つこぶの場所だけで決めず、静脈のつながりと血液の逆流を確認することが大切です。[1,2]
膝裏の静脈瘤は、どの血管からできる?
足の静脈は、血液を心臓へ戻すためにつながっています。その一つが、ふくらはぎの後ろ側を通り、膝裏付近で深い静脈へつながる「小伏在静脈」です。
小伏在静脈などの弁がうまく働かず、血液が足の方へ逆流すると、膝裏からふくらはぎの後ろにかけて、曲がりくねった血管やこぶが目立つことがあります。[1]
ただし、膝裏にこぶがあるからといって、小伏在静脈が原因とは限りません。足の内側を通る「大伏在静脈」から枝分かれした血管が、膝の後ろへ回り込んでいることもあります。どの静脈につながっているかは、エコーで確認します。[1,2]
また、静脈瘤には痛みがない場合もあります。反対に、膝裏が痛くても、見えている静脈とは別の原因ということもあります。立っているときの重だるさ、足のむくみ、皮膚の変化なども一緒に確認します。
エコーでは、膝裏だけでなく何を調べる?
膝裏のこぶが気になると、そこだけを調べればよいように思われるかもしれません。しかし、見えているこぶと、逆流が始まる場所は同じとは限りません。
静脈瘤が疑われる場合、エコーでは、膝裏の血管が大伏在静脈や小伏在静脈などとどうつながり、どこからどこまで逆流しているかをたどります。必要な範囲で、ふくらはぎ側やほかの静脈、膝裏を通る深い静脈の流れも確認します。[1,2]
これは「膝裏にあるから広く治療する」という意味ではありません。膝裏のこぶへの処置でよいのか、つながる静脈の逆流にも対処した方がよいのかを考えるための確認です。
膝裏のこぶだけ治す場合と、つながる静脈を治療する場合
検査結果を聞く際は、「膝裏のどの血管が関係し、どの範囲を治療の対象にするのか」を確認すると分かりやすくなると思います。
大伏在静脈や小伏在静脈に、症状と関係する逆流がある場合
膝裏のこぶだけでなく、つながる大伏在静脈や小伏在静脈の逆流が、症状に関わっていることがあります。その場合は、逆流している静脈をカテーテルなどで閉じる治療を検討します。治療の範囲や方法は、エコーで分かる逆流の広がりや血管の状態に合わせて考えます。[2]
小伏在静脈などに治療を要する逆流がなく、枝の静脈が関係する場合
小伏在静脈などの太い静脈に治療を要する逆流がなく、枝の静脈が症状に関係する場合は、その枝への硬化療法などの処置を検討します。どの血管に問題があるかで、治療する場所が変わります。[2]
今は処置をせず、経過をみる場合
血管が見えていても、症状や皮膚の問題がなく、検査結果からも処置が必要ないと判断される場合があります。症状や御希望に応じて、弾性ストッキングなどで様子をみる選択もあります。逆流があるという結果だけで、一律に手術を決めるわけではありません。[1,2]
これらは一般的な考え方です。膝裏という場所だけで方法が決まるわけではなく、ご本人が困っていることと検査結果を合わせて相談します。
各治療法の違いを確認したい方は、こちらの記事で全体像をまとめています。

血管とは別のふくらみ・急な変化があるとき
膝裏の丸いふくらみには、関節液が袋状にたまる「ベーカー嚢腫(のうしゅ)」などもあります。膝の曲げ伸ばしで痛む、膝が動かしにくいといった症状が中心なら、整形外科への相談も考えます。ベーカー嚢腫の詳しい説明は、こちらをご覧ください。[3]

片足が急に腫れて痛む場合も、深い静脈の血栓などを確認する必要があるため、早めに受診してください。息苦しさや胸の痛みを伴う場合は、救急病院などにご相談ください。[4]
膝裏の気になる血管を、初診で相談するには
膝裏の血管の浮きや痛み、むくみが気になる場合は、当院の通常の初診でご相談いただけます。
「ここが気になる」「立っているとつらい」など、感じていることをそのままお聞かせください。足の状態を確認し、静脈瘤が疑われる場合はエコーで静脈の流れを調べます。
治療が必要かどうかに加え、「膝裏だけの問題か」「ふくらはぎ側につながる逆流もあるか」「処置をするならどの血管か」を知ることが、今後の見通しにつながります。手術を受けると決めてから受診する必要はありません。
初診の流れや検査・費用・予約方法は、こちらにまとめています。

参考文献・出典
[1]国立循環器病研究センター 病院.下肢静脈瘤.https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/cvs/vascular/vascular-tr-02/
[2]Gloviczki P, et al. The 2023 Society for Vascular Surgery, American Venous Forum, and American Vein and Lymphatic Society clinical practice guidelines for the management of varicose veins of the lower extremities. Part II. J Vasc Surg Venous Lymphat Disord. 2024;12(1):101670. doi:10.1016/j.jvsv.2023.08.011. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11523430/
[3]Frush TJ, Noyes FR. Baker’s Cyst: Diagnostic and Surgical Considerations. Sports Health. 2015;7(4):359–365. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4481672/
[4]NHS. DVT (deep vein thrombosis). https://www.nhs.uk/conditions/deep-vein-thrombosis-dvt/

