ふくらはぎが片方だけ痛い原因は?筋肉痛・静脈瘤・血栓との違い

ふくらはぎが片方だけ痛い原因は?筋肉痛・静脈瘤・血栓との違い 静脈瘤と間違えやすい病気

片方のふくらはぎだけが痛い、押すと痛い、歩くと痛い、筋肉痛のような痛みが長引く、血管のあたりが痛む――。

こうした症状があると、筋肉疲労なのか、静脈瘤や血栓なのか、不安になる方も多いのではないでしょうか。

外来でも「片足だけふくらはぎが痛い」「筋肉痛かと思ったがなかなか治らない」といった相談が少なくありません。

この記事では、ふくらはぎが片方だけ痛いときに考えられる主な原因を整理し、筋肉痛・肉離れ・こむら返り後の痛みと、静脈瘤や血栓による痛みとの違いをわかりやすく解説します。

また、受診を検討すべきサインや何科に行くべきかの目安、自分でできる対策についても紹介します。

ふくらはぎが片方だけ痛いときにまず見るポイント

ふくらはぎが片方だけ痛いときにまず見るポイント

ふくらはぎの痛みの原因を考えるうえで、次のポイントを確認しておくと判断材料になります。

  • 痛みの場所: ふくらはぎ全体なのか、特定の部分なのか。
  • 押すと痛いか: 指で押したときに局所的な痛みが出るかどうか。
  • 歩くと痛いか: 歩行や立ち続けることで痛みが強まるか、休むと軽くなるか。
  • じっとしていても痛いか: 動かなくても痛みが続くかどうか。
  • 赤み・腫れ・熱感があるか: 皮膚の色が赤くなったり、腫れたり、熱を持っているか。
  • 血管に沿った痛みか: 表面の血管に沿って痛みや硬さを感じるか。

これらをチェックすることで、筋肉、静脈、動脈、神経など痛みの原因を推測しやすくなります。

ふくらはぎが片方だけ痛い主な原因

ふくらはぎが片方だけ痛い主な原因

筋肉痛、肉離れ、こむら返り後の痛み

運動や長時間の歩行、急な動作が原因で筋肉に負担がかかると痛みが出ることがあります。

  • 筋肉痛普段より強い運動や慣れない動作の後、筋肉が張ったりだるく重く感じたりする遅発性筋肉痛が起こることがあります。血行を良くするよう軽いストレッチや温めることが効果的で、多くは数日で自然に軽くなります。ただし、痛みが増していく場合や腫れ・赤みがある場合は、他の原因も考えられるので注意しましょう。
  • 肉離れランニングやジャンプなどの動作中に筋繊維が部分的に切れ、急に鋭い痛みが出て歩けなくなることがあります。腫れや内出血を伴うことも多く、初期は冷却と圧迫が必要です。数日経っても痛みがひかない場合は整形外科の受診を検討してください。
  • こむら返り後の痛みふくらはぎがつった後、筋肉がしばらく張ったり痛んだりすることがあります。軽いストレッチや水分補給、バランスの良い食事で多くは数日以内に回復します。痛みが強かったり長引いたりする場合は、他の原因が隠れていないか確認すると判断しやすくなります。 こむら返りの対処法は別記事にまとめています。

静脈瘤や静脈うっ滞による痛み、だるさ

足の静脈の弁が弱くなると血液が足にたまりやすくなり、下肢静脈瘤や慢性静脈不全と呼ばれる状態になります

痛みは鋭いものではなく、夕方にふくらはぎが重い・張る・だるい、長時間立っているとつらい、血管に沿って違和感がある、といった形で現れることが多いです。

足首やふくらはぎのむくみを伴う場合もあります。

静脈瘤が疑われるときは血管外科や静脈瘤専門のクリニックで相談すれば、適切に診断される可能性が高いと思います。

静脈瘤や静脈うっ滞による痛み、だるさ など静脈瘤の症状や治療についての全体像については別記事で詳しく解説しています

血栓性静脈炎による血管に沿った痛み

皮膚近くの静脈に炎症や小さな血栓ができると、その血管に沿って赤みや痛み、しこりのような硬さを感じることがあります。

痛みの範囲が限局していて押すと痛いのが特徴です。

症状の範囲や場所によって対応が変わるため、痛みや腫れが広がる場合は医療機関で確認しましょう。

深部静脈血栓症が鑑別に入る場合

深部静脈血栓症(DVT)は脚の深い静脈に血の塊ができる病気で、片足の腫れや痛み、熱感、皮膚の赤み・暗色化が症状として現れます。

息切れや胸の痛みを伴う場合は肺塞栓症なども鑑別に入るため、早急に医療機関へ相談する必要があります。

ここでは受診の目安のみを示しており、血栓の詳しい鑑別などについては別の記事で紹介しています。

神経や整形外科的な原因

腰椎の問題や坐骨神経痛、膝や足首の関節のトラブルなどでもふくらはぎに痛みが出ることがあります。

腰から足にかけてしびれや痛みが走る場合は神経性の痛みが疑われます。

関節や腱の炎症では、動かしたときに痛みが強まることが多く、整形外科での評価が適切です。

動脈の流れが関係する場合

動脈硬化などで足の動脈が狭くなると、歩行時にふくらはぎが痛くなり、休むと楽になる「間欠性跛行」という症状が生じることがあります。

歩行に伴う痛みが休息で改善する場合は、動脈の血流低下も原因として考えます。静脈瘤によるだるさとは症状の出方が異なるため区別が必要です。

ふくらはぎの痛みで受診を考えた方がよいサイン

ふくらはぎの痛みで受診を考えた方がよいサイン

ふくらはぎの痛みは、運動や筋肉の負担による一時的な痛みとして軽くなることもあります。

ただし、腫れや赤み、熱感を伴う場合は、血管や感染症など別の原因も考える必要があります。

次のような症状がある場合は受診を検討してください。

  • 急に片足が腫れて痛む
  • 赤みや熱感があり、皮膚の色が悪い
  • 血管に沿って痛い部分や硬い部分がある
  • 歩けないほどの強い痛みがある
  • 息切れや胸の痛みを伴う 
  • 数日たっても改善しない、痛みが広がる

こうした症状がある場合は、深部静脈血栓症や感染症などの鑑別が必要になります。

なお、足が赤く腫れる症状について詳しくはこちらの記事でまとめております。

ふくらはぎが片方だけ痛いときは何科を受診する?

ふくらはぎが片方だけ痛いときは何科を受診する?

症状に応じて適切な診療科を選ぶことで、受診先を判断しやすくなります。

  • 血管が浮き出て夕方につらい、静脈瘤が気になる場合:血管外科や静脈瘤専門のクリニック。
  • 赤み・熱感・腫れがあり、血栓が心配な場合:血管外科、循環器内科、内科。
  • 運動後の痛みやケガ、歩くと関節や筋肉が痛い場合:整形外科。
  • 息切れや胸痛を伴う場合や症状が急激に悪化した場合:救急外来や総合病院の救急部。

迷う場合はまず内科で相談し、必要に応じて専門科に紹介してもらうとよいでしょう。

静脈エコー検査で確認できること

静脈エコー検査で確認できること

ふくらはぎの痛みが静脈や血栓と関係しているかを調べるために、静脈エコー検査(超音波検査)が行われることがあります。

この検査では、深部静脈に血栓がないか、静脈の血流が保たれているか、下肢静脈瘤による逆流があるかを確認できます。

血管に沿った痛みと静脈の状態を関連付ける手がかりになりますが、痛みのすべての原因がこの検査だけでわかるわけではありません。

筋肉や神経、動脈の問題が疑われる場合は、他の検査や診察も必要になります。

自分でできる対策と注意点

自分でできる対策と注意点
  • 明らかな運動後の筋肉痛なら、無理せず休息し、冷やしたり軽くストレッチしたりして様子を見ます。
  • 肉離れや痛みが強い場合は、無理に伸ばしたり揉んだりせず、早めに医療機関で相談しましょう。
  • 赤みや熱感、腫れがある部位は強く揉まないようにします。
  • 長時間同じ姿勢を避け、適度に歩いたりふくらはぎを動かしたりして血流を保ちます。
  • 自己判断で強いマッサージや圧迫をするのは避け、改善しない場合は受診を検討してください。

まとめ

ふくらはぎが片方だけ痛い原因は、筋肉の疲労や肉離れ、こむら返り後の痛みのほか、静脈瘤や静脈うっ滞、血栓性静脈炎、深部静脈血栓症、神経や整形外科的な問題、動脈の流れの低下などさまざまです。

痛みの出方や場所、赤み・腫れ・熱感、血管に沿った痛みの有無が判断材料になります。

静脈瘤では足の重さ・張り・だるさとして症状が出ることがあり 、急な腫れや強い痛み、息切れや胸痛がある場合は深部静脈血栓症なども鑑別に入るため 、早めに医療機関へ相談してください。

気になる症状が続く場合は、原因を整理しやすくなるよう医師に相談することをおすすめします。

FAQ

ふくらはぎが片方だけ痛いのは血栓ですか?

片方のふくらはぎが痛いからといって必ずしも血栓があるわけではありません。

筋肉痛や肉離れ、神経の痛みなどさまざまな原因があります。

ただし、腫れや赤み、熱感を伴う場合や、息切れや胸痛を伴う場合は蜂窩織炎などの感染症や深部静脈血栓症などの血栓も鑑別することが必要になるため、医療機関で相談することが推奨されます。

ふくらはぎが押すと痛い場合は筋肉痛ですか?

押したときに局所的な痛みが出るのは、筋肉痛や肉離れ、こむら返り後の痛みでよく見られます。

数日で軽くなれば筋肉の疲労が原因と考えられますが、痛みが長引いたり腫れや赤みがある場合は他の原因も考え、医療機関で相談してもよいかと思います。

ふくらはぎの痛みは何科に行けばよいですか?

血管が浮き出て夕方につらい場合や静脈瘤が気になる場合は血管外科や静脈瘤を扱うクリニック、腫れや熱感があり血栓が心配な場合は血管外科・循環器内科・内科、運動後の痛みやケガが原因なら整形外科が適しています。

息切れや胸痛を伴う場合は救急受診も検討してください。

静脈瘤でふくらはぎが痛くなることはありますか?

あります。

静脈瘤や慢性静脈不全では、ふくらはぎや足首に血液がたまりやすくなり、足の重さやだるさ、張り感、夕方のつらさが出ることがあります。

ただし、鋭い痛みや腫れを伴う場合は他の原因も考える必要があり、医療機関で相談するとよいと思われます。

片方のふくらはぎの痛みが続く場合や、血管の浮き、足のだるさ、むくみなどを伴う場合は、自己判断で長く様子を見すぎず、一度ご相談ください。

当院では、必要に応じて静脈エコー検査で血流や血栓の有無、静脈の逆流などを確認し、状態に合わせて今後の対応をご相談しています。

この記事を書いた人
春山興右

このブログでは、日々の診療の中で感じたことや、患者さんから実際によくいただく質問などをもとに書き始めました。
教科書的な内容はもちろんですが、本には書かれていない、現場で診療を続けていて初めてわかる知恵や皆さんが知りたいと感じることを、素朴に、わかりやすくお伝えしていけたらと思っています。

静脈瘤の診療は、国内外で取り組んできた医療ボランティア活動と並んで、私にとっては大切なライフワークであり、生きがいのような存在です。
ところどころ熱が入りすぎてしまったり、至らない点も多いかと思いますが、どうか温かい目でご覧いただけたら嬉しいです。

資格は、脈管専門医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医、皮膚科専門医、男性ストッキング・圧迫療法コンダクターなどです(治療者兼当事者であり、毎日弾性ストッキングを履いています)。
よろしくお願いしますm(_ _)m

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