片足だけむくむのはなぜ?静脈瘤・血栓・リンパ浮腫の見分け方と受診の目安

片足だけむくむのはなぜ?静脈瘤・血栓・リンパ浮腫の見分け方と受診の目安 足のむくみ(原因と対処)

「右足だけむくむ」

「左足だけ太くなった気がする」

「夕方になると片足だけ靴がきつい」

このような症状があると、なにか病気があるのではないかと不安になる方も多いのではないでしょうか。特に外来で診察をしていますと、情報が氾濫している現代では、混乱されておられる方もいらっしゃるように感じます。

両足がむくむ場合は、体質、生活習慣、心臓や腎臓の病気、薬の影響など、全身的な原因が関係することがありますが、片足だけむくむ場合は、その足だけで血液やリンパ液の流れが悪くなっている可能性もあります。

外来でも「右足だけむくむ」「左足だけ太くなる」「片足だけ夕方に靴がきつくなる」といったご相談は少なくありません。

この記事では、片足だけむくむ場合に考えられる主な原因、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、リンパ浮腫の違い、受診を検討した方がよいサイン、静脈エコー検査でわかることをわかりやすく解説します。

片足だけむくむ場合にまず確認したいこと

片足だけむくむ場合にまず確認したいこと

片足だけむくむ場合、まず確認したいのは次の3つです。

  • いつからむくんでいるか
  • 急に腫れたのか、以前から少しずつなのか
  • 痛み、赤み、熱感、息切れなどを伴うか

特に、急に片足が腫れてきた場合や、痛み、赤み、熱感がある場合は、深部静脈血栓症などの血栓症や蜂窩織炎といった感染症の可能性などを確認した方がよいことがあります。

一方で、以前から少しずつ続いている、夕方に悪化して朝は軽くなる、足の血管が浮き出ている、だるさや重さがある場合は、下肢静脈瘤など静脈の流れが関係していることもあります。

ただし、見た目だけで原因を判断するのは難しいことがあります。

片足だけのむくみが続く場合は、必要に応じて静脈エコー検査で血流や血栓、静脈の逆流を確認します。

片足だけむくむ主な原因

片足だけむくむ主な原因

片足だけのむくみには、いくつかの原因があります。

代表的なものとして、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、リンパ浮腫、整形外科的な原因、薬や内科的な病気などがあります。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤は、足の静脈の弁がうまく働かなくなり、血液が足にたまりやすくなる病気です。

片足に静脈瘤が強い場合、その足だけむくみやだるさを感じることがあります。

下肢静脈瘤によるむくみでは、次のような特徴がみられることがあります。

  • 夕方に悪化しやすい
  • 長時間立った後に強くなりやすい
  • 朝は比較的軽い
  • 足のだるさ、重さを伴う
  • 血管が浮き出て見える
  • こむら返りや皮膚のかゆみを伴うことがある

ただし、血管が浮いているからといって、むくみの原因がすべて静脈瘤とは限りません。

血栓やリンパ浮腫など、別の原因が隠れていないか確認が必要になることもあります。

深部静脈血栓症

深部静脈血栓症は、足の深いところにある静脈に血のかたまりができる状態です。

片足の急な腫れ、痛み、赤み、熱感として気づかれることがあります。

長時間の移動、手術後、妊娠、ピル内服中、がん治療中などでは、血栓のリスクが高くなることがあります。

次のような場合は、早めに医療機関で確認した方がよいことがあります。

  • 片足が急に腫れた
  • ふくらはぎや太ももが痛い
  • 赤みや熱感がある
  • 歩くと痛い
  • 息切れ、胸痛、呼吸苦を伴う

特に、息切れや胸痛がある場合は、肺塞栓症など緊急性のある状態が関係することもあるため、救急での対応が必要になる場合があります。

この記事では血栓の詳しい治療までは扱いませんが、片足だけのむくみでは見逃したくない原因の一つです。

リンパ浮腫

リンパ浮腫は、リンパ液の流れが悪くなり、足にむくみが出る状態です。

多くは骨盤周囲の癌の治療で、リンパ節を取った後や放射線治療後などに起こることが一般的ですが、原因がはっきりしない場合もあります。

リンパ浮腫では、次のような特徴がみられることがあります。

  • 片足全体が太くなる
  • 足の甲や足指までむくむ
  • 皮膚が厚く、硬くなってくる
  • むくみが長く続く
  • 左右差がはっきりしている

初期には押すとへこむ柔らかいむくみでも、長く続くと皮膚が硬くなることがあります。

下肢静脈瘤によるむくみとリンパ浮腫は、見た目だけでは判断しにくいこともあります。必要に応じて、静脈エコーで血栓や静脈の逆流がないかを確認しながら、原因を考えていきます。

筋肉や関節など整形外科的な原因

片足だけの腫れは、血管やリンパだけでなく、筋肉や関節などの問題で発生することもあります。

たとえば、足首の捻挫、膝の炎症、関節炎、打撲、筋肉の損傷などが挙げられます。

この場合は、むくみというより「腫れている」「痛くて動かしにくい」という形で気づかれることがあります。

  • 転倒やけがの後から腫れた
  • 足首や膝など特定の場所が痛い
  • 動かすと痛い
  • 押すと局所的に痛い

このような場合は、整形外科的な原因も考えられます。

薬や内科的な病気が関係する場合

薬の影響や、心臓、腎臓、肝臓など内科的な病気がある場合、両足にむくみが出ることが多いです。

ただし、もともと片側の静脈やリンパの流れが悪い場合、左右差がより顕著になり「片足だけむくむ」と感じることがあります。

血圧の薬、痛み止め、ホルモン剤などがむくみに関係することもあります。

薬の影響が気になる場合でも、自己判断で中止せず、処方した医師に相談してください。

下肢静脈瘤によるむくみの特徴

下肢静脈瘤によるむくみの特徴

下肢静脈瘤によるむくみは、足の静脈の血液が心臓へ戻りにくくなり、足にたまりやすくなることで起こります。

特に、次のような場合は静脈瘤が関係している可能性があります。

  • 夕方になると片足だけむくむ
  • 立ち仕事の後に悪化する
  • 足が重い、だるい
  • ふくらはぎが張る
  • 血管がぼこぼこ浮いている
  • 皮膚のかゆみや湿疹がある
  • 足首周辺の皮膚が茶色っぽくなってきた

外来では、見た目の血管よりも「片足だけ重い」「夕方だけ靴がきつい」といった症状をきっかけに相談される方もいます。

ただし、下肢静脈瘤の見た目と症状の強さは必ず一致するわけではありません。

血管が目立っていても症状が少ない方もいれば、血管の目立ち方は強くなくても、むくみやだるさを感じる方もいます。

そのため、症状と見た目だけで判断せず、必要に応じて静脈エコーで確認することが大切です。

すぐに確認した方がよいサイン

すぐに確認した方がよいサイン

片足だけのむくみがある場合、次のような症状を伴うときは、早めに医療機関へ相談を検討してください。

  • 急に片足が腫れてきた
  • 片足の腫れが強い
  • ふくらはぎや太ももに痛みがある
  • 赤みや熱感がある
  • 皮膚の色が変わっている
  • 歩くと痛い
  • 発熱がある
  • 息切れ、胸痛、呼吸苦がある
  • 最近、長時間のフライトでの移動があった

特に、片足の急な腫れに痛み、赤み、熱感を伴う場合は、深部静脈血栓症や感染、炎症などを確認する必要があります。

息切れや胸痛、呼吸苦がある場合は、緊急性のある病気が関係することもあるため、救急での相談が必要になることがあります。

静脈エコー検査でわかること

静脈エコー検査でわかること

片足だけのむくみでは、静脈エコー検査が原因を調べる手がかりになります。

静脈エコーでは、主に次のようなことを確認します。

  • 深部静脈に血栓がないか
  • 静脈の血流が保たれているか
  • 下肢静脈瘤につながる逆流があるか
  • どの静脈に問題があるか
  • むくみと静脈の異常が関係していそうか

下肢静脈瘤では、見えている血管だけでなく、実際にどの静脈で逆流が起きているかを確認することが重要です。

また、片足だけのむくみでは、まず血栓がないかを確認したうえで、静脈瘤、リンパ浮腫、整形外科的な原因、内科的な原因などを考えていくことがあります。

静脈エコーだけですべての原因がわかるわけではありませんが、発見できる疾患が数多くあることも事実です。

自分でできる対策と注意点

自分でできる対策と注意点

痛みや赤みがなく、夕方に軽くむくむ程度であれば、次のような対策が役立つことがあります。

  • 長時間同じ姿勢を避ける
  • ふくらはぎを動かす
  • 歩く時間を増やす
  • 足を少し高くして休む
  • 体重管理を意識する
  • 締めつけすぎない服装にする
  • 必要に応じて弾性ストッキングを検討する

ただし、急な腫れ、痛み、赤み、熱感がある場合は、セルフケアだけで様子を見るより、先に医療機関で確認した方がよいことがあります。

また、血栓が疑われる状況で強くマッサージすることは避けた方がよい場合があります。

「片足だけ急に腫れた」「痛い」「熱を持っている」という場合は、まず原因の確認を優先してください。

片足だけむくむ場合は何科を受診すればよい?

片足だけむくむ場合は何科を受診すればよい?

片足だけのむくみで何科に行けばよいかは、症状の出方によって変わります。

急な腫れ、強い痛み、赤み、熱感、息切れや胸痛がある場合は、救急外来、内科、循環器内科などで早めに相談してください。

血管が浮き出ている、夕方に悪化する、足のだるさや重さを伴う、下肢静脈瘤が気になる場合は、血管外科や下肢静脈瘤を扱うクリニックが相談先になります。

けがや関節の痛みがきっかけの場合は、整形外科が適していることもあります。

原因がはっきりしない場合でも、片足だけのむくみが続くときは、まず血流や血栓の有無を確認しておくと、その後の対応を考えやすくなります。

よくある質問(臨床の現場で実際に聞かれること)

片足だけむくむのは危険ですか?

片足だけむくむからといって、すべてが危険というわけではありません。

ただし、急に腫れた、痛い、赤い、熱を持っている、息切れや胸痛がある場合は、深部静脈血栓症や感染、炎症などを確認した方がよいことがあります。

以前から少しずつ続くむくみでも、片足だけの場合は、下肢静脈瘤、リンパ浮腫、整形外科的な原因などが関係することがあります。

静脈瘤があると片足だけむくむことはありますか?

あります。もちろん両足に下肢静脈瘤がある患者様もおられますが、私の臨床経験では片足だけのことの方が多い印象です。

下肢静脈瘤があると、その足だけ血液がたまりやすくなり、むくみ、だるさ、重さを感じることがあります。

ただし、片足だけむくむ原因が静脈瘤だけとは限りません。

深部静脈血栓症やリンパ浮腫など、別の原因が関係することもあるため、必要に応じて静脈のエコー検査で確認することが大切です。

片足だけむくむ場合、マッサージしてもよいですか?

軽いむくみで痛みや赤みがない場合、足を高くして休む、ふくらはぎを動かすなどの対策が役立つことがあります。

ただし、急に片足が腫れた、痛みがある、赤みや熱感がある場合は、血栓や炎症などを確認した方がよいことがあります。

そのような場合は、強くマッサージする前に医療機関で相談してください。

片足だけのむくみは原因を確認して対応を考えましょう

片足だけむくむ場合、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、リンパ浮腫、整形外科的な原因、薬や内科的な病気など、さまざまな原因が考えられます。

特に、急に片足が腫れた、痛みがある、赤みや熱感がある、息切れや胸痛を伴う場合は、早めに医療機関で確認した方がよいことがあります。

一方で、夕方に片足だけむくむ、立ち仕事の後に悪化する、血管が浮き出ている、足のだるさや重さがある場合は、下肢静脈瘤など静脈の流れが関係していることもあります。

片足だけのむくみは、見た目だけでは判断しにくいことがあります。

必要に応じて静脈エコー検査で、血栓の有無や静脈の逆流、血流の状態を確認すると、今後の対応を考えやすくなります。

片足だけのむくみが続く場合や、不安がある場合は、自己判断で長く様子を見すぎず、一度相談を検討してください。

この記事を書いた人
春山興右

このブログでは、日々の診療の中で感じたことや、患者さんから実際によくいただく質問などをもとに書き始めました。
教科書的な内容はもちろんですが、本には書かれていない、現場で診療を続けていて初めてわかる知恵や皆さんが知りたいと感じることを、素朴に、わかりやすくお伝えしていけたらと思っています。

静脈瘤の診療は、国内外で取り組んできた医療ボランティア活動と並んで、私にとっては大切なライフワークであり、生きがいのような存在です。
ところどころ熱が入りすぎてしまったり、至らない点も多いかと思いますが、どうか温かい目でご覧いただけたら嬉しいです。

資格は、脈管専門医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医、皮膚科専門医、男性ストッキング・圧迫療法コンダクターなどです(治療者兼当事者であり、毎日弾性ストッキングを履いています)。
よろしくお願いしますm(_ _)m

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