「足の甲の血管がなんか浮き出てる?」
「なんだかしこりがある……押すと痛いし……」
足の甲は、もともと皮膚に近いところを静脈が走っているため、血管が見えやすい場所です。血管が浮き出ているだけで、すぐに下肢静脈瘤や血栓と決まるわけではありません。
一方で、血管に沿った硬いしこり、押したときの痛み、赤みや熱っぽさが加わっている場合は、単に血管が見えているだけとは考え方が変わります。血管ではなく、ガングリオンや腱の炎症などがしこりに見えていることもあります。
足の甲の血管が見えることと、痛いしこりがあることは、分けて考えるのが大切です。
この記事では、足の甲の血管が浮き出る理由、しこり・痛み・痒みを伴うときに考えられること、相談する診療科の目安を解説します。
動画でも解説しています
足の甲にしこりや痛み、痒みがあるときの考え方を動画でも説明しています。文章とあわせて確認したい方はご覧ください。
足の血栓全体を知りたい方へ
血栓性静脈炎と深部静脈血栓症の違い、症状や検査の考え方は、以下の記事でまとめています。本記事では、足の甲に限った見分け方を中心に説明します。
足の甲の血管が浮き出るだけなら、病気とは限りません
足の甲には、足背静脈弓という静脈のネットワークがあります。皮膚や皮下脂肪の厚さ、体質、足を下げている時間などによって、血管の見え方にはかなり個人差があります。
そのため、次のような状態であれば、血管が目立つこと自体は珍しくありません。
- 両足で似たように見える
- 痛み、赤み、熱感がない
- 硬いしこりを触れない
- 以前から見え方が大きく変わっていない
見た目だけでは、その血管が正常な範囲なのか、静脈の逆流と関係しているのかまでは分かりません。
足のだるさ、むくみ、こむら返り、すねやふくらはぎの血管のふくらみも一緒に気になる場合は、超音波検査で静脈の流れを確認すると整理しやすくなります。
足の甲の静脈は大伏在静脈や小伏在静脈へつながります
足の甲の静脈は、足の甲だけで終わっているわけではありません。
- 足背静脈弓の内側は、内側縁静脈を経て大伏在静脈へ続きます。大伏在静脈は内くるぶしの前を通ります
- 足背静脈弓の外側は、外側縁静脈を経て小伏在静脈へ続きます。小伏在静脈は外くるぶしの後ろを通ります
大伏在静脈は、そのまま脚の内側を上がって鼠径部へ向かいます。足の甲に見えている血管が、脚全体の静脈の流れと関係している場合があるのはこのためです。
ただし、足の甲の血管が見えるだけで、大伏在静脈に逆流があるとは判断できません。
静脈瘤との関係が気になるときは、見た目だけではなかなか分からないため、超音波検査で血液の流れを確認すると整理しやすくなります。
足の甲のしこり・痛み・痒みで考えられること

ここからは、足の甲にあらわれる症状ごとに、考えられる原因を整理します。ぜひ、ご自身の足の症状に近いものがないか確認してみてください。
足の甲に丸いしこりがある|ガングリオン
ガングリオンは、関節や腱の近くにできる、ゼリー状の内容物が入った良性のしこりです。足の甲では、靴に当たって初めて気づくこともあります。
- 経過観察:痛みがなく、日常生活に支障がなければ、そのまま経過を見ることもあります
- 靴の調整:靴に当たる場合は、圧迫しにくい靴に変えると痛みが軽くなることがあります
- 整形外科への相談:靴に当たって痛い、しこりが大きくなる、診断がはっきりしない場合は相談するとよいでしょう
- 穿刺や手術:状態に応じて内容物を抜く方法や手術がありますが、再発することがあります
血管に沿って赤く、硬く、押すと痛い|表在性の血栓性静脈炎
皮膚のすぐ下の静脈に炎症や血栓が起こると、血管に沿って赤くなり、硬い筋のようなしこりを触れることがあります。押すと痛い、熱っぽいという訴えもよくあります。
私の経験では、過去に足を強くぶつけた、骨折した、植皮を受けたなど、足の静脈の流れが変わるきっかけがあった方で、足の甲の表在静脈に炎症や血栓を認めることがあると感じています。「昔のけがが関係するの?」と驚かれる方もいます。ただし、そのような既往がない方にも起こるため、既往だけで判断はできません。
血管が見えるだけの場合と、血管に沿った赤み・硬さ・痛みがある場合は同じではありません。
- 超音波検査:血栓の位置や広がり、深い静脈との位置関係を確認します
- 痛みや炎症への治療:状態に応じて消炎鎮痛薬などを使用します
- 圧迫療法:血栓の範囲や症状を確認したうえで、弾性ストッキングなどを使うことがあります
- 血栓に対する薬:すべての方に血栓を溶かす薬が必要になるわけではありません。血栓の場所や広がりを確認して判断します
足を使ったあとに痛む・動かすと痛い|腱や関節の炎症
足の甲には、足首や足の指を動かす腱が通っています。歩く量が急に増えた、合わない靴を履いた、同じ動作を繰り返したあとなどに、腱やその周囲が炎症を起こして痛むことがあります。
動かしたときの痛みが中心で、血管に沿った赤みや硬いしこりがない場合は、血管よりも整形外科の領域を考えやすくなります。
- 足を休める:痛みのきっかけになった運動や長時間の歩行をいったん減らします
- アイシング:痛みが出た直後などは、冷やすことで炎症が軽くなることがあります
- 靴や動作の見直し:足に合わない靴や、同じ動作の繰り返しを見直します
- 整形外科への相談:痛みが続く、歩きにくい、腫れが強い場合は相談するとよいでしょう
痒みや皮膚のぶつぶつが中心|皮膚炎など
痒みが中心で、皮膚にぶつぶつ、かさつき、湿疹がある場合は、血管そのものではなく皮膚の病気が原因のこともあります。
ただし、むくみや血管のふくらみと一緒に痒みが続く場合は、皮膚だけでなく静脈の状態も確認してよいかもしれません。
- 皮膚を刺激しすぎない:強くこすったり、掻き続けたりしないようにします
- 皮膚科への相談:湿疹やぶつぶつ、かさつきが続く場合は相談するとよいでしょう
- 静脈の確認:むくみや血管のふくらみもある場合は、静脈の流れも確認してよいかもしれません
親指の付け根が出っ張り、靴に当たって痛い|外反母趾など
外反母趾や骨の出っ張りは、しこりのように感じることがあります。親指の付け根の変形が目立つ、靴に当たって痛い場合は整形外科での相談が適しています。
- 靴の見直し:つま先に余裕があり、親指の付け根を圧迫しにくい靴を選びます
- インソールやサポーター:足の形や歩き方に合わせて使用を検討します
- 整形外科への相談:痛みが続く、変形が強い、歩きにくい場合は相談するとよいでしょう
症状から考える相談先の目安
- 血管に沿った赤み・硬さ・痛み、むくみや血管のふくらみ:血管を診る医療機関
- 丸いしこり、動かしたときの痛み、骨の出っ張り:整形外科
- 痒み、湿疹、ぶつぶつが中心:皮膚科
これはあくまで目安です。見た目だけではなかなか分からないことも多いため、症状が続く場合は医療機関への相談を検討してもよいかもしれません。
足の甲以外にも赤みや腫れがある方へ
赤みが広がる、足全体が腫れるなど別の症状がある場合は、以下の記事も参考にしてください。
足の甲全体がパンパンにむくむ方へ
血管よりもむくみが主な悩みの場合は、足の甲のむくみを扱った以下の記事の方が参考になります。
足の甲の血管やしこりは、症状を分けて考えましょう
足の甲の血管は、健康な方でも目立つことがあります。まずは、血管が見えるだけなのか、硬いしこり・痛み・赤み・痒みなどが加わっているのかを分けて考えてみてください。
血管に沿った赤みや痛みがある場合と、丸いしこりや動作時痛がある場合では、確認する内容も相談先も異なります。
私の診察では、足の血管の見え方やむくみ、血管に沿った痛みが気になる方について、足の状態を確認し、必要に応じて超音波検査で静脈の逆流や血栓の有無を調べます。血管以外の原因が考えやすい場合には、そのことも含めてご説明します。
足の甲の血管やむくみが気になる方へ
足の甲の血管が以前より目立つ、むくみやだるさもある、静脈瘤との関係を確認したいという段階でもご相談いただけます。
見た目だけでは分からない静脈の流れを超音波で確認し、治療が必要か、現在は様子を見てよいかを一緒に整理します。





