「硬化療法を受けたところが硬くなった」「押すと痛い」「血管が茶色く見える」と、治療前にはなかった変化に不安を感じていませんか。
硬化療法後には、治療した血管に沿った軽い痛みや硬さ、赤み、内出血、色素沈着がみられることがあります。多くは、血管が閉じて少しずつ目立たなくなる途中の変化です。しこりも、治療した血管が閉じていく途中でみられる変化の一つです。
経過を見るときに大切なのは、症状があるかどうかだけでなく、治療した場所に限られているか、時間とともに軽くなっているかという点です。落ち着くまでの期間は、治療した血管の太さや範囲によって異なることがあります。生活上の注意は、治療を受けた医療機関からの案内に沿って考えます。
この記事では、硬化療法後によくある経過と、痛み・しこりの見方、歩行や運動、入浴、仕事などの考え方を整理します。
硬化療法後にしこりができるのはなぜ?
硬化療法は、静脈の中に硬化剤を注射し、血管を閉じて少しずつ小さくしていく治療です。治療した静脈は、その場ですぐに消えるわけではありません。血管の中に血液が固まって残ったり、治療した血管自体が一時的に硬くなったりするため、筋や小豆のような硬さとして触れることがあります。
とくに皮膚に近い静脈では、見た目や手触りの変化に気づきやすくなります。治療前より硬く、濃く見える時期があっても、時間とともに小さく、薄くなっていくことがあります。
硬化療法がどのような血管に向くのか、皮膚レーザー治療とどう使い分けるのかについては、以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。
硬化療法後はどのような経過をたどる?

当日から数日
注射した部分に、軽いヒリヒリ感、押したときの痛み、赤み、内出血が出ることがあります。圧迫材や弾性ストッキングの締めつけを強く感じる方もいます。
症状が治療した場所に限られ、強くなっていないのであれば、案内された圧迫や生活上の注意を守りながら経過をみられることが多いでしょう。
1週間から数週間
治療した血管に沿って、点状または筋状のしこりが分かりやすくなることがあります。押すと痛い、つっぱる、皮膚の下にひものような硬さを感じるといった変化です。
血管の中に残った血液が固まっていると、青黒く見えたり、硬く触れたりします。内出血が薄くなってからしこりに気づく方もいますが、これだけで異常とはいえません。
数週間から数か月
痛みや赤みが先に落ち着き、しこりや色の変化はもう少しゆっくり軽くなる傾向があります。太めの血管や広い範囲を治療した場合は、落ち着くまで数か月かかることもあります。
茶色い線やシミのような色素沈着も、時間をかけて薄くなることが多い変化です。半年以上残ることもありますが、ゆっくり薄くなっていくことがあるため、慌てずに経過をみてよいでしょう。
痛み・しこり・赤みをどう見ればよい?

痛みとしこりは「場所」と「変化の方向」をみる
治療した血管に沿った軽い痛みや、押したときの圧痛は、硬化療法後にみられることがあります。日常生活を続けられ、痛む範囲が広がらず、同じか少しずつ軽くなっている場合は、治療部位の反応として経過をみられることが多いと思います。
しこりが気になっても、何度も強く押したりもんだりせず、案内された方法で経過をみます。血液がたまって痛みや硬さが目立つ場合には、そのまま様子をみることもあれば、診察後に処置が検討されることもあります。
痛み止めは、治療時に処方または案内されたものがあれば、その使い方に従います。市販薬を追加してよいか分からない場合は、持病やほかの薬との兼ね合いもあるため、治療先に確認してから使うと安心です。
赤み・内出血・色素沈着は落ち着く速さが異なる
針を刺した部分や治療した血管に沿って、限局した赤み、圧痛、内出血がみられることがあります。内出血は赤紫から黄色へ変わりながら薄くなり、局所の赤みも広がらなければ徐々に落ち着くことが多いでしょう。
一方、茶色や黒っぽい色素沈着は、痛みや赤みがなくなってからも残ることがあります。皮膚をこすらず、日焼け対策などの指示を受けている場合は、その内容に沿って経過をみます。
歩行・運動・仕事・入浴はいつからできる?

硬化療法だけを受けた場合と、レーザー・高周波などの治療を同時に受けた場合では、生活上の注意が異なることがあります。複数の治療を受けた場合の生活や運動、入浴については、以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。
歩行と運動
硬化療法後は、まったく動かずに過ごすよりも、無理のない範囲で歩くことが一般に勧められます。特別に長い距離を歩く必要はなく、普段の移動や短い歩行をこまめに行う程度でかまいません。
買い物や家事などの日常動作には比較的戻りやすい一方、ランニング、球技、重い負荷をかける筋力トレーニングなどの再開時期は、治療範囲や方法によって異なることがあります。痛みや赤みが増えない範囲で段階的に戻し、治療先から時期を指定されている場合は、その指示に合わせます。
仕事
デスクワークなど身体的負担の少ない仕事には、比較的短期間で戻れる方が多いと思います。ただし、立ち続ける仕事、歩き続ける仕事、重い物を扱う仕事では、痛みや圧迫材の状態に合わせた調整が必要になることがあります。
一律の日数で考えるより、仕事内容、治療範囲、治療後の痛みを合わせて考えると分かりやすくなります。同じ姿勢が続く場合は、ときどき姿勢を変えたり短く歩いたりするとよいでしょう。
入浴
シャワーや湯船を再開する時期は、圧迫材をいつ外すか、治療部位を濡らしてよいかによって変わることがあります。「注射だけだから当日から大丈夫」とは限らないため、硬化療法を受けた医療機関からの指示に従います。
圧迫材を濡らさないよう案内されている間は、その扱いに従います。熱い湯船、サウナなど身体を強く温める習慣についても、再開時期に迷う場合は治療先へ確認してみてもよいかもしれません。
弾性ストッキングや包帯は個別の指示を優先する

硬化療法後の圧迫には、治療した血管を押さえ、余分な血液がたまるのを抑える役割があります。国内で使われている硬化剤の添付文書では、治療後に弾性ストッキングなどで圧迫する方法が示されています。ただし、圧迫の方法や期間は、治療した血管の状態などによって異なることがあります。硬化療法を受けた医療機関から案内された方法に合わせます。
弾性ストッキングの基本的な選び方や履き方については、以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。
ストッキングが丸まって一部に強く食い込んでいる場合や、足先のしびれ、冷たさ、色の変化が続く場合は、装着状態を見直してみてください。それでも続く場合は、治療先へ確認してもよいでしょう。
落ち着いて変化を見るための判断軸
次のような変化は、硬化療法後の経過としてみられることがあります。
反対に、次のような変化が気になる場合は、治療を受けた医療機関へ一度確認してみてもよいかもしれません。
診察では、しこりや赤みの状態を確認したうえで、特別な処置をせず経過をみてよいと分かることもあります。治療後しばらく血管の硬さや色の変化が残っていても、すぐに追加治療を決める必要はありません。治療前と同じ条件で、ときどき写真を撮っておくと、変化を比べやすくなることがあります。
まとめ|治療部位に限られ、軽くなっているかを見る
硬化療法後の軽い痛み、硬いしこり、限局した赤みや内出血、色素沈着は、治療した静脈が閉じて少しずつ小さくなっていく途中でみられることがあります。しこりは治療後にみられることがあり、痛みや赤みよりゆっくり落ち着くこともあります。
歩行や軽い日常動作には戻れることが多い一方、強い運動、入浴、圧迫の方法は治療内容によって異なります。治療先から受けた指示に沿いながら、症状が治療部位に限られているか、少しずつ軽くなっているかを見ていくとよいでしょう。
硬化療法後の経過が気になる方へ
硬化療法後のしこりや色の変化が気になる場合は、まず治療を受けた医療機関へ確認してみてもよいかもしれません。当院でも、診察と必要に応じた超音波検査で静脈の状態を確認しています。診察の結果、特別な処置をせず経過をみてよいと分かることもあります。症状をうまく説明できない場合も、見た目や経過を確認しながら一緒に整理します。





