うっ滞性皮膚炎の原因と治療法 治らない皮膚潰瘍・傷だらけの足をきれいにする方法

概要

この記事では、立ち仕事が多い方や高齢者、肥満の方に多く見られる「うっ滞性皮膚炎」について、その原因、症状、治療法、そして予防策について詳しく解説します。立ち仕事で足がかゆい、黒ずむ方におすすめの記事になっています。

うっ滞性皮膚炎とは?

「うっ滞(うったい)」とは、一般的には流れや動きが滞ること、またはその状態を指します。つまり、主に足の血液循環が悪くなり、血液がうっ血することが原因で引き起こされる皮膚の赤い斑点・炎症のことをうっ滞性皮膚炎といいます。血液がうっ血して起こるものなのでうっ血性皮膚炎と呼んでもよさそうなものですが、医学的にはうっ滞性皮膚炎と呼びます。

うっ滞性皮膚炎の好発群

この疾患は特に以下のような人々に多く見られます。

  • 立ち仕事が多い方:長時間の立ち仕事は血液の鬱滞を引き起こしやすいです。
  • 高齢者:加齢に伴い血管の弾力性が低下し、血液循環が悪くなるためです。
  • 肥満:体重増加が血管に負担をかけ、血液の鬱滞を助長します。

これらは下肢静脈瘤が好発する原因と全く同様です。

うっ滞性皮膚炎の症状

うっ滞性皮膚炎の主な症状は以下の通りです。

  • かゆみ:足がむくみ、くるぶしが痒く、カサカサになります。
  • 赤みと色素沈着:初めは赤くなり、次第に茶褐色の色素沈着(くるぶしの黒ずみ等)が見られるようになります。
  • 皮膚の硬化(こうか):長期間放置すると、皮膚が硬くなる硬化性脂肪織炎に進行することがあります。
  • 潰瘍(かいよう):足の傷が治らないまま経過し、皮膚潰瘍(穴があくこと)が形成されることもあります。
  • 鼠径部(足の付け根)のリンパ節腫脹:足の付け根のリンパ節が腫れることがあります。「太もものリンパが痛い」とおっしゃる方が多くいます。

うっ滞性皮膚炎の原因

うっ滞性皮膚炎(足のうっ血)の主な原因は、下肢静脈瘤を代表とする静脈血流のうっ滞による症候群です。なぜ静脈血がうっ滞すると湿疹や色素沈着を起こすかというと、うっ滞した血液が溜まり続けることで、最終的には血管が耐えられなくなり、毛細血管が切れて血液が漏出し、内出血が起こるからです。そして、出血した血液中の赤血球から、ヘモグロビンが放出され、最終的には鉄を含む色素であるヘモジデリンが生成されます。これが皮膚に沈着することで、かゆみや湿疹、色素沈着が起こります。以上のようなメカニズムで湿疹が起こるため、治療をしない限り治ることはなく、湿疹の分布は血管に沿った足首やくるぶし、ふくらはぎが中心となることが一般的です。

治療法と予防策・対処法

うっ滞性皮膚炎・色素沈着の治療法(治し方)と予防策は以下の通りです。適切な治療を行うと、治らずに傷だらけになっていた足がきれいになります。

  • 弾性包帯・弾性ストッキングを着用することで血液の鬱滞を防ぎます。
  • 外用薬(塗り薬)を使用する。皮膚の状態に応じて保湿剤、ステロイド含有の外用薬、潰瘍治療用の潰瘍薬まで選択します(ただし、あくまで対症療法です)。
  • 足を高く上げることで血液の循環を促し血流促進する。
  • 定期的な運動(運動療法)、ストレッチを行い、ふくらはぎの筋肉を動かす
  • 長時間の立ち仕事や座りっぱなしを避け、適度に休憩を取る
  • 脚台を使用する。座っている間も足上げをすることで血液の循環を促進し、足のむくみ(浮腫)を取る。
  • 体重管理を行い、肥満を防ぐ
  • 下肢静脈瘤がある場合はカテーテル治療などの根治治療をする。

うっ滞性皮膚炎にマッサージをしても悪化しないのでしょうか、という質問もよくされますが、マッサージ自体がうっ帯性皮膚炎を悪化させるということはありません。

結論

うっ滞性皮膚炎は、立ち仕事や高齢、肥満、下肢静脈瘤などが原因で足に発生する皮膚の疾患です。早期に対策を講じ、適切な治療を受けることで症状の悪化を防ぐことができます。症状が見られた場合は、足の専門医を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
困っておられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。


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