ふくらはぎや太ももに糸ミミズのように毛細血管が浮き出る方、足の青・赤・紫の血管が目立つ方、その原因と対策について 網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤(スパイダースキン/スパイダーベイン)治療の最前線:硬化療法(こうかりょうほう)とYAGレーザー療法を解説

概要

この記事では、足の網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤(スパイダースキン/スパイダーベイン)に対する治療法である硬化療法(こうかりょうほう)とYAGレーザー療法について詳しくご紹介します。これらの治療法の詳細、メリット、副作用、そして手順について解説し、網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤による足の不快感や美観の問題を効果的に解決する方法を説明します。

網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤(スパイダースキン/スパイダーベイン)とは

細い赤、青色もしくは紫の血管が足に網目状、クモの巣状、糸ミミズ状にひろがってみえる静脈瘤です。初期の頃は薄い赤色をしていますが、症状の重い方では拡張した血管の数が多くなり、足の太ももやふくらはぎ、くるぶしの血管が紫色に見えることもあります。

出産を経験した女性、皮膚が薄くなりがちな高齢者の太ももに赤い線のような毛細血管が目立つことや、チクチク、ジンジン、ピリピリする、といった痛みや灼熱感(熱くなる)が出ることがあります。一方で伏在静脈瘤(静脈瘤の種類や治療についてはこちら)と異なり、夜間に足がつったり、強い痛みがでることは稀です。

特に青い血管は目立つため、網目状静脈瘤やクモの巣状静脈瘤を放置すると、血管がボコボコになる伏在型静脈瘤になるのではないか、全身に広がるのではないか、と心配される方がいらっしゃいますが、基本的に心配はありません。しかしながら、クモの巣状、網目状静脈瘤が伏在静脈瘤の初期症状のことはあるため、一度は超音波検査(下肢静脈エコー検査)をしておくことが推奨されます。

クモの巣状静脈瘤の原因

主な原因としては、遺伝、ホルモン変化、長時間の立ち仕事や座り仕事、肥満、加齢などが考えられています。

クモの巣状、網目状静脈瘤をマッサージで治せないか、という質問をされることがありますが、残念ながらマッサージでクモの巣状、網目状静脈瘤が消えることはなく、効果は限定的です。きちんと治したい場合は硬化療法かYAGレーザー療法による治療が有効です。

硬化療法(こうかりょうほう)について

硬化療法とは、血管に直接硬化剤を注射し、意図的に炎症を起こして血管を固め、徐々に見えなくする治療法です。使用する針は非常に細い物を使用するため痛みは最小限となります。1回の治療は10分程度で終わりそのまま歩いて帰れます。治療後は医療用の弾性ストッキングを着用し、すぐに歩いて帰ることができます。

硬化療法(こうかりょうほう)のメリットとデメリット

メリット

硬化療法の最大のメリットは、その非侵襲性と迅速な回復時間です。

デメリット

術後に治療部位が硬くなることや、色素沈着が起こることがあります。通常、これらは半年ほどで目立たなくなります。(稀に1年以上かかることもあります。)

特に注意すべき方

以下の方は硬化療法を受けることができないことがあります。

  • 気管支喘息の方
  • 過去に深部静脈血栓症 (いわゆるエコノミー症候群/ロングドライブ症候群)を経験した方
  • ホルモン剤を使用している方
  • ピルを服用している方
  • 一部の骨粗しょう症の薬を服用している方

これらの条件に該当する方は、治療を行う前に医師とよく相談し、状態の確認が必要です。また、薬の中止が求められることもあります。

YAGレーザー療法の紹介

YAGレーザー療法は、レーザー光を使用して血管のタンパク質を凝固させ、血管を目立たなくする治療法です。

YAGレーザー療法のメリットとデメリット

メリット

YAGレーザーの主なメリットは、色素沈着が少なく(全く生じないわけではありません)、治療のあとの見た目が自然であることです。

デメリット

この治療は自費診療のため、広範囲の場合は費用がかかる点も考慮する必要があります。また、1回の治療で根治するというよりは複数回に渡って治療をする必要が出てくることがあります。

硬化療法とYAGレーザー治療のどちらがよいかは議論が分かれるところであり、絶対的な答えはありません。静脈の状態、患者さんの御希望、費用面を総合的に考えて、少しでも患者さんにとって有利な方法を選ぶ、ということが大切だと考えています。

結論

網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤(スパイダースキン/スパイダーベイン)の治療には、硬化療法とYAGレーザー治療の二つの効果的な方法があります。これらの治療法はそれぞれ異なる利点と欠点を持っており、患者さんの状態と御希望に応じて適切な方法を選択することが重要です。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
困っておられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。


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