下肢静脈瘤は職業病?‐なりやすい職業や予防法について

静脈瘤について

「職場で下肢静脈瘤になっている人を見かけるけど、もしかして私の仕事はなりやすいの?」

「下肢静脈瘤に気を付けて働くにはどうすればいいの?」

など、職業によって下肢静脈瘤になりやすいのではないか?と思っている方も多いでしょう。

この記事では、下肢静脈瘤になりやすい職業や予防方法・治療方法について紹介します。

下肢静脈瘤になりやすい職業とは?

下肢静脈瘤とは、「かしじょうみゃくりゅう」と読み、静脈の瘤(コブ)と書くように足の太ももやすね、ふくらはぎ上の静脈が浮き出てボコボコとしたコブ状(ボコボコ血管)となり、曲がりくねる状態を指します。これは、足の静脈の中にある逆流防止弁が壊れることで発症し、血液が逆流している状態になっています。

長時間の立ち仕事や座り仕事、遺伝、肥満、妊娠が原因となることが知られています。外来によくいらっしゃる患者さんの職業を見てみるとなりやすい職業の傾向がありますのでご紹介したいと思います。

座りっぱなしの仕事

長時間座りっぱなしで作業する方は、足の筋肉を動かさないことになります。

ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、血液を心臓に戻すフットポンプの機能を担っていますが、筋力が弱くなると血流が悪くなってしまい、この状態が長く続くと静脈瘤が発生しやすくなります。

また、足が疲れやすい人の特徴として、座りっぱなしの生活をしていることがよくあります。

具体的な職業
  • 事務職:一般事務、経理、総務、人事、法務など
  • IT関連職:プログラマー、ソフトウェアエンジニア、データアナリスト
  • コールセンターオペレーター、カスタマーサポート担当者
  • マーケティング担当者、広報担当者
  • ライター、編集者

こういった職業の方々がよく来院されます。

立ちっぱなしの仕事

立ち仕事を長時間続けている方も、静脈への影響が出てくることがよくあります。

重力の影響で血液が足の方に集まりやすくなる上、立っているだけでは筋肉があまり動かないため、足の筋肉のポンプ作用が十分に働かず、血液が足に溜まりやすくなります。

この血液の圧力が静脈および静脈の中の逆流防止弁にかかることで、静脈瘤が発症しやすくなります。

具体的な職業
  • 警察官・警備員
  • 教師
  • 美容師・理髪師
  • 飲食業
  • 販売員
  • スーパー/コンビニのレジ
  • 介護士・看護師

こういった職業に就いている方々が多いです。

下肢静脈瘤になりやすい職業に就いた方向け予防法

下肢静脈瘤を予防するためには、以下の方法が推奨されます:

  • 定期的な運動:スクワットなどの屈伸運動、背伸び・つま先立ち
  • アキレス腱のストレッチ
  • 長時間の立ち仕事や座りっぱなしを避け、適度に休憩を取る
  • 程度によっては弾性ストッキング・着圧ソックスの着用を検討する
  • 脚台を使用する:座っている間も足上げをすることで血液の循環を促進し、足のむくみ(浮腫)を取る

その他、行儀に欠けますが「貧乏ゆすり」にも効果はありますので、自宅など人目につかないところでやることを検討してもいいかもしれません。

また、EMSや脚のマッサージ器を利用して予防ができないか、と考える方も一定数おり、実際に一部で研究がなされているようですが、今のところは明らかなエビデンスがあるとは言えないようです。

なりやすい職業で下肢静脈瘤に…治療法について

上記予防法はあくまで予防策であり、すでに逆流防止弁が故障してしまった発症している静脈瘤を治すものではありません。

上記を実行しても改善が認められない場合は既に静脈瘤を発症している可能性がありますので、専門医を受診しましょう。

下肢静脈瘤の治療法には、カテーテルを用いた治療や注射を用いた治療法があります(詳細は下記の記事を参考にしてみてください) 。

カテーテル治療は局所麻酔で行えます(患者さんの御希望や状態によっては軽い鎮静剤を使用し、寝ている間に終えることも可能です)。

手術は30分ほどで終了し、傷跡もほとんど目立ちません。

下肢静脈瘤になりやすい職業でも予防&治療すれば改善できる

下肢静脈瘤のリスクは座りっぱなしや立ちっぱなしの職業や遺伝子など個人的な特性によって高まります。

しかしながら、適切な予防策を講じることで、リスクを減らすことも可能です。弾性ストッキングの使用や定期的な運動を取り入れ、下肢静脈瘤の予防に努めましょう。

予防策を講じても症状が改善しない場合は既に静脈瘤を発症している可能性がありますので、一度専門医を受診されるのが推奨されます。

本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
本記事でも紹介しましたように医療者に静脈瘤は多く、ほとんど毎日のように御相談を受けております。今現在、悩んでおられる御本人様はもちろん、周りの方にもし思い当たる症状の方がいらっしゃるようであれば記事をシェアしていただけますと幸いです。


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