「足首の内側が、いつの間にか茶色くなってきた」
「すねの黒ずみが、なかなか消えない」
「これって、ただのシミ? それとも下肢静脈瘤?」
外来でも、よく聞かれる質問です。
結論からいうと、足首やすねの黒ずみが、すべて下肢静脈瘤というわけではありません。乾燥や摩擦、湿疹のあとに色が残ることもあります。
ただし、足首の内側を中心に茶色くなり、むくみ、血管の浮き、かゆみや湿疹を伴う場合は、静脈の流れの悪さが関係していることがあります。
この記事では、足の黒ずみを「皮膚のシミ」「湿疹のあと」「静脈の流れが関係する色素沈着」の3つに分け、見分ける手がかりと受診先を説明します。
足首やすねの黒ずみは、大きく3つに分けて考えます

1.乾燥・摩擦・いわゆるシミ
すねは乾燥しやすく、衣類との摩擦や掻き壊しでも茶色っぽく見えることがあります。黒ずみが点在している、皮膚が乾燥している、むくみや血管の浮きがない場合は、まず皮膚そのものの変化を考えます。
2.湿疹やかゆみのあとに残る色素沈着
赤みやかゆみ、湿疹が先にあり、治ったあとに茶色い跡が残ることがあります。これは炎症後色素沈着と呼ばれるものです。
ただし、同じ場所に湿疹を何度も繰り返す、足首の皮膚が厚く硬くなってきた場合は、乾燥だけでなく静脈の流れが背景にないかも考えます。
3.静脈の流れが関係する色素沈着
足の静脈の流れが悪くなると、足首まわりに静脈の圧がかかり続けます。その結果、足首の内側やすねの下の方に、茶色から黒褐色の色素沈着が出ることがあります。
足首の内側の黒ずみに、むくみ、重だるさ、血管の浮き、繰り返すかゆみや湿疹が重なっている場合は、静脈瘤との関係を確認する手がかりになります。
ただし、見た目だけでこの3つを完全に区別することはできません。黒ずみの場所だけでなく、むくみ、かゆみ、湿疹、血管の浮き、左右差を合わせて考えることが大切です。
静脈瘤で足首が黒ずむのはなぜ?

下肢静脈瘤というと、血管がボコボコ浮き出る病気を思い浮かべる方が多いと思います。しかし実際には、血管より先に、足首の黒ずみや湿疹が気になって受診される方もいます。
足首の内側に色素沈着が出やすいことには、大伏在静脈の走行が関係しています。大伏在静脈は、内くるぶしの前からすね、膝、太ももの内側を通り、足の付け根の深い静脈へ流れ込む静脈です。
本来、血液は足首側から心臓へ向かって流れます。しかし、大伏在静脈やその枝に逆流が起こると、足首側に静脈の圧がかかりやすくなります。
この状態が続くと、赤血球の成分が皮膚の周囲にしみ出し、鉄分を含むヘモジデリンという色素が沈着します。そのため、足首の内側やすねの下の方が、茶色から黒褐色に見えることがあります。
もちろん、足首の内側が茶色いだけで下肢静脈瘤と決まるわけではありません。場所に加えて、むくみや血管の浮き、かゆみ、湿疹の繰り返しがあるかを一緒に見ます。
黒ずみだけ? うっ滞性皮膚炎になっている?

黒ずみがあるだけで、すぐに「うっ滞性皮膚炎」と決まるわけではありません。
静脈の流れが悪い状態に、かゆみ、赤み、湿疹などの炎症が加わったものが、うっ滞性皮膚炎です。時間がたつと、皮膚が茶色くなるだけでなく、厚く硬くなることがあります。さらに進むと、傷が治りにくい、じゅくじゅくする、皮膚潰瘍ができることもあります。
湿疹やかゆみに対する塗り薬は、皮膚の炎症を抑えるために大切です。ただ、塗り薬でいったんよくなっても同じ場所に繰り返す場合は、薬が効かないというより、背景に静脈の流れの悪さが残っていることがあります。
皮膚科の治療か、静脈の治療か、どちらか一方という話ではありません。皮膚の炎症を治療しながら、必要な方では静脈の状態も確認します。
うっ滞性皮膚炎や皮膚潰瘍の治療まで詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
足首の黒ずみは皮膚科? 血管外科? 下肢静脈瘤の外来?

足首やすねの黒ずみは、皮膚の病気でも静脈の病気でも起こるため、「何科へ行けばよいのか分からない」と迷うのは自然なことです。
皮膚科での確認が向いている場合
静脈の確認も考えたい場合
足の黒ずみは、見た目だけでは原因がなかなか分かりません。症状が続く場合や、傷、ただれ、じゅくじゅくした部分がある場合は、医療機関への相談を検討してもいいかもしれません。
かゆみ、赤み、潰瘍、出血など、下肢静脈瘤でみられる皮膚症状の全体像は、以下の記事でまとめています。
静脈エコー検査で分かること

黒ずみを見ただけで、静脈瘤が原因かどうかは分かりません。診察では、黒ずみの場所、むくみ、血管の浮き、左右差、皮膚の硬さなどを確認します。
静脈の関与が考えられる場合は、静脈エコー検査で血液の逆流や静脈の流れを調べます。皮膚の治療を中心に考えるのか、静脈の流れにも対応した方がよいのかを整理するための検査です。
検査の流れ、痛みの有無、所要時間については、以下の記事で詳しく説明しています。
黒ずみが気になるときに、自分でできること

自分でできることは地味ですが、まず皮膚をこれ以上傷めないことが大切です。
静脈の流れが関係する色素沈着は、皮膚の表面の汚れではありません。むくみや血管の浮きもある場合は、スキンケアだけでなく静脈の状態を確認する選択肢もあります。
FAQ
足首の黒ずみは静脈瘤ですか?
必ずしも静脈瘤ではありません。乾燥、摩擦、いわゆるシミ、湿疹のあとでも黒ずみは起こります。
一方、足首の内側の黒ずみに、むくみ、血管の浮き、足の重だるさ、繰り返すかゆみや湿疹が重なっている場合は、静脈瘤や静脈うっ滞が関係していることがあります。
足の茶色いシミは消えますか?
湿疹や掻き壊しのあとに残った色素沈着は、炎症が落ち着くと少しずつ薄くなることがあります。
一方で、静脈の流れの悪さが長く続いてできた色素沈着は、薄くなるまで時間がかかり、そのまま残ることもあります。下肢静脈瘤を治療しても、すでに起きた色素沈着がすぐに薄くなるとは限りません。
まず大切なのは、皮膚の炎症や静脈の負担をこれ以上悪化させないことです。どの程度薄くなるかは、黒ずみの原因と続いていた期間によって変わります。
足首の黒ずみやかゆみは何科を受診すればよいですか?
乾燥、かゆみ、湿疹、赤みが主な場合は、まず皮膚科で皮膚の状態を確認するのがよいと思います。
足首の内側の色素沈着に、むくみ、血管の浮き、重だるさが加わっている場合は、血管外科や下肢静脈瘤を扱う医療機関で静脈の状態を確認する選択肢があります。
皮膚科の薬を塗っても繰り返す場合はどうすればよいですか?
塗り薬でいったん改善しても、同じ場所にかゆみや湿疹を繰り返す場合は、皮膚科の治療を続けながら、静脈の流れが背景にないか確認してもよいと思います。
足首の内側の黒ずみに、むくみやかゆみが重なる方へ
足首やすねの黒ずみが、すべて下肢静脈瘤というわけではありません。
ただ、足首の内側を中心に黒ずみがあり、むくみ、血管の浮き、繰り返すかゆみや湿疹、皮膚の硬さが重なっている場合は、皮膚だけでなく静脈の状態も確認してよいと思います。
私の診察では、まず黒ずみの場所や皮膚の状態、むくみ、血管の浮きを確認します。静脈の関与が考えられる場合は、エコーで静脈の逆流を調べます。そのうえで、皮膚の治療を中心に考えるのか、静脈の流れにも対応した方がよいのかをご説明します。





