皮膚科で治療しても足首の傷が治らないとき|血流の確認と相談先

足の内くるぶし付近に白いガーゼを当てた説明用イメージ。 うっ滞性皮膚炎とかゆみ・黒ずみ

「皮膚科で治療を続けているのに、足首の傷がなかなかふさがらない」

そういうとき、皮膚の治療を続けるだけでよいのか、血流も調べたほうがよいのか迷われると思います。治りにくい足の傷には、静脈の流れが関係することがあります。ただし、見た目だけで静脈瘤が原因とは決められません。 動脈の血流、皮膚の病気、感染など、別の原因が関わることもあります。

私の外来では、傷がある状態でも診察し、静脈が関係しているかを確認しています。皮膚科での治療を続けながら、静脈の評価が必要か相談することもできます。この記事では、傷と静脈瘤の関係、血流を調べる理由、相談先の考え方をお話しします。

なぜ静脈の問題で足首に傷ができるのか

足首周辺の色素沈着や皮膚変化の例
足首周辺の皮膚変化の例。写真だけで傷の原因は判断できません。

足の血液は静脈を通って心臓へ戻ります。静脈の中には逆流を防ぐ弁がありますが、その働きが弱くなると、立っている間に血液が足にたまりやすくなります。うっ血が続くと、足首周辺にむくみ、かゆみ、茶色い変化などが現れ、皮膚が傷つきやすくなることがあります。できた傷が治りにくくなる場合もあります。

ただ、足首の傷がすべて静脈によるものではありません。 血管が浮き出ていなくても静脈が関係することがありますし、逆に静脈瘤が見えていても、その傷の主な原因とは限りません。傷の場所や色だけで判断するより、傷と足全体の状態を一緒に確認することが大切です。

かゆみや黒ずみを含めた皮膚の変化については、別記事「うっ滞性皮膚炎の原因と治療法」で詳しく説明しています。本記事では、すでに傷が開いていて治りにくい場合に話を絞ります。

皮膚科での治療を続けても傷が閉じない、いったん閉じても同じあたりに繰り返す、むくみや皮膚の色の変化も続いている。こうした経過があるときは、静脈の流れを確認する意味があります。ただし、これだけで静脈瘤が原因とは決められません。

静脈だけでなく、動脈側も考える理由

静脈は血液を心臓へ戻す道、動脈は血液を足へ届ける道です。足の傷が治りにくいときには、静脈に血液がたまる問題だけでなく、動脈から十分な血液が届いているかも重要になります。ほかにも皮膚や全身の病気が関係することがあり、原因を二つの血管だけに決め打ちはできません。

静脈が関係する傷には圧迫療法を用いることがあります。ただし、動脈からの血流が不足している場合は、圧迫の強さや方法を慎重に決める必要があります。傷が治りにくいからといって、自己判断で強い圧迫を始めず、診察で足の状態を確認することが大切です。皮膚科の治療を自己判断で中断せず、これまでの経過や使っている薬を相談時にお伝えください。

当院の診察では何を確認するか

脚の血流を超音波で調べるイメージ
静脈の流れを確認する超音波検査のイメージ

まず、いつから傷があるか、広がり方、これまで受けた治療、むくみや皮膚の色の変化などを伺い、足を診察します。静脈の問題が疑われれば、超音波検査で血液の逆流や血栓の有無などを調べ、傷との関係を考えます。静脈の逆流が傷に関わっていると判断した場合は、傷の状態も踏まえて必要な対応を検討します。 診察前から、どの治療がよいかを一つに決めることはしません。

動脈からの血流が不足している可能性がある場合は、状態に応じて循環器科や血管外科へ紹介することがあります。静脈が原因と決めつけず、必要な診療につなぐことも診察の役割だと考えています。

どこへ相談すればよいか

医師が脚の状態を診察するイメージ
傷だけでなく、脚全体の状態を診ることが大切です。

傷の治療を続けても改善しない場合は、今診てもらっている皮膚科の先生に、血流の評価も必要か相談してみてよいかもしれません。むくみ、足首の茶色い変化、静脈瘤などを伴うときは、静脈の診察を受けて原因を確認する選択肢もあります。紹介状がなくても当院の初診でご相談いただけます。

「静脈瘤かどうか分からない」「これまでの治療をどう説明すればよいか分からない」という段階でも、傷がいつから続いているか、今まで何を試したかを分かる範囲でお話しいただければ大丈夫です。まず足と傷の状態を確認し、静脈の関与や、ほかの診療科での評価が必要かを一緒に整理します。

すでに静脈性の潰瘍と診断され、治療後に傷がどう治っていくかを知りたい方には、別記事「静脈瘤による皮膚潰瘍(ひふかいよう)の治療後の治癒過程について」が参考になります。

まとめ

足首の傷が治りにくいとき、皮膚の治療が足りないと決めることも、静脈瘤が原因と決めることもできません。静脈の逆流、動脈からの血流、そのほかの原因を考えながら、必要な評価につなげていくことが大切です。

当院では開いた傷も診察しています。静脈の逆流が傷に関わっていると分かれば、傷の状態も踏まえて対応を考えます。動脈側の問題が考えられれば、必要に応じて循環器科や血管外科をご紹介します。傷のことをうまく説明できなくても、まずは経過を伺うところから始めますので、気になる方は初診でご相談ください。

この記事を書いた人
春山興右

このブログでは、日々の診療の中で感じたことや、患者さんから実際によくいただく質問などをもとに書き始めました。
教科書的な内容はもちろんですが、本には書かれていない、現場で診療を続けていて初めてわかる知恵や皆さんが知りたいと感じることを、素朴に、わかりやすくお伝えしていけたらと思っています。

静脈瘤の診療は、国内外で取り組んできた医療ボランティア活動と並んで、私にとっては大切なライフワークであり、生きがいのような存在です。
ところどころ熱が入りすぎてしまったり、至らない点も多いかと思いますが、どうか温かい目でご覧いただけたら嬉しいです。

資格は、脈管専門医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術 実施医・指導医、皮膚科専門医、弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターなどです(治療者兼当事者であり、毎日弾性ストッキングを履いています)。
よろしくお願いしますm(_ _)m

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