「手術を受けたあとも血管が目立っていたら、どう考えればよいのでしょうか」「だるさが残っていたら、もう一度治療が必要なのでしょうか」
治療後の経過について、「手術が失敗したのでは」と気になる方も、まれにいらっしゃいます。
この記事では、治療後に症状や血管が気になる場面を例に、診察で何を確かめ、どのように対応を考えるかについて、できるだけわかりやすく解説します。
結論としては、「見た目だけで手術の結果を決めず、治療した血管の状態と、気になっている症状を合わせて確認することが大切」ということになるかと思います。ここで取り上げる変化が、そのまま手術の失敗を意味するわけではありません。
手術後も気になることがあるときは、まず経過を伺います
手術後の変化を考えるときには、手術前からあった症状が続いているのか、いったん軽くなってからまた気になってきたのか、それとも治療後に新しく気づいたことなのかが、手がかりになります。
診察では、どの足の、どのあたりが、いつから気になっているかを伺います。うまく整理して話そうとしなくても大丈夫です。過去の治療内容やエコー検査の結果が分かれば参考になりますが、資料がすべてそろっていなくても、まずは分かる範囲をお聞かせいただければと思います。
そのうえで、必要に応じてエコー検査を行い、治療した静脈や周囲の静脈の状態を確認します。見えている血管だけでなく、血液の逆流があるか、あるとすればどこからどの範囲に起きているかを調べます。[1]
だるさや痛みが残っているときは、どう考える?
手術前からあっただるさや痛みが、治療後も気になっている場合です。このときは、まず、原因となる静脈の逆流が残っていないかを確認します。治療した部分とは別の範囲に逆流があれば、それが症状に関係しているかも考えます。[1]
一方、静脈の逆流が改善していても、足の症状には筋肉や神経など別の原因が重なっていることもあります。血管を治療したことで変わったことと、まだ気になっていることを、一つずつ確認していきます。
どの動作で気になるか、手術前と比べて何が変わったかを伺うことで、静脈への追加治療を考えるのか、別の原因を調べる方がよいのか、対応も考えやすくなります。
表面のこぶが残っている場合は、治療した範囲も確認します
足の静脈には、幹にあたる血管と、そこから枝分かれする血管があります。幹の逆流を止める手術と、表面に見える枝のこぶへの処置は、分けて考えることがあります。
幹の治療によってこぶが小さくなるかをみる場合もあれば、こぶへの処置を組み合わせる場合もあります。表面のこぶが気になるときは、今回の治療でどの場所を処置し、どの場所は経過をみる予定だったかを確認します。[1]
気になる場所を指して伝えていただくと、どの血管のことか確認しやすくなります。治療後に小さくなるか様子をみる場所なのか、逆流や症状も含めて追加の処置を考える場所なのかを、診察や検査で確かめます。
残ったこぶへの対応には、硬化療法や小さな切開から血管を取り出す処置などがあります。処置を追加するかどうかも、見え方だけで決めず、症状や血管の状態、気になり方を合わせて考えます。[1]
治療した血管の状態は、エコー検査で確かめます
レーザー・高周波やグルーによる手術は、原因となる静脈を閉じて、血液の逆流を止めることを目指す治療です。治療後の検査で、閉じる予定だった範囲に血流や逆流が残っていると分かる場合もあります。[1,2]
その場合には、治療した血管のどの範囲に逆流があるのか、別の血管からの逆流なのか、今の症状に関係しているのかを確認します。
最初から十分に閉じていなかったのか、いったん閉じた血管が後から開いたのかは、治療前後の検査結果も合わせて考えます。閉じる予定だった静脈に血流が残っていても、それだけで再手術と決まるわけではありません。症状や逆流の範囲に応じて、経過をみるか、追加の治療を考えるかを判断します。[1]
つっぱり感や硬さ、色の変化が気になるときは
治療した血管に沿うつっぱり感や内出血、硬化療法後の硬さや色素沈着など、治療後にみられる変化もあります。[2]
私の診療経験では、レーザー・高周波の手術後も、ほとんどの方はあまり痛みを感じずに過ごされています。家事や仕事、普段の歩行など、激しい運動を伴わない日常生活は基本的に手術後から行えます。
気になる変化があるときは、治療した場所や方法に合う経過か、少しずつ落ち着く方向へ向かっているかを確認します。ご自身だけで「このままでよいか」を判断する必要はありません。痛みや腫れが日ごとに強くなるなど、説明を受けた経過と違うと感じるときは、治療を受けた医療機関へご相談ください。
いったんよくなったあと、また気になってきたら
治療後にいったん落ち着いた血管や症状が、再び気になることもあります。治療した血管が再び開くことや、別の静脈に新しい逆流が生じることなどが考えられます。見えている場所が同じでも、原因となる血管が同じとは限らないため、今の状態を確認します。[1]
初回の治療から逆流が残っていた場合と、その後に別の血管で変化が起きた場合では、対応の考え方も変わります。再発したということだけで以前の治療を判断せず、これまでの経過と今の症状を合わせて考えます。
再発の原因と、その後の治療については、こちらの記事で詳しく説明しています。

その後の対応は、今の状態に合わせて考えます
治療後の診察は、次の手術を決めるためだけのものではありません。今気になっていることについて、経過をみてよいのか、何か対応した方がよいのかを考える機会でもあります。
| 今の状態 | 対応の考え方 |
|---|---|
| 治療後にみられる変化で、落ち着いてきている | 経過を確認しながら、様子をみることを考えます。 |
| 症状に関係する逆流や、気になるこぶが残っている | 血管の位置や形、これまでの治療を踏まえ、追加の治療が必要か、どの方法が合うかを考えます。 |
| 静脈以外の原因も関係していそうな場合 | 症状に合わせて確認し、必要に応じて別の診療科での評価も検討します。 |
| 説明を受けた経過と異なる変化がある場合 | その変化に合わせて診察や検査を行い、対応を考えます。 |
様子をみることでよい場合もあれば、追加の治療や別の原因の確認が役立つ場合もあります。以前の治療の説明も参考にしながら、その方の今の状態に合う方法を考えていきます。
気になっていることは、そのままお聞かせください
私の診療でも、初回治療後に症状が残り、セカンドオピニオンを希望して来院される方がいます。
受診の際は、受けた治療の時期や方法、今気になっている場所、治療前後で変わったことを、分かる範囲でお聞かせください。最初に受けた診断や治療の説明を大切にしながら、現在の状態と、これからの対応を整理していきます。
気になることを、うまくまとめてから受診する必要はありません。 まずお話を伺い、診察や検査で分かることをお伝えしたうえで、その後どうするかを一緒に考えられればと思います。
初診で行うことや予約方法は、こちらにまとめています。

参考文献・出典
[1]Gloviczki P, et al. The 2023 Society for Vascular Surgery, American Venous Forum, and American Vein and Lymphatic Society clinical practice guidelines for the management of varicose veins of the lower extremities. Part II. J Vasc Surg Venous Lymphat Disord. 2024;12(1):101670. doi:10.1016/j.jvsv.2023.08.011. 原文全文
[2]De Maeseneer MG, et al. Editor’s Choice – European Society for Vascular Surgery (ESVS) 2022 Clinical Practice Guidelines on the Management of Chronic Venous Disease of the Lower Limbs. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2022;63(2):184–267. doi:10.1016/j.ejvs.2021.12.024. 原文全文


